マダムと奇人と殺人と

Madame Edouard
美大生ばかりを狙った連続殺人事件の捜査に挑むレオン警視が辿り着いたのはビストロ「突然死」。この変な名のビストロに集まるこれまた変でおかしな面々。泥臭くて最高なビストロ物語と事件。
マダムと奇人と殺人と

素敵な音楽とカラクリ人形で始まるオープニングの素晴らしさでいっぺんに持って行かれます。「何だ何だこれはただ事ではないぞ」と思わず前のめり。

実はテクニカルコーディネートとしてジャン=ピエール・ジュネが参加しているらしいのです。
カラフルで洒落ていてファンタジックな独特な作品世界を作り出しているのにはそんなわけがあったんですね。素晴らしいオープニングは特にそれ風。この記事を書いている今の今までまったく知りませんでした。
どおりで大好物な世界観だったわけです。
いやはや。そうでしたか。へえ。

というわけで素晴らしいオープニングの次に目を見張るのがこの作品の主な舞台であるビストロ「突然死」です。
その店内は常連が集う泥臭くて貧乏くさくて素敵でお馴染みでよく知っている素晴らしきカフェ文化の雰囲気を漂わせています。不味い料理を作るコック、いつも同じワインを飲む人、不良にオカマに駄目人間に変態、社会の落伍者が寄り添う表世界からはみ出た底辺文化の新世界。
まあ、もっと端的に言うと関西ではお馴染み新喜劇のうどん屋の雰囲気、とでもいいましょうか。そこに集う下々庶民によるちょっとした人情喜劇ですね。泣いて笑って笑って泣いて、大袈裟なことは起きませんが殺人事件やいろんな事情が絡んできて、最初気持ち悪い連中だなと思っていた住人たちにだんだん感情移入できるようになってきます(←こら。殺人事件は大袈裟なことではないのか)
ほのぼのの押し売りをすることなく、下品さ変態さを同居させつつ言わば「アングラ・ほのぼの」世界を構築させます。この素敵世界は格別ですよ。
定石通り、ラストは素敵なお歌で締めますよ。こういう映画、大好きです。音楽もいい。

はて。連続殺人事件はどうなった?ああそれなら、きちんと解決します。

2009.11.05

監督のナディーヌ・モンフィスは「レオン警視」シリーズを手がける人気女流作家で、今作は「エドゥアール夫人」を自ら脚本、監督した作品だそうです。
1953年ベルギーはブリュッセル生まれ。いいですね。ベルギー。住みたいですね。
作風は「ほのぼの人情悲喜劇」どころか、残酷寓話作家などという形容をされていたりします。暴力や死とか、おぞましいと切り捨てられたとか、紹介には気になる記述が散見されます。これは是非読んでみないと。
と、思ってちょっと探したけどなかなか出会えないすね・・。Amazon.comには沢山あったんですけど日本で見当たりません。

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