ジェーン・エア

Jane Eyre
19世紀の古典小説「ジェーン・エア」の映画化21世紀キャリー・ジョージ・フクナガ版。 孤児であるジェーン・エアがいろんな目に遭ったり家庭教師になって家の主人と恋したりするという、ひとりの女性の半生。
ジェーン・エア

「ジェーン・エア」という1847年に出版された女性小説は今なお読み継がれ映画になり舞台になりいろんなものになっています。

映画化だけでも、18回はされているそうです。そんな古典の名作を今敢えてまた映画化するという、ここまでくれば勇気とかそう言うんじゃなくて、もうやり続けるしかないのでしょう。で、監督は「闇の列車、光の旅」のキャリー・ジョージ・フクナガです。大出世の大抜擢ですね。

どんなお話かというと女性の物語です。孤児になって引き取られた叔母の家でひどい虐めを受けていろいろ苦労して、勉強頑張って家庭教師になって住み込みの仕事で独立、そんでもって身分を乗り越えての愛があり、その愛すら個人の自立という心的にとても現代的な意味合いがあったりして、傷つくこともあったり葛藤やなんかもあります。そういう女性の半生です。一生でないのがポイントです。決して年老いた姿までは描きません。
この女性はピュアで素朴で芯が一本通っていて強気で勝ち気でモテモテで、強いところも弱いところもあって、愛に一途で傷つきやすく、誇り高くて言葉少ないそういう女性です。

今ある全ての少女小説や少女漫画のお手本になったのではないかと勘ぐってしまうほどの、それはそれはもう絵に描いたような女性の生き様と恋の物語です。とてつもない少女漫画です。しかも原点です。もはや少女神話です。

古典の名作とは言えやはりネタバレは避けたいので細かくは言いませんが、ありとあらゆるストーリー展開と収束、全ての登場人物の設定がオーソドックスを超えた神話レベルの基本形です。でも確かに面白いのですよこれが。

全てを見終わって「何たる少女漫画!」と驚愕していると、横で見ていた映画部のやさぐれ奥様、目が少女漫画のようにキラキラ輝いております。そうなのです。今なお誰が見てもこのお話の前では目がキラキラ輝くのです。19世紀から全ての女性を虜にしてきたあらゆる意味での原点の物語がここにあります。古典おそるべし。オーソドックスの根っこ凄まじきです。

監督の腕前に関してですが、この方やっぱり実力あります。風景とか凄くいいです。映像の全てに気品があり、文句を付けるようなところはまったくありません。

ただ、元の小説を知りませんがきっと各部分でたくさんのエピソードがあって、時間の流れを感じる長い話なんですよね。ですから、小説の全部を描ききれるわけがなく、いろいろ省略しているようなんです。その省略が大きすぎて「ん?」ってなるところもなくはないです。

でもこれは仕方ありません。むしろ、原作の多くを詰め込んでダイジェスト版かあらすじ紹介みたいな映画にしなかったのは判断としてはとても正しいと確信できます。

主演のミア・ワシコウスカやおばさまジョディ・デンチ、その他登場人物みなさんいい感じです。演出もいいし役者もいいです。
音楽のダリオ・マリアネッリは、これまで素晴らしい映画音楽を大量に作ってきたあの人ですね。売れっ子起用しましたね。いいですね。

古典でオーソドックス、映像綺麗、愛の映画、まったくもって安心して観ることができる作品です。女性のあなたなら目がキラキラすること請け合い。

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