フリア よみがえり少女

Dictado
フリア よみがえり少女
公開年:
2012
製作国:
監督:
製作:
脚本:
原作:
撮影:
  • ギレルモ・グラニーロ
音楽:
主演:
出演:
  • マヒカ・ペレス
  • マルク・ロドリゲス
  • アガタ・ロカ
  • ノラ・ナバス

小学校教師ダニエルのもとに幼なじみっぽい神経質そうなマリオがやってきて「あの事故の件だ。娘に会ってくれ」と懇願。「断る。あの事故の話はなしだ」と冷たく追い払うダニエル。ダニエルとマリオの過去の事故とは何でしょう。そして、少女フリアが登場します。少女フリア超可愛い。でもダニエルの妻ラウラもとっても素敵。「悲しみのミルク」のプロデューサーでもあるアントニオ・チャバリアス監督脚本でお届けするホラーっぽいスリラーっぽい夫婦っぽいちびっ子っぽい映画。

フリア よみがえり少女

ちょっとばかしおどろおどろしいカバーアートや安直ホラーっぽい邦題の「フリアよみがえり少女」です。まああの、話の骨子はこのタイトル通りです。

怪しい少女の言動、過去の事件、大きな罪悪感、夫婦のお話、そんな感じです。

主人公的なひとはダニエルとラウラの夫婦です。男前と美女の夫婦です。どちらも小学校の教師です。で、少女フリアはダニエルの昔の友達マリオの娘です。
この三人が一緒に暮らすようになります。
で、少女フリアがよみがえり少女なのか〜っていうふうにお話は進みます。
ダニエルとマリオが関わる過去の事故が徐々に明らかになりまして、大体ご想像通りです。
これだけ聞くと「あ、そう、バイバイ」ってなる人もいるかもしれませんがちょっと待て。これ面白いんです。

この映画はですね「悲しみのミルク」のプロデューサーであるアントニオ・チャバリアスの監督作品でして、「悲しみのミルク」観ましたか皆さん、MovieBooにはまだ記事書いてないけど、あれ滅茶苦茶好きなんです。おもっくそ素晴らしい映画でした。ですのでね、それなりに期待して、というか、気合い入れて、というか、単純なホラー映画ではないだろうな、とか何となく思って、それで観ました。

期待通り、ただ単なるこけおどし的なホラーじゃないし、ただ単なるどんでん返し系スリラーってわけでもないという、そういう映画でした。
単なるじゃなければ何なのだというと、わりと大人向けの、細かい描写が光る夫婦の物語だったりします。そういう見方をしたらですね、この映画がとても面白く観れます。

でもね、ただね、そういう意味でラストあたりに関しては不満もあります。ちょっとああいう最後はどうかな、と思います。ちょっとだけ残念な終わりでしたが、その辺は、この映画のどういう部分を気に入って観ていたかに関わると思ので、私はそう思ったということで。

dictado furia 2

はい。
で、まずこの少女フリアですが、この映画でデビューしたマヒカ・ペレスちゃんという子役です。可愛らしいんですよ。

dictado Furia

この少女は役柄的にも大層難しいものを求められます。よみがえり少女という部分だけでなく、それ以外の部分、つまりよみがえりではない部分のフリアという少女の物語として綿密な脚本が書かれています。
そうするとですね、この少女の無邪気さ、それから可哀想感、それから不憫さというものがずっしーんずっしーんと迫り来るんです。
観ているこちらの心を掴んで離しません。私は特に不憫さというものにとことん弱いんです。不憫なものを目にするとハートが縮み涙腺が決壊します。まあ泣くところまではありませんでしたがかなりビシビシ来ました。

dictado boys

フリアだけでなく、回想シーンとして随所に登場するこどもたちのシーンがあります。ダニエル、マリオの子供時代です。この昔シーンの男の子たちもたまりません。もうあの昔シーンの子供たちの演技も相当なもので、やっぱりずっしーんずっしーんと迫り来るわけです。

