Mother マザー

House Of Voices
「マーターズ」「トールマン」のパスカル・ロジェ2004年のデビュー作。閉鎖されるゴシックホラー孤児院にやってきた美女アンナ。あんなことやこんなことがおこります。
Mother マザー

最新作「トールマン」が評判よく、DVD化してからも評判がよく、レンタル店でも大人気、というか入荷少なくみんな困ってるそうな。そんな「トールマン」のパスカル・ロジェはちょっと前に「マーターズ」で話題をかっさらっておりました。

で、「トールマン」を観る前にこの監督のデビュー作を観ていないことに気づいて、観ておかねばと調達してきました。

「Mother マザー」っていう単純かつややこしい上にネタバレ的な邦題が付けられてしまい、そんでもってカバーアートなんか見るも無惨な最低デザインになっています。タイトルもカバーアートもちらりと見ていましたが興味を引かず、パスカル・ロジェ作品とは気づきもしませんでした。
(このページの画像はオリジナルタイトル「House of Voices」で拾ってきた本国のポスターです。日本版の劣悪なデザインはAmazonリンクで確認できます)

さてこの「Mother マザー」ですが、ゴシックホラーの美しい映像で描く美女の奮闘記です。とてもオーソドックスです。
閉鎖する孤児院に住み込みで働く美女が秘密を探ったりする系です。

パスカル・ロジェっぽさ、というか、あまり知らないので「マーターズ」っぽさと言い直しますが、同等の「ぽさ」が最後のほうにちょっとあったりして、興味深い作品ではあります。
極めてオーソドックスに責め立て、でも最後のほうでストンと違和感を体験させるっていう、そんな感じですか。ボーマン船長が宇宙の果てでロココな部屋にたどり着くみたいな、あの感じが好きなんでしょうかね。いい感じと思います。

さて美女です。
この映画、とても美しい映像に満ちていますが、とても美しい女優にも満ちています。
主人公の美女はどこかで会った人だなあと思ったら、「8人の女たち」のぴちぴちギャル、ヴィルジニー・ルドワイヤンでありました。綺麗で可愛く美しく。まあ、基本この映画はヴィルジニー・ルドワイヤンのアイドル的映画と思って差し支えありません。
すべてのシーンがこの女優を美しく撮ることだけ考えて作られたの如しです。
確認していませんが、当時監督と付き合っていたんですか?知りませんけど、そうであっても納得です。それから、撮影時ほんとうに妊婦さんだったそうです。観てるときは「凄いなあ今時の特撮は。本物妊婦さんみたい」と思ってたんですけど。そんなこともあって、このフィルムがとっても貴重なものであることがおわかりかと思います(妊婦さん情報もどなたかのブログで見ただけなので本当かどうか確認とかしてませんけど)

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もうひとり美女がおります。
ちょっとギスギスしている感じなのであまり好みではないという人もいるかと思いますが、ややガイコツ系のもうひとりの美女、この人もどこかで会ったなあと思っていたら、なんと会っていませんでした。でも誰かに似ている。目元とか。誰だっけ誰だっけ。そうだジェーン・バーキンだ。
というわけで、そうです。ジェーン・バーキンの娘さんであるところのルー・ドワイヨンです。
ドワイヨンというくらいですから、父はジャック・ドワイヨンです。ゲインズブールではありません。

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まだまだ美女がおります。
孤児院の院長フランカラド役で、少々お年を召しておられますが、カトリオーナ・マッコールです。知りませんか?はい。私も知りません。怖い系の映画に出てた美女ですか。その筋の映画ファンの方にはお馴染みなのではないでしょうか。お若い頃の美しさがgoogle画像検索などでご覧になれます。Catriona MacCollです。

まだおります。
おばちゃんイリンカ役、ドリナ・ラザールです。あっ。すいません。美女ではありませんでした。興味のある方は画像検索で Dorina Lazar と。

この映画は、主人公美女アンナ(ヴィルジニー・ルドワイヤン)と、もうひとりの美女ジュディス(ルー・ドワイヨン)と、このおばちゃんの三人が主な登場人物です。

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冒頭にはこれまたオーソドックスな美しさと怖さに満ちたこどもたちのシーンもあります。

曰くありげな森の孤児院と美女。美しい人と美しい景色や映像。
撮影を担当したのはRECシリーズのパブロ・ロッソというひとで、ちゃんとした技術があることがわかります。
だいたいこの映画の説明はこれで終わります。

さて、綺麗なゴシックホラーで美女を満喫できるし、稚拙な部分などほとんど感じない良作なのですが、良作と今書いたのはちょっと嘘で、不思議なことにちょっと物足りない映画でもあります。
それは、脚本的に落ち度というか、ざっくりやりすぎてるところがあって、映像や構成の技術力の高さと脚本のいい加減さがアンバランスなのですよ。そうです、ストーリーがわりといい加減なのです。適当と言ってもいいかもしれません。
随所に適当感があります。最後まで観ても「なんだこりゃ、えらく適当だなあ」と思ったりします。
この映画のストーリーに触れると、誰もが「ツッコミどころ満載」と言いながらあちらこちらにケチをつけるツッコミどころ満載野郎になってしまいます。さすがの私もうっかりそうなります。だってかなりいい加減なんだもん。

いつもツッコミ君を否定しているくせに自分がそうするのに抵抗もありますが、いくつか例を挙げますと、冒頭のこどもたちのシーンがどう繋がってるのがわかりにくいです。
シーンが切り替わって「1958年」なんてテロップ出るから、何年も経ったのだろうと思っていたら冒頭の女の子がまた出てきたりします。で怖い人の件で耳打ちしたりします。怖い人の件を孤児院のみんながどう認識しているかっていうのがあやふやなままです。
また例えば、閉鎖する孤児院が募集して主人公美女が働きに来るという設定にも無理がありまして、納得出来るだけの裏付けがありません。彼女の体調についても裏付けが弱いです。そしてなんと言っても、謎解きと母性についてのテーマが本編にないのに、唐突にまるでそれがテーマだったみたいに出てきたりするのも置いてけぼりを食らった気分になります。まあ言い出したら切りがないのですが、状況や心の動き的なものに対する気配りがまったくない脚本です。

これほどストーリーがいい加減で適当なのにはきっとわけがあるはずです。ただの実力不足なわけありません。他の要素は全部いいんだから。
でもその理由をもうわかっています。
最初のほうに書いたとおり、この映画を作るに当たっての最重要項目がヴィルジニー・ルドワイヤンを美しく表現することだけを目指したアイドル映画だからです(断言)

話なんかどうでも良いのです。雰囲気があれば何となく伝わりますし、オーソドックスなゴシックホラー仕立てですからお約束の提示だけすれば話はなんだって構わないのです。
そんなことより、ヴィルジニー・ルドワイヤンのいろんな美しい姿をいろんなシーンで撮ることが最重要なのですよ。きっとそうですよ。そうに違いないんです。間違いない。その証拠にいいシーンもたくさんありますもんね(ハート)

ということでですね、ストーリーの破綻とまでは言いませんが、適当さ加減はすべてヴィルジニー・ルドワイヤンのビデオクリップの連続なのであるとガッテンすれば気にならなくなります(なるのか)

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