ネスト(The New Daughter)

The New Daughter
[REC]の脚本家ルイス・ベルデホ初監督。「パンズ・ラビリンス」のイヴァナ・バケロが出演。ヘビエル・ナバレテによる音楽、どういうわけかケヴィン・コスナー主演。何だかゴージャス。
ネスト(The New Daughter)

浮いているのはどうみてもケヴィン・コスナー。どうしてこの方がこんな映画に?不思議ですね。
不思議と言えば、ケヴィン・コスナーって超有名なのにあまり印象がないんですね。この人だれだっけ?みたいな。
誰かと申しますと、涙の父子映画「フィールド・オブ・ドリームス」ですね。それと「アンタッチャブル」ですね。それと何といっても「JFK」ですね。ほら、すごいでしょ。それと監督としては「ダンス・ウィズ・ウルブズ」ですね。
あんなに活躍していたのに、どうも最近はあまりパッとしないようで、頑張ってください。応援します。

さてイヴァナ・バケロです。「パンズ・ラビリンス」のあのお嬢ちゃんです。「パンズ・ラビリンス」を観た人は全員例外なくこの子の味方です。どんなことがあっても応援します。
というわけでそれから3年後の2009年にこの「ネスト」です。ちょっと育ちました。あどけなさと大人っぽさが両方ある絶妙の年齢にこの「ネスト」です。
・・・・・・・・・・・。
大丈夫、ネストが面白くなくてもみんなあなたの味方です。応援します。

音楽のハビエル・ナバレテはイヴァナちゃんと同じくギレルモ・デル・トロの「パンズ・ラビリンス」「デビルズ・バックボーン」はじめ「dot the I ドット・ジ・アイ」や「ミラーズ」の音楽も手がけています。よく見かけるお名前です。

監督のルイス・ベルデホは超面白いスパニッシュホラー「REC」の三人の脚本家のうちのひとりです。今回は別の人の原作と脚本にて監督デビュー。
せっかくならご自身で脚本をやってほしかったなあ。
でもこれはスペイン映画でもメキシコ映画でもなくアメリカ映画。ゆえにいろいろと仕方ないことや辛いことがあったのでしょう。
結論から申しますと、監督としては実力ありです。下手糞じゃないし、まるでベテラン監督のように見えます。もしかすると刃向かえない製作やスタッフに助けられたのかもしれませんがわかりません。例え助けられたとしても、それ以上にコテンパンにやられたのだとすれば悲劇であります。

のっけから奥歯に物が挟まったような文章ですいません。
どうもこの「ネスト」はですね、ちょっとあの、あれですね、これは事故ですね。
大丈夫、ルイス・ベルデホさんにイヴァナちゃん、犬に噛まれたとでも思ってスペインで頑張れ。
基本貶さない映画鑑賞日記MovieBooですが、貶さなくても残念がったりはよくします。

本作も残念の一言。
スパニッシュホラー的な「盛り沢山」「ジャンル複合」の要素はあるのに、肝心の仕上げ部分が駄目すぎて全て裏目に出ています「どこかで観たようなシーンばかり」と思わせちゃお仕舞いでしょ、と。しかもこれ「どこかで観たようなシーンばかり」を最終仕上げの目的にしているとしか思えない節すらあるのですね。
ひとつひとつの要素は悪くないのに、全て既存映画の悪いパロディにしか見えません。
これはつまり何が一番悪いのかというと、一にも二にも脚本ですね。それから製作ですね。
最も残念な部分は「人物がまったく立っていない」、これに尽きると思われます。登場人物全員、アメリカ映画のパロディ的セリフだけで出来ていて、キャラクターの面白みが全然ありません。
演出や演技はちゃんとしてるのにこれほど無個性なのはどう考えても脚本家の失敗です。人物に深みのある設定が何一つありません。深み以前にちゃんとした一貫した設定すらありません。全て適当です。

やや。貶しすぎたのでどこか褒めなければ。

なんといってもイヴァナ・バケロちゃんを見る価値です。この子を見るには「パンズ・ラビリンス」「スパニッシュホラープロジェクト クリスマス・テイル」そして本作「ネスト」しかありません。超貴重です。子供はすぐに大きくなりますから「ネスト」から2年経つ今、もう「ネスト」の頃のような絶妙なバランスの彼女を見ることができません。
それほど貴重なのになぜにこのような「どうでもいい系」映画に仕上がったのか。残念無念。
ギレルモ・デル・トロ師匠のもと、スペインやメキシコ映画として撮ってれば、きっと面白い仕上がりになっていたことでしょう。

この作品ははっきりいって大人の鑑賞には耐えません。少年少女向けです。素晴らしい作品ならば少年少女向けでも容赦なく名作でありますが、本作はどちらかというと子供だまし系。
子供だまし系映画にも価値があります。この映画を12歳少年が見たら無茶苦茶面白かった!と思うかもしれないのです。その後少年は青年になり「こんな映画を面白がっていたおれって馬鹿」と、そういう気持ちになります。過去を恥ずかしがる大人への階段です。さらに青年がおっさんになるころ、子供の頃に見たあの変な映画、ああいうのも懐かしいな、ああいうのも有りだな、なんて思うようになります。
それが人としての成長と成熟です。

だからこういう映画があってもいいのです。

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