少年は残酷な弓を射る

We Need to Talk About Kevin
少年は残酷な弓を射る
公開年:
2011
製作国:
監督:
製作総指揮:
脚本:
原作:
音楽:
主演:
出演:

少年が残酷な弓を射るという話です。

少年は残酷な弓を射る

これは邦題ひどいですね。笑っちゃうほどひどいです。なんせほら、映画本編がいろいろあって、最終的に少年が残酷な弓を射るという話ですよ。なぜそれをタイトルにするのかその無神経さに正気を疑います。これではまるで犯人の名前をタイトルにした推理映画です。これではまるでどんでん返しで有名な映画に「実は死んでいた男の悲哀の物語」とかってタイトルつけてるのと同じです。
オチが大事な映画じゃないから誰も気にしないんでしょうかね。まあいいですけど。好きにすりゃいいですけど。

何となくの期待感を込めて劇場に行こうと思ってたらとっくに終わっていて、気づいたらもうDVDが出るという、じゃあ待つか、と、いつものパターンでDVD出てから観ました。

何となくの期待感は別の意味で満足させていただきました。別の意味というのは主演のお母さん役ティルダ・スウィントンです。
この作品、基本的にティルダ・スウィントンがひとり頑張る作品で、見ていて苦しくなってくるし、演技頑張ってるし、見応えあります。特に子供がチビの頃の辛さはもう何かたまらないほど辛いです。映画を観て辛い思いをしたい映画マゾには良い選択肢となります。

で、本来の期待感というのはもちろん子供です。意外だったのは、この作品では赤ちゃんからちびっ子になって少年になるまでの描写が結構たっぷりありまして、単に少年犯罪のネタの少年物という感じじゃないんですね。
で、赤ちゃんのころやちびっ子のころの母子のお話はめちゃおもろいんですが、やっぱり少年に育ってしまってちょっとパワーダウンしてしまいます。まず第一に、美少年風の役回りである少年が、漫才師の麒麟にしか見えないという、これ、誰かひとりくらいは賛同をしてくれるでしょうかねえ、どうでしょうねえ、とにかく麒麟である美少年がちょい気持ち悪いんですね。色も白くて。それと肝心なところですが、少年にリアリティというか、危うさや危機感や、そういうどろどろの部分があまり感じられません。端的に言うと漫画的です。特に角度とか。

角度についてですが、最近どこかでも書いたんですが、若い綺麗な人がうつむき加減で目だけ上を向いて睨みつけている構図にうんざりします。
知らないくせにイメージだけで言いますが、漫画的でゲーム的であると感じています。なんかこの角度のポーズが目についてしょうがないんですね。はっきりいうと嫌いです。あの構図。

でも気づきました。なぜ漫画的ゲーム的な「俯き睨み」が嫌いかというと、あの角度の元祖がキューブリックだからですね。特に時計仕掛けのアレックスくんや作家ですね。あれです。あれの劣化再生産です。
元祖があの構図、あの角度で人物を描いたのを初めて見たときはそれはそれは衝撃的でした。
衝撃的でオリジナリティがあったために、長い間映画人は真似をしてきませんでした。したのかもしれませんがよくしりません。あれを深く考えずに表面的に軽々しく真似して取り入れたのは漫画やゲームであるというイメージを持っています。で、さらに時が流れ、漫画やゲームの影響下にある映画人が二次パロディをやり出してるんじゃないかと疑ってます。この二次パロディってところが劣化の象徴で、それを感じるからああいうシーンが出てくると呆れるんですね。個人的な勘違いだったら良いんですけど。

というわけで、二次パロディ的な麒麟美少年が怖い少年で、その怖さもまあよくある少年の怖さで、そういう方面では特に面白味はありません。
ただこの少年の妹の件や、やはり辛い思いをし続けているおっ母を見てるとこちらも身をよじります。

赤ん坊の頃からこの残酷な少年を描きますが、その描き方と、ラストのほうの描き方の整合性がまったくとれてなくてちょっと面白いです。

あんまり書くと邦題と同じくらいネタバレになってしまいそうですが、あのね、おもしろいのはね、この残酷な麒麟美少年は生まれたての赤ん坊の頃からすごいんです。
どのぐらいすごいかというと、これオーメンです。
リアリティのあるティルダ・スウィントンの演技と、オーメン赤ちゃんの前半はほんとにホラーっぽくて凄いです。怖いし辛いし変だし意味わかりません。いい意味で。

最後のほうはよくある理解しがたい少年犯罪っぽい展開になります。「でもなー。こいつ、もともとオーメンだからなー」と思って観てますから、最後の最後、あのラストのシーンとかわりと「?」です。

というわけで、面白いのか面白くないのかというと、面白いです。怖くて辛いです。特に子供がチビの頃に見応えあります。でもなんかちょっとシナリオの一部に漫画的ひっかかりもあります。ですので褒めちぎるほどではありません。

迫真の辛い演技と母のリアリティ、オーメンっぽさホラーっぽさはかなりのレベルで良い感じです。

ティルダ・スウィントンは制作総指揮にも名を連ねていますし、リキ入ってます。辛さはたっぷり堪能できます。
子育て最中の疲れているお母さんは決して観てはいけません。いやまじで。

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