エクソシズム

La posesión de Emma Evans
エクソシズム
公開年:
2010
製作国:
監督:
製作:
脚本:
音楽:
主演:
  • ソフィー・ヴァヴァスール
出演:
  • スティーヴン・ビリントン
  • ラッザロ・オエットリ
  • リチャード・フェリックス
  • ダグラス・ブラッドレイ
  • トミー・バストウ
  • ジョー・アン・ストッカム
  • イサマヤ・フレンチ

エクソシスト物のひとつです。悪魔に取り憑かれたのかはたまた病気なのか、辛い少女と、少女に関わる両親と悪魔祓い師の叔父さん。日常の悪魔憑き。

エクソシズム

「エクソシスト物ってブームなんだろか」と最近書いたばかりですが、これもそのひとつです。さてこれはどんなんでしょうか。
こちらもスペイン映画です。でも言語は英語でした。つまりこれは、世界のマーケットに向けた自信作ということですね。個人的にはスペイン語だったらもっとよかったと思いますがそれはまあいいとして。

「どうせ大した出来じゃなかろう」と勝手に決めつけ、名作ばかり見て名作シンドロームにならぬよう、息抜きのつもりで見たのでした。ホラーやスリラーが好きなくせに、いつも「息抜きのため」「適当に時間つぶしするため」とか、どうも失礼な見方ばかりしています。そんでもって、息抜きのつもりがめちゃおもろい映画に出会って「うおー。おもろかったー。生きててよかったー」と思ったりするわけです。

さて「エクソシズム」という直球そのままズバリ捻りなしの邦題をつけられたこの作品、本当のタイトルは「La posesión de Emma Evans」えーと「エマ・エヴァンスの所持」・・・posesiónは、持っている、保有している、占有しているというような意味ですか。
あ、ちょっと文芸チックなタイトルですね。「エクソシズム」という直球そのままズバリ捻りなしの邦題はちょっとどうでしょうね。そぐわないと思います。他の、本当の直球エクソシズムの映画(がもしあれば)に譲るべきでした。

文芸チックな原題の示すとおり、この作品、文芸チックな表現技法でリアリティから大きく踏み外さぬよう努力しながら作られています。もちろんあちらこちら踏み外していますし、テーマがテーマだけに漫画チックになったりもしますが、それでもリアリズム系文芸映画の技法を若干表面的とはいえ踏襲しています。そんでもって、そこがやっぱりいいところです。

その雰囲気の一端を予告編でご覧いただけます。iTunesStoreの映画コーナーは貧弱ですが予告編と称して冒頭数分を見せてくれるのがいいところです。これでネタバレ食らうことなく映画の雰囲気が伝わります。
iTunesから予告編をご覧になってみてください。

この冒頭を見て「おっ。面白そう」と思ったら私と一緒。「なにこれサンダンス系のインディーズ?狙いすぎ。素人くさ」と思ったらこの映画は向いていないと思います。

揺れたりピントがすっと逃げたりするドキュメンタリー風撮影技法はさすがに「またこれか」と思う人もいるかもしれませんが、でも揺れずに完璧なプロっぽい映像の作品を見ても「またこれか」と思わないのですから、表現技法として合わないとか浮いてしまってるというんじゃないかぎり、その技法だけを毛嫌いするのはどうかと思います。むしろこういう技法はもっと定着してもいいと思っとります。

で、その表現技法の通り、悪魔憑きのお話なのにまるで少女の青春映画みたいな撮り方で展開します。もちろん「病気かもしれないよ」路線もすぐには捨て去りません。なかなか繊細な演出で気を遣っておられます。
サンダンス的リアリティ演出で荒唐無稽な世界を描くという点で、最近のSF映画「アナザー・プラネット」を思い出します。「エクソシズム」はオカルト界の「アナザー・プラネット」です(言い過ぎです)

そうそう繊細な演出と言えば、ある交通事故のシーンで運転手が直前に運転席で何かに気を取られて屈んでいて一瞬前を見ていないという細かい演出が入ります。見逃すほどの一瞬のシーンですが見逃すことはありません。「唐突な事故シーン」という脚本的に無理矢理なありきたりのシーンに、せめてものリアリティをと目論む監督の気配りが見て取れます。

もうひとつ素晴らしいシーンがあります。序盤、エマがバスルームで気を失っている間に、曇った鏡に悪魔のメッセージが書かれているというこの手の映画の定番シーンです。そのシーンの対応は素晴らしいものがありました。このシーンを見た瞬間、心でガッツポーズ。一気にこの映画の好感度が上がりましたよ。答えは書きません。これから見る人の楽しみを奪いますから。

ごちゃごちゃ言っていないで結論ですが、とても面白かったです。最近立て続けに見たエクソシスト物3本の中では一番でした。
リアリティ演出は最後のほうには影を潜め、ミステリーの謎解き的にすっきりする展開や、ラスボス対決という娯楽作品盛り上がりもちゃんとあります。そのラスボス対決も安直になりがちなところをギリギリ押さえています。いろいろと残念感もあるのですが贅沢は言いません。

この作品を送り出したプロデューサーはフリオ・フェルナンデスです。この方は「ダークネス」「マシニスト」「パフューム」「ベビー・ルーム」そして「REC」などなど様々な作品に絡んでいて、結構観ています。へえ。あの人かーと、知り合いではないですが思ったりします(→人名:フリオ・フェルナンデス

監督のマヌエル・カルバージョはあまり作品がありません。よくしりません。新鋭でしょうか。まだちょっと稚拙なところも見えますがいい感じの演出家です。

脚本を書いたのがダビ・ムニョスで、この人は「デビルズ・バックボーン」の脚本チームのひとりです。おお。「デビルズ・バックボーン」はいいですよね。

というわけでわりと面白く、当たり外れで言えば当たりの「エクソシズム」でした。

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