ペインレス

Insensibles
1930年頃、痛みを感じない子供たちがおりました。酷い自傷行為などを行っております。そんな子供たちの波乱の生涯、それと現代の外科医デヴィッドが自分のルーツをさぐります。
ペインレス

冒頭は少女です。可愛らしい少女が幻想的に登場して、腕を焼いているもうひとりの少女に出会うところから始まります。
「えっ。何これ!」と皆が驚くシーンでして、この冒頭いい感じです。
腕を燃やしている少女の可愛いことったらありません。昔のアナ・トレントを彷彿とさせる超可愛いちびっ子です。

1930年頃のスペインの田舎ですね。こういうシーン、そのちょっとした風俗を見せるだけで良い映画に見えます。
「痛みを感じない子供たち」です。痛覚のない子供たちが残虐な行為を平気で行うものだから、隔離してしまおうなんて話になっております。実際、連れ去られ隔離されます。

隔離された子供たちのお話が始まります。こっちの話では、ややおっさん顔の個性的な少年ベニグノが主人公です。冒頭の超可愛い少女イネスもおります。ふたりは急接近。
後で思い返すと、この少女とのお話をもっと見せてほしかったです。というかこの少女、良すぎたのに出番少ないです。でも少ないけど重要なシーンもありましたんでそれなりに重要です。

冒頭の天使のようなちびっ子イネスを演じたのはBruna Montotoという子役ですか。何てかわいいの。
ちびっ子時代のイネス Bruna Montoto

ちょっと育ったティーンのイネスを演じたのはLiah O’Prey(リア・オプレイと読むんでしょうか?)ということでちょっとメモ。今はモデルの仕事してるっぽい?

で、この隔離された少年の波瀾万丈の物語が始まるのですが、それは映画の随所に挟まれます。

一方、現代の主人公外科医デヴィッドはむさ苦しい髭の老け顔兄ちゃんです。おっさんに見えますがさほどおっさんではありません。
デヴィッドが妊娠している婚約者を乗せて運転しておりまして、それで事故ってしまいます。仕事しすぎの過労運転だったんです。
この事故のおかげというか何というか、検査して癌だとわかります。肉親からの骨髄移植が必要とわかり、両親の家に移植のお願いをしに向かいます。

という感じで、1931年から始まる少年ベニグノの話と、2000年の現代の外科医デヴィッドの因縁まつわる物語が描かれます。
1931年から始まるベニグノの物語がどちらかというとメインとなりまして、30年以降のスペイン史をなぞります。スペイン映画では避けて通れない歴史が折り重なりますね。
第二次大戦のナチスドイツ、左派勢力の台頭からフランコ独裁政権、隔離施設に関わってきます。
時間軸のカットが切り替わる度に画面に大きく「1931」とか「1936」とか出てきます。やはり歴史的な物語というのを全面には打ち出しています。

少年少女の幻想文学的処理あり、歴史に呑み込まれる人々あり、皮膚感覚の残虐血みどろテイストあり、謎解きミステリーあり、ルーツを探る男のじっとりドラマあり、美しい建築物や風景あり、後半のぶっ飛びヘルレイザー展開ありのいろいろです。
つまりスペイン名物スペイン史系ホラーダークファンタジーミステリーコンプレックス作品なわけですね。いろんな別の映画が一緒くたにまとめられたようなお得な一本です。全体にはコメディ要素なしの至って真面目な作りです。その割にはとんでもない展開やちょっと青臭い部分もなくはないですので、見終わった印象はさほどのものではなかったのは事実。
でも途中途中の鋭いシーンの好印象は残りますので、いいシーンがいくつかあるだけでOKということです。
少女イネスとの絡みや少年ベニグノのあの泣きながら強い決意をするようなあの顔のシーンは圧巻。あの顔のシーンが撮れただけでもこの映画の価値があったのだと思います。
少年ベニグノを演じた少年はIlias Stothartということで、あまり情報ありません。

Insensibles

脚本は監督と共にルイス・ベルデホの名がクレジットされています。ぶっ飛び脚本、文芸的ショットと青臭さの同居、なるほど。「REC」の脚本という実績が今でも語られます。「ネスト」は黒歴史かもしれません。

監督のフアン・カルロス・メディナは長編映画は監督初作品です。初でこれだけ演出できたのだから大したものですね。スペイン系ですがアメリカ生まれのアメリカ人のようです。

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