モンスター 変身する美女

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公開年:
2014
製作国:
監督:
製作:
脚本:
撮影:
音楽:
  • ジミー・ラヴェル
編集:
主演:
出演:
  • フランチェスコ・カルネルッティ
  • ニック・ネヴァーン

ジャンル映画へのチャレンジ、ホラーと青春ラブロマンスの完全融合「モンスター 変身する美女」は傷心の男と不思議女子によるイタリア湯けむり恋の逃避行。

モンスター 変身する美女

原題「春」です。そう、春になれば蝶になるの。いえ、蝶にはなりません。ちょっと化け物になるかもしれません。いえ、そっちじゃなくゼンマイとか跳ねるとか創めるとかそっちの意味か?なんでもいいですね。モンスターっていう原題ではありません。

モンスターホラーと青春ラブロマンスという二つのジャンルを完全に融合させた挑戦的作品です。つい最近、電話機についての挑戦的なジャンル映画の感想を書きましたが、こちらもジャンル映画としてのジャンルへの挑戦ということで、同じ志の似た映画と言えます(うそです。全然似てません)

ジャンル映画への挑戦と言えばじつは他にもいろいろあります。荒唐無稽な設定の中にドメスティック要素があったり、幽霊の話なのに家族と人のこころ系要素をメインに据えたり、悪魔オカルト系なのに少女小説進行だったりです。
ジャンルへのチャレンジが定着するとそれは新たなジャンルにもなります。

「モンスター 変身する美女」もそんなチャレンジングな作品の仲間です。ホラー映画に恋愛要素が入ってるのはありがちですが、ラブロマンスなのにモンスターホラーであるという点がちょっと珍しいですね。完全に融合している、というか両立しています。そして多分この作品が提示した新ジャンルの名称はホラーロマンス、ホラロマですね。またはラブロマンスホラーでラブホですか。

イタリアの美しい街並みで知り合う若いカップルです。男の子は両親を亡くしてへこみ中、女の子はお化けになってしまうことを気に病んでるという(タイトルにもなってるので女の子がお化けになるとバラしてもいいんですよね?)そういう映画でして、少々かったるいラブロマンスのふわふわ軟弱感もありますが、私は若い子たちのロマンスを見て暖かい気持ちになって喜んでたんですよ。一緒に見ていた映画部の奥様は「なんじゃこりゃだるいのー」と、もの足りないご様子です。

いきなりオチの話をして申し訳ないんですが、オチに至る終盤の展開はまさにラブのロマンス満載でして、これにはややだるさを感じないではなかったんですが、オチそのものの捻りは良かったと思うんですよ。つまりその、一見ああいうオチですが、ちゃんと直前の伏線通りにアレがああなって、ラストシーン以降のナニの状況を想像することができますよね。私はちょっとがっかりしたと同時に「おっ」って思いました。観てない人には何を言ってんのかさっぱりわからないでしょうけど。

オチがどうのこうのはまあいいとして、一見だるいラブホ映画ですが、私は気に入ったところがたくさんありました。

まずね、主人公の男の子がいいです。親思いで優しい彼です。やや弱そうなところもあります。そして年寄りを敬ったり礼儀正しいところがあります。それだけではただのつまらない男ですが、その彼が煙草を吸いまくり酒も好きなんですね。真面目さとルーザー気質が融合しております。つまり人間的にとても良いってことです。そういう主人公キャラクターです。
彼の親友もいいやつです。いろんなホラー・スリラー系の映画では怖い家に一人きりになるというシチュエーションが付きものですが親友は「今日、泊まろうか?」と言うんですね。このシーンはとても斬新で良いシーンと思います。
それからさらに「淋しいんだったら女の子呼んでセックスしろや」と励まします。主人公はうなだれつつ、速攻で電話して女の子を呼ぶんですよ。いいですね。
この主人公をルー・テイラー・プッチがかなり見事に演じていて、ついうっかり「若い男の素のまま」みたいに思ってしまうほど。

お化けになるヒロインもいいですよ。やや草食系に見えなくもない彼を虜にさせるワイルド系女子です。弱い男の子と強い女の人、っていうベースが、今時の少年少女漫画みたいだし、オタク文化で好まれそうですよね。
このヒロイン、ナディア・ヒルカーという女優さんがやっていますが、エキゾチックでもありワイルドでもあり、でもふとしたときにとても可愛く見えたりするその感じがまたキュンとなってたいへんよろしいです。

演出や細かい部分の脚本でも他に気に入った部分がたくさんありました。荒削りなところと繊細なところが同居した不思議なシナリオです。

ほんというとヒロインが化け物になるのは知らずに観たかったわけですよ。そのほうが断然面白く観れそうです。しかしながら、考えてみればただのイタリア旅行青春ラブロマンスをわざわざ観るか?と言われれば多分観ないので、これはモンスターホラーだってバラしておくのも宣伝としては仕方ないかなと。
でもね、ただモンスター女ってだけじゃない秘密もまだありますから、モンスターになるのを知っててもまあまあ楽しめますよ。

・・・と思ってたらDVDのパッケージに全部書いてあった。ひどい(涙)これは画像とiTunesリンクを差し替えておかねば。
ネタバレが厭だったら誰より早く劇場行っとけってことですね。

ラブホ映画として魅力はあるんですが、やっぱり何というか、あの女の子があの男の子にそこまで惚れるのかっていう点ではやや動機が弱い気もします。はっ。もしやおっさんにはわからないのか。恋に理由なんていらないのさ。はいそうですね。すいません。
シナリオ的にもそれに関しては辻褄合わせてましたね。心と細胞は別なのさと。なかなか細かくちゃんとできた脚本なのだなあとわかります。

ところでぜんぜん関係ないんですが筒井康隆氏の小説で「妻四態」ってのがありまして、日常お茶の間世界とモンスターホラーの完全融合の物語です。ぶっ飛び展開で言えば「モンスター」は「妻四態」に及びません。ほんとに関係ないですけど。ちょっと思い出したので。

監督はジャスティン・ベンソンとアーロン・ムーアヘッドのコンビです。ジャスティン・ベンソンが脚本と編集、アーロン・ムーアヘッドが撮影を担当してるようです。監督、製作は二人でやってます。どういうふたりでしょう。
このふたり監督は「V/H/S ファイナルインパクト」にも短編で参加しています。

なんだかんだと言いながら私はお気に入りハートで好意的な「春」こと「モンスター 変身する美女」でした(←だからたぶん春って意味じゃないって)

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