カラマリ・ユニオン

Calamari Union
カラマリ・ユニオン

カラマリ・ユニオン(烏賊墨同盟)の15人の男たち。名はフランク。もうこれ以上故郷の地におれない。思い出は詰まっていて辛いが、理想郷エイラを目指して旅立とうではないか。ルートは自由だ。険しいが頑張ってくれ。以上だ。

カラマリ・ユニオン

アキ・カウリスマキデビュー2作目、1985年の映画です。ここにも、以降のアキ・カウリスマキ節の原点が詰まっています。
シニカルな笑い、妙な間、唐突な唄や演奏シーン、選曲の妙技、一目惚れ、貧困、ルーザー、港、喫茶店、レストラン、格好を付けた男たち、ハードボイルド、屁理屈、煙草、それに加えて出演者の顔ぶれまで、原点が含まれるというより、この監督は原点からほとんど何も変わっていないと見ることも出来ます。すごいです。
ただひとつ、普通の美女を出してくるあたりがそれ以降とは違います。一生を決定づけたカティ・オウティネンとの出会いがまだないのでしょうか。

笑いに関しては「カラマリ・ユニオン」、まだまだ露骨です。いかにも80年代風のネタが満載ですね。笑いに対する抑制はこの後どんどん効いてきますから、この作品にあふれる監督の若さを感じて親しみが持てます。

さて、全員の名前がフランクというこのわけのわからない同盟、貧困すぎてどうにもならない故郷を捨てる決心をして旅立ちます。名残惜しそうな演説をしてから出発ですが、いきなり地下鉄に乗り込み運転手を倒して出発です。ロードムービーとして地下鉄で数駅の旅というのが何とも和みます。
しかし険しい旅ですからメンバー全員無事に目的地にはたどり着けません。たしかに険しいです。死んだりします。
ゆるいのかきついのかわからないこういったセンスは確かに80年代の特徴のひとつかもしれません。我々も染みついていたりします。気をつけないと。でもどうにもならない。

「南米に住んでいて戦闘も経験した」という英語を話すフランクも登場して、めずらしくパロディ路線の笑いを見ることも出来ます。サプリメントの錠剤をもさぼり食い大袈裟で映画的な笑える英語を話します。

突然みんなでライブ演奏したりして「おれたちゃワルだ」なんてロックを歌ったりもします。後のレニングラード・カウボーイズみたいです。

フィンランドの都会を俯瞰するショットがあって、今となっては珍しい景色も見ることが出来ます。85年って、もういったいどれくらい前になるんでしょうね。

まるで友達の作品を見ているような気分になってしまうのは私の個人的な事情による感想でしょうか。
アキ・カウリスマキファンにとっては資料的にも価値がある若きフィンランドの奇才による力の抜けた初期作品。

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「カラマリ・ユニオン」への1件のフィードバック

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