パージ

The Purge
パージ - thumbnail
公開年:
2013
製作国:
監督:
製作:
脚本:
撮影:
音楽:
  • ネイサン・ホワイトヘッド
美術:
編集:
主演:
出演:
  • アデレイド・ケイン
  • マックス・バークホルダー
  • エドウィン・ホッジ
  • リース・ウェイクフィールド
  • トニー・オーラー
  • アリヤ・バレイキス
  • トム・イー
  • クリス・マルケイ

「パージ」がどんな映画かも全く知らずに気軽に見始めて、油断していたらあまりの面白さにワオッってなります。どうやらかなりヒットしてシリーズ化もされている人気作品の模様。

パージ[Amazon DVD]

ブラムハウスの映画は上映時間が90分を切るのも多くて、気軽なおやつとしても最適です。作品レベルも高く、高くなくても低いのがほとんど見当たりません。ハズレ無しです。もはや信頼のブランドです。

そんなわけでせっせと仕入れては観るわけですが「パージ」を知りませんでした。いつの何のどんな映画かも知らずに「時間も短め、信頼のおやつだから」と気軽に見始めます。

こんな設定の映画

いきなり「2022年・・・」との説明書きからはじまります。近未来SFです。ホラーやスリラーがお目当てだったので一瞬「しくじったかな」と思います。

その近未来設定は、年に一度合法的に無法状態になる法律が施行されるというアメリカ世界です。殺してもOKって日ができましたという、そういうアイデアの設定です。

殺人許可証、殺人課、いろんな既存のSF作品が浮かびますね。似たような設定のSFは例に上げるまでもなくたくさんあります。はて、今頃このネタで何をしようというのかとやや不審に思います。

ところがどっこいの助、私の想像するようなチャチなSFなどものともしない面白アイデアで「パージ」は乗り切りました。

近未来設定を利用した家庭内スリラー

設定だけ見ると、殺人が巻き起こる世の中のいろんな派手なシーンが出てくる映画を想像します。しかし「パージ」はそういうのを一切なしにしてあるお家の中だけのお話にしました。このチョイスが最高ざます。

世の中とか社会とかじゃないんです。「一晩だけ無法状態」っていう近未来設定は、家の中の緊張状態を作り出すためのネタにすぎません。誰かが殺しに来る。一晩だけの特別な世界。家の中だけの恐怖。こういう映画となります。なーんだ、普通のホラーテイストのスリラーじゃん。そうですそのとおり。

それが良いんです!

登場人物の個性

主な登場人物は家族です。パパ、ママ、お姉ちゃん、弟です。よくある家族構成です。この中で突出した存在が弟くんですね。

捻くれていそうで賢そうで孤独そうな弟くんは最初ちょっと謎キャラです。でも彼のキャラクターがめちゃいいんですよ。

弟くんは世の中に溶け込めなさそうな性格っぽく、最初はやや怖い目つきもします。しかし彼の知性と博愛はゆるぎがなく極めて優しい人間であることが映画的に要になりますね。

このキャラは無垢であるがゆえに理想と真理を求める社会不適合者と同等の設定なのですね。ものすごく大袈裟に言うと「サクリファイス」のアレクサンドルであり「カスパー・ハウザーの謎」のカスパーであります。大げさに言い過ぎてズッコケそうですが、つまりこのような性格の人間を弟くんという少年の役に落とし込み、その性格であるがゆえのストーリーを構築するという、脚本的にとても優れたものであることが白日のもとに晒されます。

それとママですね。映画の中でずっとママは大したことない人です。しっかりしていないし、どんくさいし、子どもたちをちゃんと守ったりできません。しかしこのママには最後のほうで素晴らしい役割を与えられます。

映画の最後のほう、このママの態度こそが近未来設定をちゃんとまとめ上げる社会性というか人としてというか、帰結させる役割を担います。

歪んだ世界設定の安っぽい近未来SFでは、その世界の常識を疑う正常な人間が主人公となり悪と対峙したりします。これが如何に安っぽいかは現状の例えば日本を見渡してもわかりますね。狂人の世界でまともな人間はカッコ良く生きることなど出来ませんし、社会通念や常識というものは簡単に否定することなどできません。

それを簡単に行うのは安っぽいSFだけで十分であって、そうですね、もし「パージ」の最後のあの役割を主人公のパパがやったとしたら、これはもう目も当てられないことになります。

頼りなくてどんくさいママだからこその説得力があります。あの態度は正義でも信仰でも社会に対峙した結果でもなんでもなく、我が身と家族に降り掛かったおぞましいものを直感的に否定しているに過ぎません。

ソハの地下水道」でユダヤ人を守ったこそ泥と等しい設定です。おお。また大袈裟な例えを出してしまった。

お約束を裏切らぬ娯楽性

わざとジャンル違いの名作と比較しながら褒めちぎって遊んでおりますが、純粋に娯楽映画としてヒットさせる要素もてんこ盛りです。

その一つがお約束とそれを裏切らぬ当たり前進行もちゃんと確保していることです。

隣のおばさんや黒人の件ですね。誰しもが後ほどこれらの人がどうなるのか見当をつけます。そしてその見当を裏切らずにきっちり落とし前をつけますね。

お約束ばかりだと馬鹿らしくても、色んな要素がある中で一部こういうお役通りの進行をさせるのは大事です。

すべて客の想像を裏切り続けるとたいていの客は怒ります。ある程度「ほら見ろ、思った通りだ」と思わせてあげないと絶対にヒット作にはなりません。その匙加減が実に上手なのですね。ヒットメーカーの作り上げる脚本に感心します。

サスペンス

てなことで肝心のサスペンス進行はどうかというと、これはもう文句なしです。単なるドキドキとストーリーの絡み具合が実にいい感じ。

最初の衝撃のシークエンスの優れたことったらありません。一気に複数の事象が襲いかかるという、脚本的にも演出的にも見事なシーンでしたね。

「パージ」って、気軽なおやつかと思って舐めて観始めましたがたいそう気合の入った上クラスのおやつでした(←でもおやつかいっ)主人公パパがイーサン・ホークだし、製作にはマイケル・ベイの名前もあります。映像も編集もビシっと締まってるし、しっかり高予算映画と思われます。

シリーズらしい

シリーズになってたことも知りませんでした。ブラムハウスの作品予定に「The Purge 4」なんて書いてありますよ。大丈夫か。

近未来の変な設定なのに家庭内スリラーだったということが一番のお気に入りポイントなので、もしかしたらシリーズの他の作品はあまり好みじゃないかもしれませんが、まあでもこの脚本・監督の人も実力ありそうだしどんなのかなとちょっと気になります。

 

[広告]

コメントを残す