レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

Leningrad Cowboys Go America
フィンランドの架空ロックバンド「レニングラード・カウボーイズ」が世界のスーパースターを目指し豪腕マネージャと共にアメリカに渡ります。 ご存じレニングラード・カウボーイを産み落としアキ・カウリスマキの名を轟かせた89年フィンランド映画。
レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

この映画は架空のロックバンド「レニングラード・カウボーイズ」の旅を描くロックンロール・ロードムービーですが、これが大ヒットして、登場するバンド(元々はスリーピー・スリーパーズというバンドだったらしい)は本当にレニングラード・カウボーイズとして活動を開始し、ヒットは飛ばすわヘルシンキででかいコンサート開くわ、一時期一世を風靡しておりました。
カキ・カウリスマキの名もこの映画のヒットにより世界に轟き、一躍スーパー監督として世界中の人が知るところとなった作品(らしい)です。

さて冒頭、レニングラード・カウボーイズという田舎バンドが牧歌的な景色に佇む小さな小屋でバンドの練習をしております。サングラスに超リーゼント、爪先がとんがった靴という怪っ態な出で立ちで無表情にポルカの演奏をしているこの冒頭の演奏シーンで完全にこの映画、このバンドの虜になること間違いなし。素晴らしいです。選曲も実にいい。
その様子を小屋の外からのぞき見る怪しい男。「このバンドはいける」と確信し、自分がマネージャとなってアメリカへ営業の旅に出向くことを計画します。
メンバーのうちの一人は極寒のために凍っておりまして、その凍ったメンバーも含めて全員で夢の国アメリカへ旅立ちます。
アメリカのシーンではジム・ジャームッシュが出演しています。
さて、バンドは成功するのでしょうか。どんな旅が待ち構えているのでしょうか。
そして旅の果てにくるものとは・・・。

というわけでこの映画は基本コメディですが、よくまあこれほどへんてこりんな話を映画にしたものです。今でこそこういうタイプは「北欧的」「オフビート」「シニカル」「シュール」「惚けたセンス」などと伝えやすい単語で語られますが、ただ惚けているだけじゃなく演奏シーンもいいし皮肉も効いてるしアメリカやメキシコの捉え方や描き方がツボを突きまくってるし、89年の映画ですがはっきり言って今観ても何ら古くさいところもなくむしろ斬新さすらあるはずです(多分)
個人的に、自分のメキシコ好きを明確に自覚したのはこの映画がきっかけだったかもしれないと思っているほどです。
もし未見の方は是非一つ。

とは言いますものの、この「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」と続編「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」が二本収録された「トータルカウリスマキ 3」は未だ入手困難、なかなか機会はないかもしれませんですねえ。運良く場末のレンタル屋にあったりしたら、即ゲットしましょう。

この「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」はべた褒めの歴史的お勧め映画ですが、続編の「モーゼに会う」は曲者です。なんだこれは?という出来にて、とても多くの人にはお勧めできません。マニアックすぎます。そういうのを鑑みても「ゴー・アメリカ」が如何に奇跡の傑作かということがわかるかもしれません。

レニングラード・カウボーイズの映画はもう一本「トータル・バラライカ・ショー」があります。これはヘルシンキで行われたコンサートを収録した映画で、とても良い音楽映画です。が、これも「トータル カウリスマキBOX」の6巻目でして、ボックスセットを買った人だけについてくる個別販売なしの超貴重版。入手困難は続いています。
こういうののためにもiTunesなどネット配信に期待したいところですが、現実には貴重な映画こそが配信されないという珍妙な状況が当たり前の事実として定着しております。

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コメント - “レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ” への3件の返信

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