パリ20区 僕たちのクラス

Entre les murs
パリ20区 僕たちのクラス

多く移民を抱えるパリ20区の中学校。24人の生徒たちと国語教師の1年間を描く。とことんリアル、真剣勝負の対話と議論。

パリ20区 僕たちのクラス

とあるクラスの教師と生徒のお話です。ドキュメンタリーかと思えるほどのリアルな演出と物語。
20区と言えば中心から離れた混沌の街、移民や貧困層も多く、公立中学校には様々な人種の子たちが通います。出来の悪い奴もいれば小生意気なやつもいます。
国語教師で担任のフランソワ先生と子供たちの本気の真剣勝負。教師も生徒も等身大、臭い設定や青い展開などありません。学園モノの奇跡のような作品です。
生徒たちの振る舞い、事情、関係、怒りや喜びを始め、教師の冷静さと非冷静さ、一所懸命さ、本気の議論など一瞬たりとも目が離せません。授業風景も面白いです。フランス語の授業、生徒目線で釘付けでした。難しくてよく判らなかったけど(笑)
彼らを取り巻く周辺、即ち教員たち同士の会話から生徒も交えた成績会議、生徒の親、校長の態度まで、どれをとっても大変おもしろいです。

校長が教室に入ってきて生徒を起立させます。「これは服従ではない。礼儀なのだよ」とのセリフに痺れました。
こういう言葉を中学生の頃に聞きたかった。

フランスは市民の革命によって自由を得、民主主義を勝ち取った歴史があります。権威、権力に対するものの考え方、民主主義の実践に関してはずば抜けています。
権力は市民が監視するものであって服従するものではないのです。学校教育でもそれが徹底されています。服従ではなく、礼儀なのだとするこの一言は大きな説得力を持っていました。

生徒の成績を決める会議に生徒代表が出席するというのもそうした観点から当然のシステムに思えます。それによって悪意の風説が流布されたりしますが、システム自体への疑問は微塵も浮かびません。すごいことですよね。

そうは言ってもきれい事だけでは成り立ちませんで、権威としての教員たちが生徒を裁き、排除しようとする重要なシーンがあり、様々な問題提起も行っています。

日本もいつか民主主義を勝ち取れるような国になるのでしょうか。無理だろうなあ。
問題意識そのもののレベルの差を強烈に見せつけられることになりまして、溜息が出る人も多くおられるのではないでしょうか。

この映画の原作「教室へ」は自らの体験を元に書かれたそうで、 つまり著者フランソワ・ベゴドー氏は教師なのですね。元教師なのかな。その「教室へ」が映画化され、監督と共同で脚本まで書きました。すごいですね。さらに主演までしました。なぬ。そう、このフランソワ先生を演じるフランソワ氏こそが、教師で原作者で脚本家で俳優であるところの当のご本人なのですね。これは驚いた。なんてこった。いい顔してるし演技もできるとな。とんだ才能出現。

子供たちは実際の中学生に希望者を募り、7ヶ月に及ぶワークショップを通じて選ばれた生徒たちだそうです。生徒たちも個性と魅力に満ちています。
24人全員をくまなく描くことを敢えてせず、何人かの印象深い生徒に的を絞った物語になっていますが、ちょっとだけ出てくる子にも十分存在感があり、良くできたシナリオにまたもや感心する羽目になります。

学園モノの決定版、歴史的傑作が世に出てしまいました。これは強くお勧めです。尾を引く終わり方も含めて、何もかもがおもしろかったー。

第61回カンヌ国際映画祭パルム・ドール
第24回インディペンデント・スピリット賞外国語映画賞
第34回セザール賞脚色賞

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