突然、みんなが恋しくて

Et soudain tout le monde me manque
突然、みんなが恋しくて
公開年:
2011
製作国:
監督:
脚本:
主演:
出演:
  • ジェラルディン・ナカシュ
  • マニュ・パイェット
  • フロランス・ロワレ=カイユ
  • ギョーム・グイ

メラニー・ロランが拝みたいが為だけにつまらないアイドル恋愛映画かなーと覚悟しつつ観てみたら、初老の父親メインの家族や娘の愛しい愛しい映画でございました。軽いタッチの家族コメディ。笑って泣いて、親子で仲良く。

突然、みんなが恋しくて

メラニー・ロランにぞっこんになったのは「オーケストラ!」からだったでしょうか。「イングロリアス・バスターズ」で見かけて目がハートとなり「オーケストラ!」で心がハートとなりました。

ときどき、ただ女優を拝みたいだけの理由で観たい映画の候補入りをさせることがあって、この「突然、みんなが恋しくて」もメラニー・ロランだけが目的でした。コミカルなアイドル的恋愛映画だと思い込んでいたのですが、実際観てみるとなかなか良かったんですよ。

基本的にはコメディ青春映画というか、コミカルアイドル映画と思って間違いないのですが、恋愛映画ではありません。恋愛沙汰は出てきますが、この映画の芯の主人公は60歳になった父親です。

メラニー・ロランの役どころはわりと精神的にも幼いわがまま娘で父親と喧嘩ばっかりしています。恋愛遍歴も豊富で、付き合っては別れ、付き合っては別れしてきたようです。

父親は変わり者です。無神経でへんなやつです。娘が別れたばかりの彼氏に会いに行って「娘のことは別として一緒にゴルフしない?」などと誘ったりします。
子供が出来なくて養子を探している長女夫婦に、年取って出来た自分の子を身ごもる妻の前で「そうだ生まれた子をこいつんとこに養子にやればいいよわはは」などと洒落にならない洒落を飛ばします。案の定奥さんにも娘夫婦にも激怒され「冗談だってば」という言葉が虚しく宙を舞います。
とにかく面白いんですこの父ちゃん。ユダヤの豚のくだりもたまりません。

映画が進むにつれ、このお父ちゃんの奔放さがどんどん強調されてきます。はっきり言って、主人公はメラニー・ロランじゃなくてこの父ちゃんです。最初は変なオヤジだなあと思っていても、どんどんと愛らしく感じてくるはずです。きませんか?私はきます。この父ちゃん大好きです。
嫌う人もいるでしょう。この父ちゃんが自由人だからです。
奔放で自由です。人のことを深刻に考えず思いつきでものを言ったりもします。空気を読むとか一切ありません。言うなれば自分が空気です。
時々見かけるタイプの人ですね。映画でもちょくちょく見かけるタイプです。もうわかっています。

この父ちゃんの気質は、アーティストです。アーティストと言ってしまうとわかりにくいので、かみ砕いて言うとボヘミアンです。余計わかりませんか。
ボヘミアニズムは「定住せず自由奔放な生活を送り周囲の蔑視を気にもしない人々」という意味で、つまり芸術家や作家、アウトサイダー、哲学者、思想家などの自由人を指すのであります。
映画でも、これまで数々の愛すべきボヘミアンたちを見てきました。そしてお父ちゃんがボヘミアンであることは映画が進むにつれ簡潔に示されます。
そのあたりのネタバレは避けますが、私がお気に入りになるのも当たり前でした。身の回りにもこういうタイプの人達がいて当たり前でした。

映画の後半でこのお父ちゃんがあるカッコいいことを一人でやるシーンがあります。痺れますね。

というわけでですね、単なる軽いアイドルコメディだと舐めてかかって見ていたら、最後のほうとかどんどんよくなってきて、アイドルコメディならではの臭い演出にさえも若干心を持っていかれまして、メラニー・ロランと一緒にわーわー泣いたりするわけです。なに?そこまでのことはないと。そうですね。人によりますね。

父親と娘のお話です。
娘がいる父親がこの映画を見たら散々笑って最後には泣きます。父ちゃんがいる娘がこの映画を観たら、やっぱりゲラゲラ笑った後泣きます。
泣いて笑って泣き笑い、人情コメディはこうでなくっちゃ。
父ちゃん役のミシェル・ブランは「マダムと奇人と殺人と」で見かけた俳優さんでした。監督もやるし、大物なんですね。

他の登場人物、長女の旦那とか、コメディアンの元彼とか、父ちゃんの奥さんとか、みんなとてもいい感じです。

どうでもいい軽い映画でも観ようと思って観てみても、こうしてとても面白がったりできるのは特技でしょうか。いや、映画がよく出来てるんですよ。

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