宇宙人ポール

Paul
宇宙人ポール

米国で行われるオタクの祭典「コミコン」にはるばるイギリスからやってきた二人の男が、エリア51近辺で逃げ出した宇宙人ポールと出会います。SF映画への愛に満ちあふれたパロディ映画。

宇宙人ポール

「宇宙人ポール」、上映中は各方面から絶大な評判を聞きましてですね、かなり観たかったんですが叶わず、こうしてDVD化されたのを期に大急ぎで手に入れて観たわけですが。
いやー。これ面白いです。めちゃ好きです。
想像していたのとは全然違っていて、きわめて真っ当なSFパロディファンタジーアクション巨編です。いえ、イギリス映画と聞いていたものですから、てっきり、イギリス的な皮肉に満ちた身の丈コメディの小品かと思ってたんですよ。

「宇宙人ポール」はパロディ映画ですが、ブラックな皮肉どころか、パロディ元のSF映画への愛に満ちあふれた作品となっています。米英の製作で、イギリス的な会話の妙技とアメリカ的な娯楽要素がどちらも満載で、仕掛けはゴージャス、アクションど派手、これが何で拡大ロードショーされなかったのか理解に苦しむほどの、いわゆるちょっぴり変わった味付けではあるものの普通の面白大作です。普通にみんなが楽しめます。

特にSF映画ファンならさらに楽しめるかもしれません。

なんてことを書くと、SF映画ファンにしかわからぬギャグで普通の人は置いてけぼりかよ、と受け取られるかもしれませんが、多分そんなことありません。パロディ元なんか知らなくてもちゃんと面白く作ってあります。マニア的な厭らしさは全くありませんのでご安心を。

てなことを前提に、でもやっぱりSF映画ファンの心をぎゅっと鷲掴みなのは紛れもない事実でして、数々のパロディシーンやオマージュはネタの宝庫、で、この、SFオタク的レベリングという小技も感じることができます。
誰でもわかる簡単レベルからマニアにしかわからぬ高難易度まで。狙ったのかどうかは知りませんがそんなふうに散らしたかのように見えます。

私はSF映画は大好きなほうですが、苦手なのもあってたとえば「スタートレック」ネタなんかは全然わかりません。
「未知との遭遇」は人生に大きな影響を与えてくれた映画でして、わりと何度も観たので細かな部分のパロディなんかに気づいたりします。「スターウォーズ」のシーンや音楽が出てきたりもします。SF映画に限らない映画のパロディも散見できます。

全体的には「ET」と「未知との遭遇」をベースにしたようなお話で、きわめて真っ当です。脚本的には全く羽目を外さず、ちょっとその辺を物足りないと思う人もいるかもしれませんが、羽目を外す代わりにSF映画への愛に満ちているからいいとしましょう。

さてSF映画のパロディでありながらその実しっかりSF映画しちゃったこの作品に似た傾向の作品と言えば「ゾンビランド」や「キック・アス」「スーパー!」ですね。
元になる特定ジャンルのパロディをやりつつ、しっかりそのジャンルの映画としても成立しているという共通点があります。
パロディ元が大好きな人にとってはたまらなく面白く感じるポイントですね。

私はヒーローものの映画はあまり得意じゃありませんので思い入れも知識も何もありませんが「キックアス」とか、それなりにかなり楽しめました。
SFを知らない人が観た「宇宙人ポール」のおもしろさも、私が「キックアス」で感じたおもしろさに近いものがあるのかもしれません。多分。
我が家の家人はSFを毛嫌いしているほうであるにもかかわらず「宇宙人ポール」を無茶苦茶気に入って「面白かったー。面白かったー」と大はしゃぎですから、そういうのを確信できました。
そんなわけで、SF映画好きにとっては絶大な、そうでない人にとってもかなりの面白さが「宇宙人ポール」にはあると断言できます。

主演の二人、ニック・フロストとサイモン・ペッグは脚本も担当しています。役者としてのオーラが若干少なめのこの二人、とてもよい味わいを持っているのは、自分たちの脚本だったからですかー。これは知りませんでした。いい話だなあ。ちょっとヌルい系の主人公をやってる人が脚本を担当していると聞いて大きく合点した「ソウル・キッチン」なんて映画もあります。なんとなくとぼけ具合と小気味のいい脚本のノリが似てたりします。しませんか。そうですか。

ところでシガニー・ウィーバーですが、この人も今や尊敬できる大物であります。なにより尊敬できるのは、ちょっと意外な映画の意外なちょい役で出演することが多いことです。唐突に出てきて「えっ」と思わせます。そういう作品がいくつもありました。どう出れば受けるのかよーくわかっておられるようです。

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