ベルフラワー

Bellflower
恋と失恋と友情とバイオレンス。若手監督が実体験を元に作ったという失恋男の物語。
ベルフラワー

恋と失恋と友情の物語ですが、まあなんといいますか、今風っていうか、へなちょこな話です。

普通の映画と思ってたんですが、超低予算の自主映画に近いインディーズ作品です。失恋した自分の体験から思いついた話だそうで、恥ずかしいと思うことなく、一本の映画に仕上げました。偉いと言えば偉いです。なかなか一本の映画を仕上げるのも骨が折れる作業だろうし、完成までこぎ着けてしかもヒットさせて、たいしたものです。

映画自体は「なんだこりゃ」的なへなちょこ物語ですが、中にきらりと光る面白さもあって、ちゃんとした映画と思って観るとへなちょこさにがっかりしますが、手作り小品であると聞けば、そうすると、こりゃたいしたもんだ、なかなかいい出来映えだ、と、こう思うことになります。

実体験を元に若者が作った映画と言えば今でもまっさきに「明日、君がいない」を思い出します。同級生の自殺にショックを受け、それを作品に昇華できた素晴らしい例です。監督は当時二十歳です。これは名作と言っていい出来映えの作品でした。

それに引き替え、失恋した経験を元に作ったというこの「ベルフラワー」のなんたるへなちょこなことでしょう。アホっぽいと言うか、とても子供っぽい映画です。
子供の恋、子供の失恋、子供の友情、子供の妄想、そういう感じです。

全体を包む雰囲気はスタイリッシュかつ往年のニューシネマっぽくてでいい感じ、あまり状態のよくないかカメラを使ったカッコいい映像も効果的です。予告編で映像の雰囲気を見て「おっ」と思わせる力があります。

ストーリーというかシナリオはとても変です。思想の根本が子供の妄想やお遊びのレベルで、ずっと何かの「ごっこ」をしているような感じが消えません。友情ってのも出てきますがこれも子供っぽくて、まだゲイに達していない未熟な少年たちの恋というふうにも見えます。以前、街を歩いていると中学生くらいの男の子が二人、手をつないで歩いているのを見たことがありますが、あのときの印象と似ています。

そうそう、親友の彼が木訥としていてたいへん面白いキャラクターでした。

後半、なかなかいい感じの展開になってきて、バイオレンスなんですけど、このあたりの映像表現は一部ずば抜けています。特に、ある人が拳銃であることをしでかすシーンの迫力は凄まじいですよ。見どころです。あのシーンがあるがために、この映画には価値があると断言してもよいです。一箇所でも良いシーンが残せれば十分です。

ただ、まあ、最後の最後に、映画自体がふにゃふにゃになってしまって残念でしたが、ちょっと作り手が感情込めすぎてしまったんでしょうかね。若気ですね。

監督には脚本はともかく映像や演出の才能があるように見受けられましたので、今後が楽しみです。青春はもういいので、バイオレンスたのみます。

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