カーズ2

Cars 2
「カーズ」の続編は盛り沢山ドタバタスパイアクション。
カーズ2

最初の作品以来、抜きんでた脚本力とキャラクターの魅力で他の追随を許さぬ名作製造マシン、Pixarの最新作は「カーズ」の続編「カーズ2」ということで、いつの間にか公開されいつの間にか終わっていていつの間にかDVDが出ていまして、あまり大きな話題にもならなかったようで、「あれ?」と思ってしまいました。
そもそも例外なく弩級の名作群を作り続けていたPixar作品の中でも、敢えてランクを付ければぎりぎり一番下かな、どうかな、と言っていい微妙な「カーズ」の続編というだけですでに「あれ?」です。
ジョン・ラセターが深く関わっているし、外しているはずはないと信じて早速観てみました。

「カーズ」ではノスタルジーと再生をテーマにドラマが進行しましたが「カーズ2」は全く趣が異なります。
「カーズ2」はおんぼろレッカー車が主人公のコミカルスパイ活劇です。
世界各国を舞台に暴れまくる安心娯楽大作で、舞台となる各地のCGの作り込みは脱帽レベル、技術的には毎度毎度ほんとに凄いです。で、そういうCG技術に溺れることなく、やっぱりキャラクターに命を吹き込み、誰が観ても楽しい映画に仕上がっています。

ただし。

求めるものが大きくなりすぎているというハンデはあるにしても、今作はPixar作品としては少々残念レベルだったことは否めません。
最初の「トイ・ストーリー」以来、初めて「普通レベル」の映画として認識してしまいました。
面白いんですよ。面白いんですが、面白いだけなんです。なんて贅沢な感想。
各種アクションにしてもギャグにしても物語展開にしてもどきどき感にしても、すべてが予定調和、あまりにも当たり前、典型の中の典型、類型中の類型です。キャラクターに意外な一面もないし多面的でもないし、ドラマにひねりがあるわけでもないし、ひどい言い方ですがまるで「面白い映画のカタログ」です。あちゃ。ほんとにひどい言い方。

素直でたいへんよろしいとも言えるんですが、なにしろPixar作品ですから、やっぱり期待値が高すぎるんでしょうか。

見終わってひとつ思ったことがあります。
それは、いままでにないほど、制作の面々が自由にやっている感じを受けたことです。
今回は何一つ無理することなく、のびのびと作っている印象なんですね。カーアクションや単純な友情物語、ドタバタ、そしてエンドクレジットのポップなデザインに至るまで、良くも悪くもアメリカの娯楽作品で育った人たちが思うがままに楽しい映画を作った、という感じです。つまりとてもアメリカンです。
多分、この「とてもアメリカン」な感じが、人によってはあまり楽しくないのかも知れません。もちろん人によってはだからこそとても面白いと思うかもしれません。
オーソドックスの再確認と言っていいような捻りのないストレートな娯楽活劇。そういう意味で、なんだかとても素直な映画に思えます。
Pixar名作史の中で、初めての凡作というショックな出来事に遭遇してしまいましたが、名作率100%の継続なんて不可能ですから、そろそろこのくらいの軽い作品があってもいいんじゃないでしょうか。

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