最後の賭け

Rien ne va plus
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公開年:
1997
製作国:
監督:
製作:
脚本:
撮影:
  • エドゥアルド・セラ
音楽:
美術:
  • フランソワーズブノワ=フレスコ
編集:
  • モニーク・ファルドゥリ
主演:
出演:

若い女ベティと初老の男ヴィクトールは色仕掛けを使って金を盗む詐欺師のコンビ。次のカモはスイスに集まる歯医者たちだ、っていうんで乗り込みますがベティが打ち合わせにない男とこそこそ遭っております。クロード・シャブロル1997年の「最後の賭け」はコミカルタッチの詐欺師サスペンス劇場。

最後の賭け

親子ほど年の違う詐欺師コンビです。冒頭はカジノで勝っている男に近づくベティ(イザベル・ユペール)のシーンから。男に近づき色仕掛けですぐにメロメロにさせます。薬を仕込んだ酒を飲ませてホテルの部屋へ。眠り込んだところにヴィクトール(ミシェル・セロー)が現れ盗みを働きます。詐欺師と言うよりただの泥棒ですね。現金はすべて盗まず半分以上残し、財布やカードも確認した後はそっと元に戻すんですね。「こうすれば起きた後も盗られたことに気づかない」という身の丈の利益を確実に得る小技を使います。

という感じでさほどスマートとも言えない詐欺師コンビです。でも金勘定はしっかりしていて、ふたりの関係性もちょっと怪しい感じです。

しばらく休暇を取って、次のカモはスイスに集まる歯医者どもだ、と計画を立てるヴィクトール。
休暇を利用して旅に出るベティに対して、一人になってやることがなくぶらぶらするヴィクトールです。このあたりから「最後の賭け」の面白さ噴出します。
メインのストーリーも十分に面白いんですが、この映画ではメインから外れたところにある小さなシーンが可笑しさを発揮しまくるんです。
ヴィクトールは食べることが好きで、いつも何か食べてます。ひとりでたいくつだなーという感じを出しまくって、可愛いやら情けないやら、とってもいい感じのシーンが楽しめますよ。

休暇を取ってスイスで落ち合う手筈のふたりですが、ベティが先に行ってこそこそ男と会っております。怪しむヴィクトール。こうしてどこかの会社の経理部長という男モーリス(フランソワ・クリュゼ)の三つどもえの騙しあいが始まります。

ストーリーはわりと巧妙で、観てるこちらが嵌められたりしながら進みます。「そうか、こういう展開になっていくんだな」と了解した直後にそれを裏切ったりします。こちらは本編にてたっぷりとお楽しみください。

で、やっぱりメインストーリーから少し外れたところに面白ポイントを沢山仕掛けております。無関係な脇の人物とか、とてもいいんです。
例えばホテルのボーイです。このボーイのシーンも何がどうということはないんですが「こちらがお湯、こちらが水でございます」「知ってる」とか。きりっとした眉毛で、何か見てるだけで笑えてくるのは何故ですか。
売店の兄ちゃんも面白いし、最後のほうで出てくる変な女の人とか訳わからず変で面白いし、飛行機に乗るシーンでは関係ない乗客でひとり大層おもろい奴が乗ってます。
物語後半に登場する、こちらはあまり無関係な人ではないんですがKという人もまた何か妙に面白いです。「哀しい話はこれくらいで」とか「片付けとけ」とか「自分の生い立ちまで白状した」件とか、もうほんと何でしょうねこの味わい深さは。

映画全体を包むトーンはそうですね、昔の探偵ものみたいな木訥したイメージが包んでいるように思います。昔の探偵ものではありがちな「知性と教養の会話」っていうのが健在で、ヴィクトールは好んでそのような話法も使いますね。

細かくうだうだ語るような映画じゃございません。とても雰囲気のよい面白い映画ですとしか言えません。

怪女優イザベル・ユペールが可愛く怪しく怖く美しい役をこなします。この女優はもう怪人と言っていいですね。
映画の最後のほうでおうちを訪ねるシーンがありまして「ぴんぽーん」「誰?」「郵便局員ですー」ってところで一瞬のけぞります。「沈黙の女」をすでに観てるからですよ。あれも凄かったですねえ。あれ?まだ感想書いてなかった。

大金を持ち歩く男をフランソワ・クリュゼが演じています。丸いサングラスをして登場するシーンがあって「ピーター・セラーズみたいよ」と言われて慌ててサングラスを外します。あらま。ほんとそっくり。

ヴィクトール役のミシェル・セローも渋い演技してます。嫉妬深そうな金銭に細かそうな真面目そうな、それでいてお茶目で愛らしくとぼけてたキャラクターですね。とてもいいです。

ムッシュKを演じたのはジャン=フランソワ・バルメで、なかなか絶妙な登場とその役割でした。ノリノリでムッシュKを演じてました。一目見て「知った人だな、誰だっけ」と思って、悪者に見えないしいい人そうだし、まあ、そういうお顔の方ですが、「ボヴァリー夫人」の旦那でした。あの印象強すぎたんですねえ。

大傑作「刑事ベラミー」を最後に2010年に亡くなったクロード・シャブロルの作品がその後相次いで発売されたり上映されたりしましたね。それまではほとんど知らない監督だったので「こりゃおもろい。こりゃ凄い」と相当遅れて虜になった口なんです。
ものを知らないとは何という幸運でしょう。この後も、未見のクロード・シャブロル作品を楽しむことが出来るんですよ!いいでしょう!

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