ルシアとSEX

Lucía y el sexo
フリオ・メデム監督2001年の「ルシアとSEX」は名作の呼び声も高い愛の映画。官能で幻想で文芸です。ホットでクール、大胆で繊細、明るいエロティシズムとどろどろの粘液地獄、愛の交差のミステリーにみんなイチコロよ。
ルシアとSEX

ずっと前から観たかった「ルシアとSEX」です。何故観たかったかというとエレナ・アナヤが出てるからですね。エレナ・アナヤ。最近では「私が、生きる肌」とか「シャッター・ラビリンス」とか出ていましたね。

で、フリオ・メデム監督なんですが、「アナとオットー」の監督だったということを後で知りました。

「ルシアとSEX」は一言で言うと愛の官能ミステリーですが(か?)なかなか一言で言い表すことができません。
構成もちょっと凝っていて、時間軸が飛んでいって過去の出来事を描いたり他の人の事情を描いたりして進行します。
だんだんと事情が飲み込めてくるにつけ、観ている我々も「あっちゃー」とか「ええーっ」とか「あんがんぶしのちかーっ」とか、わけわかりませんが大層盛り上がったりします。上手いミステリーと同等の面白さです。

基本愛の映画です。そして生と死が絡んでいます。生死と言えばエロティシズムです。あ、久しぶりにエロスとかタナトスという言葉が頭に浮かびましてござるよ。
そうなんです。こうした生死のお話において、強烈エロティシズムの描写というものは避けて通れぬどころか中心に据えて当然のテーマなのであります。

冒頭はパス・ベガ演じるところのルシアが電話で彼氏と話しているところです。彼氏は鬱々に落ち込んでいているらしいとわかります。放っとけばいいものを、優しいルシアは彼氏ロレンソの待つおうちへ急いで帰ります。そうしましたら、彼氏はもういません。どこに行ったんでしょうか。そこに警察から電話が。
ルシアは泣きながら家を出ます。旅に出るのです。

ロレンソに何が起きたのか、ロレンソの過去に何があったのか、ルシアはこの後どうなるのか、という感じで始まるのですが、次のシーンでは別の女性が登場しますね。何事でしょうか。事情はおいおい見えてきます。
それから、ルシアとロレンソの馴れ初めなんかをたっぷり描きます。めちゃエロです。エロエロでとてもよいです。
こんな感じで、ルシアとロレンソの他にも重要な人達がいろいろ登場してきまして、その中で謎の男ロレンソの過去や葛藤や文学や魂や幻想や偏在が描かれ、なかなか凄いことになってきます。
恋人同士の活力に満ちたエロスのセックス、背徳と絶望の暗いタナトスなセックス、偶然と巡り合わせ、誕生と消滅、生と死、南の島、なかなかの名作でございますよ。
ぐーっと真面目になってきたと思ったらすっこーんと気が抜けた展開を持って来たりするお茶目っぷりにも注目です。こういう乾いた微笑ましい展開がこの「エロ文芸系愛と生死の映画」から嫌味とか厭らしさとか暗さとかを払拭します。

スペインの美しい女優たちは脱ぎっぷりがいいことでも有名です。もうそれだけで全員スペイン映画のファンになる要素は全て揃いました。
主演のパス・ベガはじめ、ナイワ・ニムリ、変わった役で登場する若きエレナ・アナヤと、まあみなさんすんごいですね。

今手に入るDVDは「ヘア無修正」などといかがわしいキャッチコピーがついていますが、いやはや、昔なら大きくまん丸くぼかされていたようなところもそのままの映像でこれは素晴らしいです。
ただしDVDの画質はお世辞にも良いとは言いがたく、ビデオテープみたいなちょっと残念な画質であります。でもまあしょうがないですね。DVDがあるだけでもましですし、ヘア無修正ですからね。許しましょう。
ちなみに全部が無修正というわけではなく、修正箇所もあります。例えば珍鉾シーンなんかはボケています。こんなの観たくないって人にも安心ですね。
我々日本人は残虐には鈍感で性器には敏感です。変な法律のせいでそういう教育をされ尽くして、歪なんですよね、こういう感覚。わかっていても洗脳は取れません。

ロレンソのお友達で三枚目風のいいやつがいます。彼は「トーク・トゥ・ハー」などペドロ・アルモドバル作品でもお馴染みハビエル・カマラですね。こういうキャラクターは大事です。

Paz Vega ルシアとSEXの頃そういえば「ルシアとSEX」の主演でゴヤ賞新人賞を受賞したパス・ベガですが「トーク・トゥ・ハー」のモノクロの映画シーンのヒロインをやっています。

というわけで「ルシアとSEX」いい映画でした。
見終わった直後はあれこれとたくさん書くべき感想や思いや注目点などがあったんですが、何かエロ談義ばかりになってしまいましたね。

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