王妃マルゴ

La Reine Margot
陰謀渦巻く16世紀パリの宮廷。愛欲と権力と宗教。流血と謀略のどろどろ史劇。イザベル・アジャーニと虐殺。
王妃マルゴ

「ノスフェラトゥ」(1979)を観て悶絶して以来、私にとっての初代永遠のアイドル、イザベル・アジャーニです。

「ノスフェラトゥ」はヘルツォーク監督による美しすぎるドラキュラ映画で、日本では多分83年ごろに観ることができました。これでイザベル・アジャーニにめろめろになりまして、眩暈がしまたまま「サブウェイ」の日本公開を待ち、公開されたときは劇場にすっ飛んでいったわけで、しかし期待とは裏腹にこれにはがっかりした覚えがありますが、あ、今気づいたけどリュック・ベッソンだったか。どうりでつまらなかったはずだ。あれ?世間での評判はいいんですか。再見しないと駄目ですかねー。 おっと「ぼくとイザベル」の作文はともかく、ずっと気になっていた「王妃マルゴ」は「サブウェイ」のさらに10年後、94年の贅沢歴史大作です。イザベル・アジャーニ、年いくつやねん。39歳くらいすか。いやはや、さすが化け物系のお美しさです。

監督は舞台演出の巨匠パトリス・シェロー。豪華大物俳優たちを迎え、巨額の製作費をかけた堂々の大作。 政略結婚のお相手、後のフランス王アンリ4世となるナヴァール王アンリに扮するのは近頃よくお見かけする大物ダニエル・オートゥイユ。このサイトでは「ぼくの大切なともだち」「隠された記憶」があります。優しそうな弱そうな顔の中心に目が寄ったようなあの独特のお顔がぴったりのやさしい役柄。最初「鳥」とか言われてんのが可笑しかった。
新婚初夜にアンリを誘惑するシャルロットはダリオ・アルジェントの娘、アーシア・アルジェントだそうです。

本作「王妃マルゴ」ですが、史実+長い原作ゆえ最初は少々取っつきにくいかもしれないです。ダイジェスト版を見ているような印象を受けてしまう部分もあります。史実や人物、主な事件の予習が必要かもしれません。

しかし役者さんが皆個性的なこと、虐殺シーンの流血や死体占いなど妙なシーンに力が入っていること、陰謀謀略愛欲絡みのサスペンス的な濃い内容などによって、最初はチンプンカンプンでもすぐにのめり込めるでしょう。

歴史や人物をよく知っていると話について行きやすいですが歴史自体がネタばれです。歴史や人物を知らないと最初とまどいますが展開が読めずハラハラドキドキします。どっちの見方も楽しめます。 フランスは愛の国。愛に寛容で愛のなせる罪にも寛容です。愛とは即ち性愛、きれい事どころか、肌と肌、粘液と粘液のねちゃくり合いの世界ざます。シェー。
この映画でもマルゴの愛が描かれます。しかし当然その愛はピュアなラブロマンスなんてものじゃございません。
超絶美貌にして多国語を操り科学にも長け詩人でもあったマルゴは一方では愛に奔放で兄弟とも関係があったとされ「淫婦マルゴ」などと呼ばれました。絵画作品にも天使のような丸顔がいくつも残されています。そのマルゴの愛欲はまさにこれぞ真の愛と呼んでいいほどの直球の愛です。
映画にはサン・バルテルミの虐殺を描くシーンがあります。何だ何だと思う間もなく展開される大虐殺には目玉まん丸お口あんぐりです。

イザベル・アジャーニと虐殺シーン見たさにこの映画を見たという不純な動機は内緒ということでひとつ。 1994年カンヌ国際映画祭審査員賞、最優秀女優賞。 1994年セザール賞主演女優賞、助演女優賞。

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このカバーアートは映画の内容と乖離してます。

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これがノスフェラトゥ。これはもうすでに美術作品と言っていい名作。 このほかにもノリノリの頃のイザベルが堪能できるアンジェイ・ズラウスキー監督「ポゼッション」(1981)があるんですが ポゼッション [DVD] うわっ。超プレミア価格。
最近、再発してませんでしたっけ。 イザベル・アジャーニの大出世作「アデルの恋の物語」は、フランソワ・トリュフォーが企画を6年も暖めていた頃にテレビで彼女を見てピンと来てすぐさま脚本を書き上げたといわれてます。


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後にイザベル・アジャーニは「この映画のおかげで今の私がある」と語ったのだとか。

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