ビデオドローム

Videodrome
地方テレビ局の社長は貪欲に刺激的な番組を求めており、そんな彼がある時出会う暴力と官能の映像ビデオドロームの虜になってまいります。 クローネンバーグの名を轟かせたご存じニューウェーヴサイバーパンクSFホラーの礎的作品。
ビデオドローム

なんかカッコ悪いDVDカバーアートですが、当時はこの手の映画の売り方がわからず、ホラーアクション的な映画に見せようとした名残りでしょうか。そういえば「スパイダー」のカバーアートもこんな感じでしたねー。もうちょっと何とかならんかったのかと。

さて古いカルト的人気の映画ですがこちらも映画部奥様未見シリーズということで原発地獄の最中に悪趣味に再見。「イレイザーヘッド」と違い、こっちはポップにお気に入りだったのでビデオの時代にも何度も観ておりまして個人的にはお馴染みの作品です。ゆえに冷静に評価できず、今の時代に初見の人がどういう感想を持つかも興味津々。

映画部の面白奥様は映画的懐が深いので「ビデオドローム」ももちろん好感触。面白い面白いというわけで一安心です。

「スキャナーズ」で話題のカナダ人監督が放ったこの映画、後のいろんな映画にも影響を与えましたね。単なる訳の分からない映画っていうんじゃなくて、その中に若者が好みそうな要素が天こ盛りでして、ビデオを体内に取り込んだり拳銃と腕が一体化したりモニタ上にだけ存在する人が出てきたり、フィリップ・K・ディック的な要素や音楽要素などをホラーの技法や若干のインテリ性などとともにまとめ上げ、映像共々とてもカッコ良く仕上がっています。

ステージでマイクを拾い「ビデオドロームに死を!」ってところなんかのパンクロック的カッコ良さったら格別。言葉のリズムも歌の一節のようです。

主演のジェームズ・ウッズ、そしてデボラ・ハリーもいいです。ブロンディが強烈な役で出るってんで大変話題になりました。ジェームズ・ウッズは著名な俳優になりましたが未だに「ビデオドロームの人」なんて思ってしまいます。

モニタの中にだけ存在するディック的人物を演じたのはジャック・クレリーで、この人「博士の異常な愛情」に出てるんですね。2004年に亡くなっています。
印象的なあのおばちゃん、1920年生まれのライン・ゴーマンも忘れられません。カフェで話をするシーンに登場するあの素敵なカフェもいい店でした。ライン・ゴーマンは89年に没しておられます。

おなじみレスリー・カールソンもインパクト大。この方、いろんな映画で拝見していると思い込んでいましたがよく調べると「ビデオドローム」と「デッドゾーン」と「ザ・フライ」だけの印象でした。なんだか勝手に「いつも見ているお馴染みの人」とか思い込んでいただけのようです。「ビデオドローム」を何度も何度も見すぎていたせいでしょうか。

「ビデオドローム」の人気にあやかってか、80年代前半から半ばにかけて、いろんなニューウェーヴ的映画が日本にもやってきました。その中に「リキッド・スカイ」という映画があったんですが、こちらは私は全然面白くなくて「かっこつけてるだけのカス」などと言って、絶賛している一緒に見たサックス奏者と喧嘩寸前までなってしまったという恥ずかしい思い出もあります。でもあのへなちょこな歌は今でも脳味噌にこびり付いています。今でもこびりついていると言うことは、いい映画だったのです。当時貶してごめん。
「ピンクフラミンゴ」や「エル・トポ」なんかもその後日本に紹介され、ビデオの普及と共に「バスケットケース」やら何やらと、所謂カルト的映画が大全盛、みんながよってたかって「カルト」「カルト」と念仏のように唱えていた牧歌的時代です。そういう流行も「ビデオドローム」のヒットがあったからこそだったのかもしれませんがわかりません。単にバブルで何を輸入してもちゃんと売れて客が入ったという素晴らしい時代だったのかもしれません。

なんだかただの思い出話ばかりですが、80年代に対する羞恥心というものがさすがにこの年になると薄れてきて、それというのも映画とは全然関係ありませんが音楽方面でですね、昨年末の「アマリリス」に次いで(詳細は「下間物語」にて)、なんとEP-4と佐藤薫のプロデュース作品を集めたアルバムが立て続けにリリースされることになってですね、今日2011年5月18日はその発売日と、こういうことになってるんですねえ。
そんなわけで近頃めっぽう80年代づいておりまして、EP-4などという硬派の不良テクノってのはこの「ビデオドローム」に限りなく近いようなそうでもないような、というかそういう印象があるもんですから、Movie Booでも懐かしシリーズということで取り上げたついでに、ここはCDの宣伝もしておこうかなと。

MOODOOISM~An Eclectic Collection of Works by Kaoru Sato~

佐藤薫、EP-4、アマリリス、アリスセイラー、タコ、のいづんずり等々に混ざってチルドレンクーデターも83年リリースカセットブックから一曲だけ入っておりますねえ。懐かしいですねえ。3枚組3150円というお得で貴重なこのアルバム、そっち系の住民は買わないと。
もう一枚、EP-4の「リンガフランカDELUXE」も発売されますねー。こっちも必見。必聴か。

というわけで私の音楽も収録されてるのでこの場を借りて宣伝ということで、どぞよろしく。

ますます「ビデオドローム」から外れてしまいましたが大丈夫。「ビデオドローム」は今見ても十分カッコ良くて面白いです。

[追記]

2014年5月14日。レスリー・カールソンさんが5月3日になくなられていたというニュースを見ました。
81歳になっておられたということにショック大。年月は無慈悲に流れて行っております。

 

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