パッション

Passion
パッション

名画を再現する映画「パッション」を撮る面々。ジャン=リュック・ゴダール1982年の傑作。

パッション

突然「パッション」を再見。これ、公開時劇場で観た時はぼかしだらけでいかがわしさ満点だったんですがDVDでは余計なぼかしがないということでまた観たいなあとぼんやり思いつつまあいいかと放置していたんですが随分久しぶりに雨も降ってることだし観てみようってことで観ました。

公開時の印象はとてつもなく強烈でして、名画を模する映画撮影シーンの美しさは自称美術家の若者にとっては神々しささえ感じる作品でした。

ちょっとだけ残念だったのはやはり今からすれば古い映画となりますゆえ、画質的に少々の劣化を感じないではおれない点です。劇場の時は「なんという美しい映像」と溜息でしたが、久しぶりに観てみると、修正しているはずなのにフィルムの劣化は隠せません。でもまあこうやって保存されてるだけありがたいことです。

映画内映画で撮影されている名画の数々は皆様ご存じの超有名作品ばかり、レンブラント「夜警」、ゴヤ「裸のマハ」「5月3日の銃殺」「カルロス4世の家族」、ドラクロワ「十字軍のコンスタンティノーブル入場」「天使と戦うヤコブ」、ヴァトー「シテール島への船出」、アングル「トルコ風呂」、グレコ「受胎告知」。名画、他にもあったかな。部品としては他にもあったように感じますがよくわかりません。
まあすごいです。

グレコに関してはお茶目な思い出があります。ちびっ子の頃なにかの面接で書類に「好きな人」を書く欄があったので「シケイロス ダリ エルンスト フェルメール 楳図かずお」などと汚い字で書いていたら面接官がそれを見て「グレコですか、いいですね」と言ってきたので「グレコ?なにそれ」と思いつつ「はい」などと答えまして、きっと字が汚すぎて「ダリ」と「エルンスト」のあたりを「グレコ」あるいは「エル」とか何とか勘違いしたんでしょう。で、悔しいので早速本屋に行ってエル・グレコを調べていっぺんに気に入りまして、それからしばらくはグレコグレコと言いまくっておりましたという、まあつまらない話ですいません。

映画を撮影する映画ですから私の大好きなメタ系作品です。メタ映画として映画を語るだけに留まらず「物語」という心理学的テーマも物語の中で物語ります。映画の物語について語る物語の映画。物語はないのだと言い切る物語が物語の神話性をも浮き彫りにします。
そしてメタ・テイストのオチはこうでなくっちゃというドタバタと静寂。
これは素敵。

全然意識してなかったんですが、ハーモニカを吹く工場労働者でどもりのイザベルを、名女優イザベル・ユペールが演じます。ひゃー。イザベル・ユペールといえばハネケ「ピアニスト」の変態。もう「ピアニスト」のラストシーンの強烈さで観る者を一生疵物にするトラウマ女優として永遠に刻み込まれた大女優イザベル・ユペールです。
こうして再見するまであのどもりのハーモニカ吹きがイザベル・ユペールとは思いもしていなかったのでこれは大きな収穫でした。

「パッション」への4件のフィードバック

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