ヘイトフル・エイト

「ジャンゴ 繋がれざる者」に引き続き雪の西部が舞台の「ヘイトフル・エイト」は一癖も二癖もある連中が服飾店内で繰り広げるミステリーでバイオレンスで言葉の駆け引きと疑心暗鬼と緊張感。大人のためのソリッド・シチュエーション・アクション・バイオレンス・ゴア・スラッシャー・西部劇。

消えた声が、その名を呼ぶ

ファティ・アキンが三部作の最終章との位置づけで描くアルメニア人虐殺をベースにした旅の男の物語。5カ国に渡るロケ、フィルム撮影、7年にわたる歳月をかけて完成したという気合いの一本。

消えた画 クメール・ルージュの真実

1975年にカンボジアを掌握したポル・ポト率いるクメール・ルージュが行った大粛正。記録映像の多くが失われていることもあり、これを語るために犠牲者が葬られた土から作った人形を用いて歴史を描き出す映画です。

山椒大夫

1954年、溝口健二監督の「山椒大夫」です。森鴎外の小説を脚色して映画化、でも元はといえば説話「さんせう太夫」つまりお子さんにも馴染みの「安寿と厨子王」です。映像美の極致と言っていいでしょう。

最初の人間

フランスで成功した作家が、フランスからの独立運動で紛争中のアルジェリアに帰郷、平和と共存を説き非難に晒されつつ母の元を訪ねます。作家コルムリと彼の幼少期のお話。カミュの自伝的遺作の映画化。知性と良心と苦悩の渾身の作。

アクト・オブ・キリング

1965年、インドネシアで起きた大規模虐殺の実行者たちを映し出すドキュメンタリー。これは脅威的。ドキュメンタリー映画として、単に映画として、歴史として、政治として、物語として、映像美として、そして人として人類必見。

瞳は静かに

1977年軍事政権がクーデターを起こして政権を取った直後の頃のアルゼンチン、登場するのはちびっ子アンドレス8歳です。病院勤務の素敵な母と楽しく暮らしております。しかし悲劇が起き、それを境にアンドレスの世界が変わります。彼を取り巻く世界とその住人を見つめるアンドレスの瞳に震えが止まらない。

コーカサスの虜

セルゲイ・ボドロフ監督1996年「コーカサスの虜」はシンプルな人と人のドラマです。ただ状況がちょっと異常なだけ、つまり戦争捕虜になってチェチェンの村で囲われてるんです。

イノセント・ボイス 12歳の戦場

内戦下にあるエルサルバドル、戦場と化している小さな村を舞台に、12歳になると徴兵される少年チャバの身に降りかかる過酷な現実。実話ベースの物語。戦争と恐怖と貧しい村の日常と非日常。

ウェディング・ベルを鳴らせ!

エミール・クストリッツァ2007年の「ウェディング・ベルを鳴らせ」はノリノリ音楽と田舎の景色とドタバタを堪能する騒々しい映画。騒々しさは一級品。でも油断は禁物。