フラメンコ・フラメンコ

FLAMENCO, FLAMENCO
フラメンコ・フラメンコ
公開年:
2010
製作国:
監督:
製作:
  • フアン・ヘスス・カバジェーロ
  • ハビエル・サンチェス・ガルシア
脚本:
撮影:
音楽:
  • イシドロ・ムニョス
主演:
  • サラ・バラス
  • パコ・デ・ルシア
出演:
  • マノロ・サンルーカル
  • ホセ・メルセー
  • ミゲル・ポベダ
  • エストレージャ・モレンテ
  • イスラエル・ガルバン
  • エバ・ジェルバブエナ
  • ファルキート
  • ニーニャ・パストーリ

カルロス・サウラ監督によるフラメンコの華麗なるステージムービー。フラメンコに酔いしれます。

フラメンコ・フラメンコ

この映画はドキュメンタリーといいますか、ちょっとニュアンス違って、ステージ映画です。
特設ステージを組み、美術をあしらえ、一流ミュージシャンが集結して演奏します。それを撮影しておりまして、音楽、舞台、映像のコラボレーションですね。コンサートを記録した音楽映画とも違いますし、ミュージックビデオのようなものとも違います。ロケーションも含めた空間、唄と踊りと美術とカメラアングルの美術作品的映画です。

この映画が日本で公開された時、たしか確定申告時期で「確定申告の時期にいい映画を上映しないでください」と日記に書いたような記憶もあります。

さてカルロス・サウラと言えば知ってる映画は「カラスの飼育」とか「ゴヤ」です。巨匠です。
「ゴヤ」の時に感じましたが、じっとりたっぷりアーティスティックな映像派です。「ゴヤ」の中で音楽が演奏されるシーン、舞踏のシーンはそれはそれは目を見はる美しさでした。
「フラメンコ・フラメンコ」は絵画のパネルが重要なアイテムですが、「ゴヤ」でも背景の絵画が特殊な効果を上げていました。

カルロス・サウラは一方でフラメンコの音楽ドキュメンタリー映画でも知られています。「カルメン」などフラメンコの映画はこれまでにも撮ってきました。私は残念ながらどれも未見で、観た人羨ましいなと思ってます。

さて、壮絶ステージと壮絶美術セットの中、淡々と演目が綴られていきます。劇場鑑賞の気分でもありますがここにカメラが介在することによって映像作品、映画としての魅力が加わり、特別な作品と化します。
撮影はこれまた巨匠ヴィットリオ・ストラーロです。

1992年、スペイン南部アンダルシア州のセビリアで万国博覧会が開催されまして、その中の未来館で「フラメンコ・フラメンコ」は撮影されました。この撮影場所の決定はセビリアでの撮影を希望する監督にとってもパーフェクトであったようです。
未来館を映画用ステージに改造する大がかりな工事が行われ、とてつもない規模のステージが完成しました。
映画の最後の最後で、それまでフラメンコにかかりきりだったカメラがぐーっと引きに転じて、未来館を内側からなめ回すように撮るシーンが登場します。この圧巻、会場の魅力も際立たせますよ。

このとてつもないステージに、絵画作品を拡大したパネルがたくさん配置されます。古典的な作品から現代的なものまで、スペインまたはフラメンコに関連する作品も多く飾られます。
背景にも絵画です。光と影、太陽と月、空に雲に木々。美しすぎます。
照明も凝りまくり、カメラも凝りまくり、もうほんと美しいです。

肝心のフラメンコですが、まあなんせフラメンコですから好きな人にはたまりません。私は詳しくはないのですが好きなので問題ありません。ただし無条件に全部好きかというとそうでもなく、好みでない曲もなくはないのですね。これについては音楽と個人との関係によりますのでとやかく言うつもりはありません。

あまり説明が必要な映画ではないので、映像や音楽が魂に触れる人であれば最高のひとときを過ごせること請け合いです。

魅惑のフラメンコ芸術映画ですが、個人的に超絶満足というものでもありません。それはなぜか。あまりにも芸術性が高すぎるためです。
フラメンコに感じる魅力の中で、芸術的な興奮よりも荒くれた力に惹かれる部分が個人的に多くあります。

これまで見た最高のフラメンコの映像は、カルロス・サウラではなく、ジム・ジャームッシュ「リミッツ・オブ・コントロール」の中の、酒場でのリハーサルシーンでした。
開店前の酒場でフラメンコのリハーサルをやっているシーンです。最初はこちゃこちゃと打ち合わせながら、それでもきりっと一曲やり遂げます。リハですから時々油断している顔つきになったりしながら、それでも最後には鳥肌が立つほどの唄とギターと踊りを見せてくれます。
個人的な感覚に過ぎませんのでご注意願いますが、「フラメンコ・フラメンコ」の完成された高い芸術性よりも、酒場のリハーサルシーンにより強く心が動かされたのは、フラメンコに潜む荒っぽさや雑さ、冷静さと攻撃性、そういった複雑ないろいろを感じ取れたからだと思っています。
究極の芸術作品である「フラメンコ・フラメンコ」を前にこんなこというのも憚られますが、完成度の低さと荒っぽさに価値を見いだしてしまう癖があるので仕方ありません。

http://www.youtube.com/watch?v=yclAKGCnu2c

とはいえ「フラメンコ・フラメンコ」が至上のフラメンコ舞台映画なのは間違いありませんで、美しすぎる映像美に酔いしれ、高い芸術性に魅了されまくるります。

唄に字幕がつきますが、字幕が映るとつい見てしまいますので、これはなくてもいい、いや寧ろないほうがいいのではないかとすら思えます。
今から見るとすればDVDなどでしょうから、字幕なしで純粋に映像と音楽を楽しむというのもいいと思います。

[追記] 2014.2.27

「フラメンコ・フラメンコ」にも出演して名演奏を奏でるパコ・デ・ルシアが26日、メキシコで亡くなりました。
ビーチで家族と遊んでいるときに心臓発作を起こしそのまま亡くなったそうです。66歳。まだまだ若い。残念すぎ。損失大きすぎ。
黙祷。

フルサイズライブ映像がyoutubeにありました。こんなのただで見ていいの?ってレベルの凄いライブ。
Paco De Lucia - Live At 31st Leverkusener Jazztage 2010
http://www.youtube.com/watch?v=mYYDdn1rRKs

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