すべて彼女のために

POUR ELLE
すべて彼女のために
公開年:
2008
製作国:
監督:
製作:
製作総指揮:
  • クリスティーヌ・ドゥ・ジェケル
脚本:
撮影:
  • アラン・デュプランティエ
音楽:
  • クラウス・バデルト
美術:
  • フィリップ・シーフル
編集:
  • バンジャマン・ヴェイユ
主演:
出演:

地味な国語教師のジュリアン、なぜか奥さんは超別嬪の編集者。そりゃ超ジュテームだわさ。しかしある日突然警察が乱入し奥さんが殺人事件の容疑者として捕まってしまう。何だ何だそんな馬鹿な何が起こったんだ。あれよあれよ。

すべて彼女のために

掴みばっちりの冒頭シーンはエンジンが呻りまくる車中。男のうめき声と汗いっぱいの焦っている中年男。怖いシーンです。これから、どんな怖いことが待ち受けているのか。ぞわぞわ。
そして画面が途切れ「3年前」おいおい3年も遡りますよ。

この冒頭、いいです。冒頭にこのようなサスペンスフルな怖いシーンを持ってきたことによって、3年前以降どのような怖いことが起こるのか興味津々になります。

突然殺人容疑で捕まってしまった超別嬪の奥さん。

当然、残った旦那の真犯人捜しが始まるに違いない、その課程で、冒頭のようなサスペンスが訪れるに違いない、とだれもが思うでしょう。私も思いました。

ネタばれは避けて、後のことは何も申しません。
これ、面白かったのです。やられた。いろんな意味で。フランス映画はさすが映画づくりに関しては一歩進んでいますね。

監督はデビュー作だとか。デビュー作でこれですか。大したものです。

この映画を見ていて、いろいろと思ったことがあります。それ書くとネタばれになるかなあ。大丈夫かなあ。

ひとつはフランス映画らしさがプラスに働いていることです。主人公は普通の男です。その普通の男を描写するための両親や弟の役割とか、じっくり描くホームドラマ部分がいい感じなんですよ。主人公の必死ぶりやある意味間抜けっぷりもリアリティを感じさせます。アクションヒーロー映画じゃないんですからね。日常っぽさが魅力になっています。フランス映画ということを逆手に、世界へ挑戦している感じです。

だからこれは映画を見慣れている人ほど楽しめる映画と言えるでしょう。小難しいとか文芸的とかアートシアター系とか、そういう意味では全然なくて、いろんなヨーロッパ映画を見て酷い目に遭っている人ほど、この映画を怖く見ることができるんです。安心して見ていられるアメリカの娯楽作品とは違いますから、何が起こるか油断できないということに場慣れしている映画ファンならではの恐怖を感じるんです。実に上手く誘導します。

もうひとつは国家権力に対する姿勢です。さすがフランス国民といいますか、最後まで見れば明らかですけど、その、警察や司法に対する醒めた倫理観は人として皆見習わなくてはならないのではないかと、ま、そのように思った次第で。

というわけで序盤から最後まで慣れた映画ファンの予想に答えたり裏切ったりしながら、あのエンディングを迎えました。これは拍手。

それにしても奥さん綺麗すぎるんですけど。お。イングロリアス・バスターズで印象深い役を演じたあの女優さんです。

いつもの事ながらひとつ文句があります。そうです邦題です。
DVD化にあたり「ラスト3デイズ」ってつきましたが、なんか、ちょっとどうですか、ラストとかデイズとか。どうでしょう。なんかちょっとニュアンスが。

原題は 「POUR ELLE」、「すべて彼女のために」のままが正しいですよね。愛する奥さんのためにすべてを抛って頑張っちゃった普通の男ジュリアン。そう、この映画の根底には燃えるような愛がテーマとしてどーんと居座っているのです。

と思ったら、劇場公開時は「すべて彼女のために」のタイトルで、DVD化の際に「ラスト3デイズ」を付け加えたとのこと。
しょうもないことするなあ。さすが「フェーズ6」とか「30デイズ・ナイト」とかくだらない映画も売り出してる会社だけのことはあります。

というわけで、え?なぬ?何ですと?ハリウッドでリメイク?
無理無理。
え?ポール・ハギスがですか?
うーむ。
どう料理したんでしょう。

「すべて彼女のために」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: 96時間 | Movie Boo

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