レッドライト

Red Lights
レッドライト

超常現象を科学的に調査して自称超能力者や霊能力者のペテンを暴く活動をしている大学教授マーガレットと助手のトムです。彼らの前に立ちふさがる超能力者の大物サイモン・シルバーでありまして、彼のペテンを見破れるのか、はたまた本物の超能力者なのか。しかしそんな対決よりも、「リミット」で一躍スター監督に躍り出たロドリゴ・コルテスがロバート・デ・ニーロ、シガニー・ウィーバー、キリアン・マーフィーなど超スター俳優を上手く使いこなせるのか、大物たちを前にひれ伏すことになるのか、そっちの方がよほど興味深いのであります。

レッドライト

リミット」は大変な面白さで、若きロドリゴ・コルテス監督は一躍世界の有名人。
その後、この「レッドライト」を作るに当たっていろいろ調査していく中で派生的に面白い話を思いつき、でも自分は忙しいので脚本と製作を担当してこれまた捻りのきいた面白い「アパートメント:143」を作りました。
そりゃあ忙しいはずです。
「リミット」のヒットを受けて、突然のハリウッドの大手仕事を引き受け中。他の映画撮ってる場合ではありません。なんとロバート・デ・ニーロにシガニー・ウィーバーにキリアン・マーフィーです。大物過ぎてこのスペイン人監督の重圧は計り知れないほど大きかったことでしょう。

話題の新鋭監督が大きな仕事を得て、予算もたっぷりあって、大スターを起用して、ハリウッドのビジネス世界に足を踏み入れてそれで果たして自分の思い通りの作品が撮れるのか、とても心配です。私なら無理です。大スターや会社の偉いさんたちに気を使って思い通りの指図などできっこありません。

しかし心配は杞憂でした。ロドリゴ・コルテス、見た目の軽々しさと自信家の通り、この大きな仕事をやり遂げました。結論を先に言いますと「レッドライト」はとても面白かったです。見事。

お話は超能力者との対決です。
あちらこちらで起きているポルターガイストに心霊現象、超能力者に霊能者、イタコまで、そういう怪しい事象や人間たちを調査しまくり、ペテンを暴くシガニー・ウィーバーとその弟子キリアン・マーフィーです。
映画的な最終の大ボス、どえらい超能力者ロバート・デ・ニーロとの対決に至るサイキックスリラーとなっています。この大物のペテンを見破れるのか、どうなのか、どうなんでしょう。わくわく。

この大筋だけを見ると比較的単純なお話だと判ります。しかし、ロドリゴ・コルテスはただ者じゃありません。単純なプロットの中に、実に深みのある脚本を作り上げました。

注目はシガニー・ウィーバー演じる大学教授マーガレットの設定です。この女性、偽物の超能力や心霊現象を暴きまくりで胸の空く活躍をしておりますが、精神分析的になぜそれほど偽物の超能力者を憎むのかという点が重要なキーとなっています。強い憎しみは強い愛情と同義であり、嘘を暴きまくるのは嘘じゃない現象に恋い焦がれているからとも言えるのであって、しかしそれは意識的には到底認めることができない心の奥底のひだのひだで、この複雑な心の問題が大物超能力者ロバート・デ・ニーロ演じるサイモン・シルバーのカリスマ性によって逆に暴かれたりするわけです。同時に、観客も翻弄されます。ペテンを暴けば暴くほど、ペテンじゃない超能力を無意識に信じてしまうという罠に嵌められます。

見た目軽々しくて自信家のにーちゃんロドリゴ・コルテスの書く脚本はこうした精神分析的な心の奥の複雑さを実に上手く表現します。単純なストーリーの中に、複雑な心理描写を含め、登場人物と同時に観客を翻弄します。見事です。

さてこの映画はペテンを暴くサイキックスリラーでミステリーですが優れたSFでもあります。
超能力者を描くSFは数多くありますが、子供向けでないシリアスな超能力者の物語は特に映画では少なくて、その点でも「レッドライト」は天晴れなんです。偽物だろうが何だろうが超能力は超能力です。この描き方は今までありそうでなかった気がします。大変いいところをついています。
映画を見終わって「ロドやん、あんたみたいな人にこそ『七瀬』を撮ってほしいんだわさ」とちょっぴり思いました。

最初に、ハリウッドの大物を迎えて重圧があったのではないかと心配して杞憂だったと書きましたが、杞憂で当然なのかもしれません。

ロバート・デ・ニーロは超大物ですが、実は新人にも優しくて変な映画にも協力的です。その代表的な善なる行いは「ブラジル」にも顕著です。当時のテリー・ギリアムの著作によりますと、「ブラジル」のときのロバート・デ・ニーロの協力は、もしそれがなければ上映不可能だったレベルだそうです。ちょい役の出演を快諾し、役のための周到な準備をして完璧以上にこなし、さらに業界に顔を利かせていろんな人を説得したり「ブラジル」公開のためのプロモーションなども積極的に行ってくれたのだとか。

シガニー・ウィーバーも今や大物ですが、この人もセンス良く小さな作品にちょい役で出てきます。明らかに「協力的」な出演と感じることが多く、好感度かなり高いんです。例えばコメディ「僕らのミライへ 逆回転」や「宇宙人ポール」などに出てきた時は思わず拍手したくなるレベルでした。

若手作品や小品に好意的な大物という存在は、映画業界のよい血流というものを感じます。
特にこのお二人はそういう人たちなわけですから、この「レッドライト」の素晴らしい演技も最初から期待こそすれ、心配するようなものではなかったのでしょう。

 

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投稿日: 初稿2013-06-20
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