100歳の少年と12通の手紙

Oscar et la dame rose
100歳の少年と12通の手紙

白血病のオスカーは自分に気を遣ってばかりいる大人が気に入らない。そんな彼が乱暴な言葉遣いのローズと出会い、彼女だけを信用するようになるという、余命幾ばくもない少年オスカーとちょっと下品なおばちゃんローズの物語。

100歳の少年と12通の手紙

オスカーとローズが出会うのは病院のエレベーター前。口汚く罵るロースにオスカーは一目惚れ、誰とも口をきかないがローズとだけ話をするようになります。

子供と大人の交流の映画はいろいろありますが、その相手が強面の下品なおばはんという設定は斬新。これは一発で気に入りました。 しかしそのわくわく感は少しだけ裏切られます。強面で口の悪いおばはんはとっても優しい素敵な女性なんですよね。ローズの素敵さは徐々に現れてくるのではなく、いきなり優しさ全開でちょっと拍子抜け。

ところがそれはそれで全然問題ないのでして、勝手に定番ストーリーを決めつけてはいけません。 ローズが最初に病室に訪れるシーンですでに涙ぼーです。
ああいうさり気なさに弱いんです。一緒に観ていた映画部の奥様はあの最初のシーンは泣くどころか「展開が雑」とちょっと憤慨していたそうです。

この作品、私はだらだらと泣きながら観ていましたが決して泣かせるための湿っぽいドラマというわけではありません。コミカルなところも多く、ファンタジックなシーンも多用されていまして、もうちょっと下品でもよかったのにとしつこく思ってはいますが下品さもちゃんとあります。

オスカーは余命幾ばくもない病に冒されています。最初についうっかり生きられる日数を口にしてしまったローズが慌てて少年に告げるのは「1日を10年だと考えろ」です。
オスカーもこれをすっかり気に入り、今日は10歳、午後は15歳、次の日は20歳、とロールプレイに興じます。そして毎日神様に手紙を書きます。これがストーリーの骨子です。
オスカーは猛スピードで短くも長い人生を体験します。

そうです。これは基本的に童話なんです。

だから、生きる助言を与えるローズは本当に神様の化身のようですし、オスカーは良い子だし、病院の先生も両親もみんないい人で、映画全体にまろやかさが充満しています。随所に挟まれる下品なファンタジーシーンは臭くなりすぎないよう抑制を効かせますし、客が求める湿っぽさもある程度はしっかり表現したりして、油断ならない作品となっておりますね。

ただ、その、ファンタジーシーンですが、あれにはちょっとだけ不満もあります。気持ちはよくわかりますが果たしてそれほど効果的な演出だったかどうかはやや疑問。プロレスのファンタジーシーンと最後のほうのカレンダーのCGはちょっと頂けませんでした。

両親がやや蚊帳の外みたいな扱いで心配してましたがこちらもご安心を。ないがしろにするわけでもなく、ローズとのドラマをかき消すほどの存在感を与えるでもなく、丁度いい案配になってます。このあたりは結構絶妙だと思いました。

もしかしたら、お子さんがいらっしゃるような方は両親の描き方を物足りないと思われるかもしれませんがわかりません。いろんな部分が人それぞれ。

我が国でも数年後、白血病や甲状腺癌の子供が増えるだろうと思われまして、親より先に子供が死ぬという耐え難い苦しみを多くの人が体験せねばならなくなります。その時の覚悟のためにも、本作は特に若いお父さんお母さんは観ておいたほうがいいかもしれません。

余計な助言ですが今現在ちびっ子を抱えている親御さんは、食べ物飲み物に本当に気をつけてください。嘘の数値や偽の判断や数値を隠したものに騙されないように十分注意して自身とお子さんを守ってくださいませ。そのための正しい数値の細かい公表を求めていく必要があります。隠してはいけません。隠すから風評が発生するんです。数値を出し、それを見て判断するということが必要ですね。

[追記]どうやら内閣が基準値を大幅に緩和したようです。法律に定められた数値から大きく逸脱する年間20ミリシーベルトという値を子供にまで適用するという気が触れたようなことをさくっと決めました。法律違反ですから犯罪ですが、多分超法規的な措置だろうと思われます。つまり法律を無視してよいとするほどの非常事態ということです。これまでの基準は1ミリシーベルトでしたから、少なくとも20倍の死を受け入れよということです。こんなの真に受けて子供を放射能にさらすのは出来る限り避けてくださいませね。

監督のエリック=エマニュエル・シュミットは1960年生まれの劇作家。フロイトと青年の会話劇「Le Visiteur」が絶賛され「Variations énigmatiques(謎の変奏曲)」も大ヒット、名作文学の戯曲化、テレビや映画の脚色、小説家と多くの仕事を手がけます。映画監督としては「地上5センチの恋心」に次いで2作目です。

「100歳の少年と12通の手紙」は世界40カ国で翻訳されたベストセラー小説の映画化ということで、原作、脚本、監督を自身でこなしました。 原作小説はオスカーが書いた手紙の形式で綴られているそうで、私未読ですが面白そうですね。

ローズを演じたミシェル・ラロックはエレガントな人気女優。舞台女優としての仕事がパトリス・ルコント監督に認められ「タンゴ」に出演。「ぼくのバラ色の人生」「メルシィ!人生」など。コミカルな役が似合う、かなりの人気がある女優だそうです。味わい深さも十分出てきた姐さんです。

デュッセルドルフ医師を演じたのは大物マックス・フォン・シドー。「エクソシスト」のメリル神父ですねー。最近では「潜水服は蝶の夢を見る」「シャッターアイランド」などでも印象的。ていうか出演作多すぎの超ベテランですのでいつかどこかで見た人って感じですね。年いってからの方が寧ろ売れっこかも。貫禄あります。

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