ディア・ウェンディ

Dear Wendy
アメリカの架空の炭坑町に住む劣等感を持つ青年が偶然銃を手に入れる。
ディア・ウェンディ

脚本はラース・フォン・トリアーです。彼が提唱した「ドグマ95」というデンマークの映画運動の仲間であるトマス・ヴィンターベアが監督。

アメリカの架空の炭坑町や、銃を手に入れたルーザーたちの”神殿”の描写が「ドッグヴィル」を連想させます。どことなく嘘くさく、悪夢のような、舞台セットのような、そんなイメージとしてのアメリカのとある町を舞台に物語は進行します。

冒頭、少年ディックが「親愛なるウェンディ」と語りかける恋文のようなモノローグでこの映画は始まりまして、このウェンディへの手紙が冒頭のミス・リードを軽く誘ういい出だしですね。

この映画も「ドッグヴィル」と同じく、折り重なって層になったテーマを持つ脚本になっています。つまり真であり偽でありストレートであり皮肉であり駄目と良が共存しており厭な気分と爽快感が両立してあるわけです。

「ドッグヴィル」「マンダレイ」と作ってきて、おいおい約束のアメリカ三部作はどこへ行ったんだよと思っている人にとって、この「ディア・ウェンディ」は十分アメリカ三部作の三作目であると思い込むことが可能な、そんな仕上がりになっています。
(実際は、アメリカ三部作の最終作としてWasingtonという映画が計画されていましたが無期限延期となったようです)

時にわざとらしくポップな演出が入ったりアメリカン青春映画みたいなシーンがあったり西部劇みたいになったりわやくちゃですが、そこがまた面白かったり同時に「ひでえなあ」と思ったり、こちらが「どう感じるか」の部分まで多重構造になってるという、そういう非常に良く練られた重層的な脚本、こういうのはむずむずして大変よろしいです。

えぐすぎるシーンや観ていられないきつすぎるシーンはありませんので、トリアーって誰?、っていう人にも普通にお勧めできる素晴らしい映画です。もちろん難しいところもありません。重層的な雰囲気を嗅ぎとってムズムズ出来たらOK。

といいますか、登場人物みなさん個性的だし、普通に観てても大変楽しめます。

ところでトリアー監督の「アンチクライスト」ですが、日本公開は絶望的と思われていましたが2011年に公開です。完全な状態で観ることはできないでしょうが、公開されるだけありがたい。

現時点での上映館は以下のようです。

東京 新宿武蔵野館 2011.02.26
東京 シアターN渋谷 2011.02.26
東京 ヒューマントラストシネマ有楽町 2011.02.26(レイトショー)
静岡 CINEMA e 〜ra 2011.03.19
<以下、春以降の未定>
大阪 テアトル梅田
愛媛 シネマルナティック
福岡 シネ・リーブル博多駅
熊本 DENKIKAN
佐賀 シアターシエマ
沖縄 桜坂劇場

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