ウォッチメン

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「ウィッチメン」2009年。アメリカン・コミックの映画化。辛いヒーローたちを描きます。
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仮面とコスチュームで身を隠したヒーロー軍団が活躍したのも今は昔、今では多くのヒーローたちが犯罪者に殺されたり自殺したり逮捕されたり精神病院に入院したり、そうでなければ引退しています。そういう設定です。

法で裁けない悪人を懲らしめる自称正義の軍団は言わば犯罪者であり、コソコソと裏世界で暗躍するしかないのでありまして、この映画の面白さはそういう後ろめたいヒーローや悪人たちの紙一重な裏活動を描いているところです。

ただクライマックスに近づくにつれ、仕方なしといいますか当然といいますか、悪のボスも正義のヒーローもどんどんマンガ的になっていき、ごく普通の子供向けヒーローものと同じ結末に向けて突っ走りはじめます。今まで丁寧に描いてきたのは何だったのかと思える闘いと結末です。

そこで残念がるのは映画ファンのただのわがままでして、普通に考えたらこの映画は基本ヒーロー活劇映画なのだからヒーロー活劇で終えて当然なんですよね。でないとヒーロー活劇を楽しみにしている人たちがガッカリですもんね。

大昔、年の離れた弟がまだチビ助だったころ、彼のためにマンガを書いてあげていました。 「ウルトラマン・アマギ」というヒーロー物なんですけど、宇宙人の侵略がすっかり影を潜め、ウルトラ警備隊は世間から無駄な組織、税金の無駄使いとののしられ存続の危機に立っていて、そのため自作自演で悪の組織と正義のヒーローをでっち上げるというような話です。
そのマンガも弟に好評だったので回を重ね、で、回を重ねていって盛り上がってくるとですね、やっぱりだんだん普通の感動や格好良さを取り入れたくなってくるんですよね。 最後は子供がカタルシスを得るような闘いのクライマックスを力を込めて描いたような記憶があります。
はいな。ヒーロー物というのはそういうものです。宿命であり業ですわな。
だからこの映画のことは貶しません。

そういう意味では「ダークナイト」って映画はとてもよい落としどころを見つけたものだと感心します。
「ウォッチメン」を製作した面々は「ダークナイト」を見て「やられたっ。悔しいっ」って思ったかもしれませんね。思ってませんか。知りませんけど。

2009.10.29 記

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