ホビット 思いがけない冒険

The Hobbit: An Unexpected Journey
ホビット 思いがけない冒険

「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚にあたる「ホビットの冒険」をピーター・ジャクソンがまたもや大作三部作として作り上げるという。その一作目が「思いがけない冒険」

ホビット 思いがけない冒険

「ロード・オブ・ザ・リング」みたいな超大作を作り上げた人が、同じようなネタでまたもや三部作の大作を作るっていう、これ、普通の人には真似できません。モチベーション保てません。疲れます。もう無理。でもがんばりました。

原作「ホビットの冒険」は「指輪物語」の前日譚ですが、こどものための童話のようですね。ですので、ダークで深刻な内容ではなく、基本の物語はすっきりさわやかファンタジーです。

一般に三部作と言われる作品は、作家の意図としての三部作という意味であって、映画一本ずつは独立して完結しているのが常です。ですが、ときどき「続き物」という意味だったりします。「ロード・オブ・ザ・リング」もそうだし「ホビット」もそうです。

私がはじめて「続き物」三部作に触れたのは「スターウォーズ2」でした。「スターウォーズ」は一本で完結していましたが、2は、完全に話の途中で終わっており「ハリソン・フォードの運命や如何に!3に乞うご期待!...つづく」みたいな終わりにはげしく衝撃を受けたものです。そして激怒しました。「映画なのに続き物とは何ちうこっちゃ。テレビドラマと間違えてんのかボケカス」怒りのためにその後長い間スターウォーズが嫌いになりました。懐かしい思い出です。

「ロード・オブ・ザ・リング」を当初無視していたのも、続き物を否定する気持ちがまだあったからです。まったく、何十年負の心を引きずってるんでしょうね。今は続き物を否定する気持ちはありませんよ、ほとんど。少ししか。

そういうわけで「ロード・オブ・ザ・リング」の美しい景色を劇場で堪能できなかったことのほうが後の大後悔でして、だから「ホビット」はリベンジと反省の気持ちを込めて劇場に行っとかないとな、と緩めの決意していたのですよ。
でも忙しくてなかなか劇場に足を運べない、やばい、公開が終わってしまう、気づいたときには地元での上映が終わっています。慌ててまだやってる劇場を探して車ですっ飛ばしました。ぎりぎり間に合った。

さて「ホビット 思いがけない冒険」ってことで、何をさておいてもホビットの村を楽しみにしていたんですよ。個人的に「ロード・オブ・ザ・リング」の最も好きなシーンがホビットたちの暮らしの場面です。牧歌的で人がよくて楽しげで、煙草吸ってビール飲んで飯食って、「ロード・オブ・ザ・リング」の一本目のホビットたちのシーンはほんとに最高でした。今回、あれをもっともっと堪能できるかもしれないと期待していましたが、残念ながらそういったシーンはあまりありませんでした。でも気にしてません。

途中までは、面白いながらも「こんなものかね」という、やや落ち着き払った気持ちで眺めていました。「ロード・オブ・ザ・リング」が詰め込み系の高濃度だったのに比べて、進行も慌てず騒がず、淡々としています。
「わりと地味な映画やなー。そのほうが好みやけど、世間のみんなはどうかなー」なんて集中力のないことを考えながら半分くらいすぎて、いや、半分かどうか時間配分はわからないんですが、その頃にですね、これがね、来たわけです。どっかーんと。

やっぱり伊達じゃありません。「こんなものかね」などと暢気な心は消し飛びます。まいった。まいりました。すいませんごめんなさい。すごいです。あまりのド迫力の面白シーンに幽体離脱寸前です。あのシーンです。石の。あれです。幻想的で美しいたいへんよいシークエンスでした。あれけっこう虜です。幼少の頃より山の景色を見上げては石の巨人を空想して遊んでいたまさにあれの具現化です。ああいう空想は世界共通の子供の遊びなんですよね、きっと。

で、その石のシーンを境に、その後はもう怒濤のような展開で大興奮の痰壺もとい坩堝。超がつくご都合主義もすがすがしいです。こどもにとっては怖かったりドキドキしたりするシーンもたっぷりの童話の理想、ファンタジーの鑑、あっという間に時間が過ぎ去るジェットコースターのような映画でした。

最後は遠くのお山を指さして「目指すお山はほらあそこ、次回の冒険乞うご期待。つづく」と、ロード・オブ・ザ・リングと同じような終わり方をするわけですが、もう「つづく」で終わっても怒ったりしません。

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