コンビニ・ウォーズ〜バイトJK VS ミニナチ軍団〜

Yoga Hosers
ケヴィン・スミス監督2016年の「コンビニ・ウォーズ〜バイトJK VS ミニナチ軍団〜」は「Mr.タスク」の完全スピンオフで力の抜けた珍作ですが観るべきところもいっぱい!
コンビニ・ウォーズ〜バイトJK VS ミニナチ軍団〜

Mr.タスク」に出てくるコンビニありましたよね、ジョニー・デップの娘さんが映画デビューした記念碑的作品、あれのスピンオフです。そう、コンビニ店員の二人の女の子を主人公に「Mr.タスク」よりさらに悪ノリをパワーアップさせためちゃんこ楽しい映画です。作ってるみんなの楽しそうな様子も画面の節々から滲み出てくる好感度抜群の映画でございます。

ケヴィン・スミス監督はこの後、心臓発作に倒れて危機に陥り、その後復活して激痩せしたこともまだまだ記憶に新しいところ、今頃この2016年のおちゃらけムービーを紹介するわけですがそれには訳があります。つまり、私が初めて観たからです。

さて、精神分析の先生ユングは「共時性」という言葉で偶然に神秘を見いだしました。フロイトが幼少期の性に拘ったのに対してユングは神秘に近づきましたですね。んで、それは置いといて、デ・ジャヴにしても金縛りにしても、往々にしてそれが起きるときというのは何かしら精神的に追い詰められているときだったりします。

さてMovieBoo映画部では前日につまらない映画を観てしまい、翌日も尾を引いていまして、リベンジを目指していたわけです。
「昨日しょうもうない映画観たから、口直しで何か観よか」
「楽しいやつがええな。重苦しいのは現実だけで十分や」
「楽しいやつか・・・ホラーしかないな。けどおもろないホラーは避けたいな」
「ホラー・シネマ・パラダイスみたいなのないんか」
「あんな至上の傑作がそうそうあるかいな」
「それにしてもホラー・シネマ・パラダイスは素晴らしかったなあ。何回観ても感動するわ」
「デボラ・テニス最高やし。デボラ・テニスに会いたい」
「デボラ・テニスええよなあ」
以下デボラ・テニス談義。
という馬鹿話をしながら映画を選んでいて、半ばやけくそで「コンビニ・ウォーズ」をチョイスします。「ケヴィン・スミスやで」「レッド・ステイトも最高やったな」

ということで「コンビニ・ウォーズ〜バイトJK VS ミニナチ軍団〜」のはじまりはじまり〜。

ジョニー・デップの娘さんはちょっと後にガシガシ出世してシャネルの何かにもなったりしたんですよね。その娘さんと、ケヴィン・スミス監督の娘さんが長々とお唄を披露した後、コンビニでやる気のないバイトをしております。
序盤いろんな人が登場して、登場するたびにゲーム画面みたいなのが出てきて人物紹介をします。この技法は後で判明しますがとんでもないパロディでして、もう監督ったらいろんなことを小馬鹿にしております。

で、開始早々女の子たちの親も登場します。コンビニオーナーのお父ちゃんにべったりへばりつく愛人で店長の女性が登場して、ハスキーボイスで父ちゃんにしなだれかかるわけですがここで映画部では衝撃が走りました。
「この人デボラ・テニスみたいな声やな・・・と、本人かいっ」
「デボラ・テニスやっ。まさか!」

奇跡のデボラ・テニスとの再会にMovieBoo映画部は阿鼻叫喚もとい狂喜乱舞の大騒ぎでございます。まるでビートルズファンのようにスクリーンに前のめりになり「デボラ・テニス!」「デボラ・テニス!」と黄色い声を張り上げます。

デボラ・テニス(コンビニ・ウォーズ)

あ、そうそう、この女優さんはナターシャ・リオンさんで、デボラ・テニスさんではありません。デボラ・テニスは「ホラー・シネマ・パラダイス」(2010)の役名でございまして、テレビシリーズ含めて多作に出演の売れっ子女優ですが映画部内では他の作品を知らず、ずっと永久にデボラ・テニスという認識です。

という、どなたさまにとってもまことどうでもいい個人的な偶然を喜んでるだけの駄文にお付き合いくださいましてありがとうございます。ついでにもう一個付け足します。

「コンビニ・ウォーズ」の元のタイトルは「Yoga Hosers」で、映画の中でもヨガが大活躍します。もうね、監督ったら何もかもを小馬鹿にしております。それはともかく、女の子たちが教えを受けるヨガの師匠がいまして、この人がジャスティン・ロングでした。前回名前を出したとたんにこうしてまたお会いすることになるとは、ここにも偶然という神秘の必然が宿っていました。

そろそろ気を取り直してこの映画の他の話です。映画全体から楽しさが滲み出てくるこのスピンオフ、前作「Mr.タスク」でもノリノリの悪ノリでギー・ラポワンテを熱演していたジョニー・デップが今作ではかなり中心人物となっています。ギー・ラポワンテと娘リリー=ローズ・デップの会話シーンの面白さったら格別ですよ。

この映画ではジョニー・デップとその娘さんだけに留まらず。ヴァネッサ・パラディも出演されています。親子三人で何やってんすか。と、思っていたらジャック・デップという人も出演していまして、この彼がリリーの弟だそうです。ていうか、誰?「牛モーモー」のあの子がそうかな?

タブロイド紙的なつまらない話ですが、この時期ジョニー・デップはとっくにヴァネッサと別れいてアンバー・ハードと結婚するかしてるかという時期、なのに(元)デップ一家四人で悪ふざけの映画に総出演、すごいす。

「Mr.タスク」でもその出演が話題だったハーレイ・ジョエル・オスメントがちょい役で出演していますが、その役が第二次大戦の時代にカナダでナチ運動を起こそうというファシストです。「AI」や「シックスセンス」の時と変わらぬあのつぶらな優しそうな瞳で独裁者的な振る舞いをするという妙竹林なシーンも見逃せません。

ハーレイ・ジョエル・オスメント(コンビニ・ウォーズ)

あとはもうね、いろいろ楽しいですが最高のシーンはミニナチが登場するシーンでした。予備知識0でしたから心底驚いて笑い転げました。

ドイツ人だからミニナチがソーセージとか、「善良なカナダ人はファシストの話に耳を傾けなかった」をはじめ最後でも噴出するカナダネタ、それから映画を貫くヨガネタ、そういったテイストは「ゾンビランド」にも通じますねー。

主人公の女の子二人は私生活でもずっと仲良しだったらしいです。ケヴィンの娘さんハーレイ・クイン・スミスは親の映画に無理矢理出演させられ悲惨な子供時代を送ったそうですが(公式にそう書いてあった)「Mr.タスク」で本気モードに突入したそうです。

2016年の「コンビニ・ウォーズ〜バイトJK VS ミニナチ軍団〜」を今頃初めて観て喜んで転げ回っているMovieboo映画部員たちですが、現実にはこの頃を境にジョニー・デップもいろいろありまたし、ケヴィン・スミス監督も病に倒れたりします。悪ふざけのおちゃらけムービーはある意味では旬というものが重要だったりします。でもこうして今初めて観るというピュアな人だって沢山いるんですね。映画は時空を超越して存在し続けます。そんな一面も感じさせる(感じひん感じひん)「コンビニ・ウォーズ」でございました。めっちゃオモロくて、誰がなんと言おうとお気に入りです。

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