マルティナの住む街

Primos
マルティナの住む街

結婚式当日、花嫁に逃げられた男のスピーチから始まります。いとこ二人に慰められ、失恋ショックを癒やすため3人でよく知る海辺の村へ出向きます。10年前の元カノ、マルティナをくどいて新たな恋をはじめようという目論見です。
海辺の避暑地で繰り広げられるドタバタと人情と恋のソリッド・シチュエーション・リゾート・青春コメディ。ソリッドは別にいらんか。

マルティナの住む街

花嫁に逃げられたディエゴは男前です。冒頭はこの男のアップから。花婿としてスピーチしています。何やら途中から話が「?」ってなります。
「この兄ちゃん、何の話してるんだ?」
だんだん、表情がぴくぴく変化していって、花嫁に逃げられた告白になってきます。
このときの表情や語り口が面白すぎて、冒頭数分のこのシーンの良さだけで「よし気に入った!」ってなります。この男前、キム・グティエレスですが、いいですねこの彼は。面白いです。
男前だけど優柔不断で決断力がなく、か弱くてすぐ泣きます。
いや、ありがちなキャラクターですよ。でもめちゃいい感じです。

その彼を慰めるいとこ二人です。一人は強引で饒舌、一人は鬱病のおどおどした男です。
このいとこ二人とディエゴが失恋を癒やすため海辺の避暑地へ旅をします。

そもそもこの映画のタイトルは「Primos」訳すと「いとこ」ですってね。三人のいとこ同士のドタバタ青春バケーション・リゾート・ムービーです。ポスターも本国の本物はこんな感じです。

PRIMOS 2

邦題は「マルティナの住む街」、日本版のポスターデザインもいかにもミニシアター好きに媚びたようなデザインですね。それはいいんですが、ただしマルティナの写真はいただけません。このデザインに採用されたマルティナの表情はこんなふうに安売りして出してはいけませんし、そもそも実際はもっとキュートで素敵な女優さんです。

「いとこ」っていうおちゃらけコメディ映画が「マルティナの住む街」みたいなポエミーな文芸作品のように宣伝されるという、ちょっと面白い話でした。

はい。で、このいとこたちがやってきた海辺の村は、どこのスペイン村ですかっていうリゾート地で、村全体がテーマパークです。お祭りの季節なんです。この観光感が突き抜けていて、何のてらいもありません。観光地を堪能する様は「湯煙何とか温泉」の比じゃありません。楽しい楽しいリゾートムービーです。

村にいるマルティナはディエゴが童貞を捧げた10年前の元カノです。失恋したからといっていきなり昔の彼女を口説きにやってくるお気軽さです。村にすぐ到着し、マルティナにもすぐに会えます。序盤、この映画は壮絶なまでの簡単進行で面倒な部分をすっ飛ばします。

PRIMOS_2_960

左から饒舌なフリアン(ラウール・アレバロ)、マルティナ(インマ・クエスタ)、ディエゴ(キム・グティエレス)、ミゲル(アドリアン・ラストラ)です。

彼らがまず出会うのはマルティナではなくて、昔ビデオ店を営んでいた酔いどれ男ベチです。アントニオ・デ・ラ・トレがやってます。フリアンの昔のあだ名が「イワシ」っていうのに大笑い。
酔いどれベチには娘がいて父と娘の葛藤もあります。娘クララを演じてるのがクララ・ラゴですね。この親子とフリアンのエピソードも絡みます。

話は変わりますがべた褒めお勧めスリラー・ミステリーの「ヒドゥン・フェイス」というのがありました。泣き虫ディエゴを演じてるキム・グティエレスが指揮者の役でしたね。そして彼女役がクララ・ラゴでした。
私は「ヒドゥン・フェイス」を先に観て「マルティナのいる街」を後で観ましたが、これ製作年順に見てたらこっちの「マルティナ」が先です。
こっちを先に観てたら、「ヒドゥン・フェイス」でふられて泣いているキム・グティエレスを見てきっと笑ってしまってたでしょうねえ。真面目なスリラー映画なのに。そんでもって、家出した彼女がクララ・ラゴですから、どうしてもこの「マルティナの住む街」を思い出してしまい、半分以上不真面目に見てしまったかもしれません。どっちでもいいんですが「ヒドゥン・フェイス」の時に「マルティナ」を知らなくてよかったな、と。ちょっと思いまして。

話戻りまして眼帯をしているミゲルは鬱病で、そしてマルティナの息子とタイプが似ていて仲良くなります。ミゲルとマルティナの息子のエピソードもとてもよろしいです。面白いです。

まああの、この映画はあれです。あれではわからんか。コメディの定番っぽい映画です。三人の男たちと美女、事情を抱えたおっさんと娘、可愛い子供にサービスショット、田舎の村とお祭りと海と友情と恋です。そしてコメディ映画と言えば映画ネタです。ビデオショップを営んでいた酔いどれベチが繰り出す映画マニア発言。
「映画を見なかったころ勧められて初めて見たのが『テシス』」
「アメナーバルは天才だな。23歳の時の作品だ」
みたいのから始まる数々の映画ネタ。これはコメディ映画には外せないネタです。
つまりこれも定番です。他にも、80年代アイドルを懐かしむ「盛り上がりステージシーン」なんてのもあります。まったくもってよくある設定のよくある映画です。

しかし、私はこの映画メタメタ好きです。細かい会話が好きだし、キャラクターも全員いいし、間や演出も嫌味なく好感度高いし、ちょっとアイドルステージのところとかは好みではありませんが、そんなこと気になるレベルではないほど全部気に入ってます。
同じような映画があったとして、多分それほど気に入るとは思えないので、この映画独自の何か魅力があるのですね。もちろんマルティナ(インマ・クエスタ)ハートってのも大きいですし。

まあ何しろとても楽しい恋と観光地のソリッド・シチュエーション・ハッピー・青春・リゾート...(もういいか)
めちゃんこおもろいいとこ三人バケーション映画でした。

[広告]

コメントを残す