告発の行方

The Accused
告発の行方

ジョディ・フォスターがレイプ事件に真っ向挑んだ1988年の衝撃的話題作。オリジナルタイトルは「被告人」

告発の行方

88年ってもう今から思えば昔ですよねえ。ジョディ・フォスターが子供じゃなくなってきたってだけでも大変です。「ペーパームーン」観てましたか?「ダウンタウン物語」は? 素晴らしい子役でしたねえ。

3歳でテレビコマーシャルに出演したのを皮切りに、テレビドラマの子役として活躍して一家を経済的に支えるまでになったというのだからすごいです。
10歳で「ジョディ・フォスターのライオン物語」で映画デビュー、「ペーパームーン」は12歳です。翌年は「ダウンタウン物語」そして「タクシードライバー」で少女の娼婦を演じて大絶賛、各賞受賞の嵐でした。輝かしいですね。懐かしいですね。

ところがこの「タクシードライバー」の影響を受けた男が大統領暗殺未遂事件を起こしたことにショックを受け、その後一時期映画界と距離を置いたそうです。wikiに書いてあった。距離を置いたと言っても日本未公開の作品を含め沢山出演しています。事件に衝撃を受けて距離を置いたのか、ぱっとしない5〜6年間のスランプ時期の言い訳か、あるいは事件の衝撃から仕事に身が入らなかったのか、きっと衝撃から身が入らなかったんでしょう。きっとそうです。ジョディはそんな人です←知り合いか

再び大注目を集めたのは1984年の「ホテル・ニューハンプシャー」でした。「ホテル・ニューハンプシャー」読みましたか観ましたか。
ジョン・アーヴィングの素晴らしい原作の映画が二つあって「ガープの世界」と「ホテル・ニューハンプシャー」ですが、原作ファンだった私は「ガープの世界」を強く支持、熊のぬいぐるみで身を隠した不細工大柄女の役をナスターシャ・キンスキーが演じたことが腑に落ちない「ホテル・ニューハンプシャー」は個人的にはいまいちでした。が、世間では大ヒットし、ジョディ・フォスターの素晴らしい成長ぶりを見せつけました。

そして88年いよいよ本作「告発の行方」で今度は社会問題に挑みます。レイプ被害者の役です。やっと本作の話になってきました。

当時は生々しいレイプシーンが話題沸騰でしたが、さすがに今観ると相対的には衝撃シーンと言うほどでないかもしれません。いや今観ても十分生々しく衝撃的です。しかし生々しい犯罪シーンのヨーロッパ映画などもたくさんある今となっては。いやでも敢えて今観るほうが生々しいかもしれん。どっちなんだい。

どっちでもいいですが嫌ないやな犯罪であることに違いありません。しかもただ被害を受けるだけでなく、被害を受けた後からのほうがより酷い仕打ちを受けるのです。これがまた嫌な厭ないやーな展開です。そうです。お前にも隙があった。お前が誘ったんだろう。そういう攻撃です。最低ですね。

「告発の行方」なんていう「告発」とか「行方」とかそっち系の紛らわしいタイトルでどのタイトルがどの映画かわからなくなりますが原題は「被告人」です。この映画、レイプ事件の裁判がメインのお話で、嫌な厭な攻撃や、あるいは目撃者捜し、対人間のドラマなど見どころもたくさんあります。

時として犯罪や社会問題を扱う映画の押さえどころとして、あえて被害者を完璧被害者として描かないという大事な点があります。
例えばレイプ事件の場合、レイプ被害者が厚手の洋服を身に纏い化粧もせず口も聞かず夜遊びもせず夜道を出歩かず何一つ非の打ち所がない行動を取っていて被害にあったという設定だとしましょう。そういう物語だと多くの人が被害者をただ可哀想と思うでしょう。でもそれは間違っています。非の打ち所がない行動によって被害を受けたことがピュア可哀想だとすれば、じゃあ非の打ち所があった人が被害を受けた場合はピュア可哀想でないのかということになります。それは即ち「非の打ち所があったからだ」という理屈が成立してしまうということです。「誘ったのと同じだ」「いやむしろ誘ったのだろう」と二度目の心理的レイプをする輩と同じ立脚点に立っているということです。これは無自覚な人が案外多く、恐ろしいことです。

ですからこの映画ではジョディ・フォスターは遊び人で露出度の高い服を着てちゃらちゃらしています。
デッドマン・ウォーキング」の死刑囚が妙なちんぴらであったことと類似点があると言えましょう。

ちゃらちゃらしている彼女を見て「お前が誘ったんだろ」と思うやつ、「レイプされても仕方がないな」と思うやつ、そして「可哀想だけど隙もあったかもね」と思うやつ、まとめて同じタイプの人間だということを思い知るべき映画となっております。

第61回アカデミー賞主演女優賞受賞。

第46回ゴールデングローブ賞主演女優賞受賞。

2009.04.21

というわけで88年で硬派で軟派な役を完璧にこなしたジョディ・フォスター、その後は言わずとしれた「羊たちの沈黙」でさらに大人に、97年「コンタクト」でまたさらに一皮剥けた大人にと、ちゃくちゃくと名作に出演して実績を重ねまくっておられまして、21世紀になってからは「パニック・ルーム」「フライトプラン」などのちょっとしたサスペンスに出たり「ロング・エンゲージメント」や「インサイド・マン」などの良作映画で素敵な脇役をやったりと、子役スターが全年齢でこれほどちゃんと役者を続けてこれてるってのはこれは凄いことですよね。

ジョディ・フォスターは1962年生まれ。3歳からずっと現役。

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