Dictado Raura

さて次はダニエルの妻ラウラです。
このラウラって女性がこれまた素敵で、美しいわ優しいわ賢いわ、これもまたたまりません。物語自体はラウラと共に進むと言っても過言ではありません。

dictado Daniel Raura

子供が出来ないことに悩むラウラが、フリアを預かって一緒に暮らしたがります。「一時的だぞ」と念を押されて「わかってる」と応えつつ、だんだんフリアと仲良くなってきて情が移って母性に目覚め、別れるのが辛くなってきます。引き取りたいと強く願うようになってきます。
傷つき硬直している少女フリアと妻ラウラが徐々に心を通わせ始めるあたりのドラマの良さは格別ですよ。
一方で旦那を立てることも多少は心得ていて、夫婦で気を使い合ったりするシーンも随所に入ります。ラウラ素敵すぎ。
ラウラ役のバルバラ・レニーは「私が、生きる肌」にも出演していたようです。

dictado Daniel

さてダニエルです。
優しいんだけど優柔不断ではっきり物事を決められないタイプで、過去に囚われすぎたり思い込みだけ激しくて間違った選択をしたり、そういう情けない男で、過去の事故をひとり抱え込んでいます。
この過去の事故というのがもちろん映画的に最重要な事柄です。
ありがちな、記憶からなくしてしまった過去という設定じゃありません。記憶はずっと抱え込んでいます。
ただの内緒にしている過去というわけでもありません。引きずっているから話す勇気がないのです。
種類的にはハネケの「隠された記憶」に近い過去の傷です。相当な傷です。
この男は、過去の事故により深く傷ついていて、これが仇になります。
フリアをよみがえり少女だと確信するに至る過程で「そんなあほな」と思わせないのはダニエルの傷の大きさ故なのですね。

dictado boys and girl

映画の中で気に入った面白シーンがいくつもあります。

例えば妻ラウラがフリアにべったりなので、フリアを遠ざけたい夫ダニエルは一人問題を抱え込み、夫婦のすれ違いが起きています。
それで夫婦で会話します。
「あなたに構わなくてごめん。気晴らしに別荘へ行きましょう」「水入らずで?」「そう、水入らず、三人だけで」「がくっ」

例えばある問題シーンがあります。本来なら大問題の問題シーン、ダニエルが風呂上がりにフリアの寝姿を覗き込むシーンなんですが、ホラー的には有りでも現実世界なら犯罪直前です。これを妻に見られます。妻「何してんの」と震え声。「説明して」ダニエルはちゃんと説明できず、言い訳すればするほど墓穴を掘ります「感情が押さえきれなくなって」とか何とか、どう考えても誤解を増長させます。

エピソードを書いていってもキリがないのですが、気に入ったシーンが本当にたくさんあります。ひとつひとつのシーンをとても丁寧に描いているし、その時々の役者さんたちの仕草やセリフにもぐっときます。

悪く言えば、さほど怖くないホラー、あまり衝撃的とも言えないスリラー、描き尽くすわけでもない家族や親子の物語、と言うことも出来なくはないです。
しかし細部に力が宿っています。繊細なドラマ部分こそこの映画の最大の見どころ。登場人物全員の気持ちを想像して、いろんなすれ違いや誤解や思い込み部分に感情移入し、無邪気さや不憫さを痛感し、後悔と罪悪感を想像し、信頼と不安を体感し、恐怖と逃避に思いを巡らすんですね、そうすると面白さが止まりません。

見終わってハイお仕舞いで終わらせず、多方面に反芻することによってどんどん味わいが増してくるタイプの良作で、オチがちょっと気に入らないことを除けば、かなりパーフェクトに面白かったです。

※ 上記の画像は公式サイトからのものです。クリックすると公式サイトへ向かいます

2014.07 追記:
たまたまこのページの確認してて気づきましたが、公式サイトが消えています。消えていて、そのかわりに変なサイトが表示されるようになっていました。
ですので、公式サイトへのリンクを消しておきました。

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