ハイ・ライフ

High Life
クレール・ドニ監督の2018年新作「ハイ・ライフ」は詩的で抽象的な文芸調SF。やや覚悟が必要ですがキャスティングにも惹かれます。
ハイ・ライフ

予感はしていたんです。クレール・ドニ監督ですから、普通のエンタメ映画なわけなくて、詩的で抽象的で心的で文芸調です。予感というか覚悟ですね、ある程度していたんですが、まあ、あの、正直な話、心構えなく観ると眠くなる人続出の可能性あります。

クレール・ドニ監督に好感を持っておりますので悪く言いたくないんですが、なんでまた観念的SFを作ろうと思われたのか、その姿勢は称えますが映画の内容は・・・ごにょごにょ。

マルク・キャロという人がおりますが、キャロも満を期してSF映画を作りましたね、「ダンテ01」という観念的SFで、内容はごにょごにょでした。実は「ハイ・ライフ」と「ダンテ01」って印象が似てるんですよね。おっとヤバいこれ以上踏み込むと良くないことを言いそうなので話変えます。

クレール・ドニ監督はジャック・リヴェット、コスタ=ガヴラス、ジム・ジャームッシュ、ヴィム・ヴェンダースなどの助監督を経て「ショコラ」でデビューした方です。この「ショコラ」が私すっごく好きで、とてもいい映画です。すっごく好きな映画ですが詳細を知らないので今調べてみたら、あの黒人青年をイザック・ド・バンコレがやってたんですね。あとフランソワ・クリュゼが出ていました。

「ショコラ」以外では「10ミニッツ・オールダー」で「ジャン=リュック・ナンシーとの対話」という奇妙な短編がありますね。独特でした。これを踏まえれば「ハイ・ライフ」の時間感覚にもすっと入り込める・・・かもしれません。

「ハイ・ライフ」で良かったシーンはなんつっても赤ちゃんです。赤ちゃんだけでも良いのに、赤ちゃんが立った!あれだけでも観る価値あり。それと他にはあの暴力シーンです。あそこは眠気も吹っ飛びます。それと、設定やアイデアから掘り下げようとする主要テーマはとてもいいと思います。さて次はキャスティングいきます。

キャスティング見事です。監督の信頼も伺えますし、インタビューによると例えばミア・ゴスなんかはオーディションではなくオファーだったということで、ここでこの女優を偉ぶなんてそれだけでオーイエイです。

ミア・ゴスは「ニンフォマニアック」で強烈に焼き付き、最近の「マローボーン家の掟」でもとんでもなく存在感を放ちました。ミア・ゴス注目していますので興味がなかった「サスペリア」のリメイクも是非観ます。

主人公はロバート・パティンソンで重要人物がジュリエット・ビノシュ、このコンビは「コズモポリス」でも強烈でしたね、「コズモポリス」をやや彷彿とさせるワオッなシークエンスもありました。ジュリエット・ビノシュ、すごいです。

そんなわけで「ハイ・ライフ」を観たことで突然「ショコラ」をもう一度観たくなり、売ってないかと探したんですがどこにもありません。ビデオで出ていたそうですがDVDにもなっていないのだとか。当然配信もされていません。

ビデオを買って持っていればよかったなあと思いますがすでに手遅れ。このようにアーカイブを物体として手元に持つことの重要性をまた思い出しまして、このことは「イメージの本」でも書い・・・まだ書いていませんでしたがアーカイブの重要性はゴダールも語っていますし、配信かクラウドか知らんがああいう泡のようなものにすべてのアーカイブが収束していくことの危機感もわりと思っております。

ハイ・ライフ チラシ ハイ・ライフ チラシ裏面

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