ロシアン・ドールズ

Les Poupées russes
ロシアン・ドールズ

セドリック・クラピッシュ監督「スパニッシュ・アパートメント」(2002)の続編、青春映画を駆け抜けた若者たちの数年後を描きます。

ロシアン・ドールズ

スパニッシュ・アパートメント」はとてもよい映画でした。べた褒めしています。
ただしオチは好きではありませんでした。将来出世コースにいる若者たちが集まって馬鹿やったりする内容ですが、オチでは官僚になることや出世コースを辞めてフリーで生きるんだワーイという、そういうエンディングになってしまいます。そこを残念に思っていたので、完全にその続きである「ロシアン・ドールズ」にあまり興味がなかったのです。バブル臭いというか、公務員を蔑みフリーライターかっこいいみたいな、そういう設定が馬鹿らしくて「続編?どうでもええわ」と思ってたわけで、でもひょんなことでセドリック・クラピッシュがさらにまた続編、「ロシアン・ドールズ」からさらに10年後の彼らを描く映画を準備中という報告を聞いて、それなら押さえておくためにも「ロシアン・ドールズ」観とくか、と不純な動機で観ました。

我らがセシル・ドゥ・フランスを拝みたかったというのもあります。

共同生活していたヨーロッパ各国の学生たちの5年後。トレンディドラマのようにフリーライターやら作家やらテレビキャスターやらになっています。華やかだったりうだつが上がらなかったりはしますが「おれたちは決められたレールの上を走ってるんじゃないぜ」みたいな小っ恥ずかしさとともに、若干の大人としての青春を謳歌します。惚れた腫れたのやりまくりだの何だのと、軽薄かつ軽妙にコミカルタッチで進行する物語です。
やっぱり予想通り「スパニッシュ・アパートメント」にあったインテリジェンスをあまり感じませんし「猫が行方不明」にあった人情風味も希薄です。恋愛ネタが多くを締めてますから、ラブロマンス系が苦手な人にはちょっと辛いかも。

ただしセドリック・クラピッシュならではのユーモアやコミカルさは健在です。特に序盤から中盤に掛けてのコミカル展開は観ていて飽きさせません。若いうちに独立した自由業者が得意先相手に「吹きまくる」シーンで本当に笛を吹いて踊るところなど可笑しいやら恥ずかしいやら。「あるあるあるある」の世界です。ええそうです。かつて私も吹きまくり踊りまくりました。「〜を出来ますか?」と問われれば「出来ます」どころか「経験あります」と吹きます。「大きな仕事だけど人集められますか」と問われれば「すでに6人雇ってます」と吹きます。今では恐ろしくてできませんが、若い頃には何でもありです。「経験あります」と言ってから飛んで帰って不眠不休で勉強し試作しまくり経験を作り上げるのですよ。

そんな話はともかく、バブル臭くてトレンディドラマ臭くて恋愛ネタで、なのに映画は面白いという、まあ、上手に作ればどんなネタでもここまで魅せることが出来るんでありますねえ。感心します。
演出だけでなく役者の力の大きさも感じます。我らがセシル・ドゥ・フランスはこの作品でも助演女優賞を受賞しましたが、やっぱり彼女が出てるシーンはびしっと締まります。
オドレイ・トトゥもそうですし、オーラの出ている力のある俳優ってのは本当に存在感がありますね。

前作ではアホの代表のような扱いだったウェンディの弟が、大幅に出番も増えて大活躍します。ロンドン公演に来ていたウクライナのバレリーナに惚れて結婚までこぎ着けるという、このエピソードは面白いですよ。世界をまたに掛ける青春映画、今回はロシアにまで出向きます。

タイトルのロシアン・ドールズというのは言わずもがなマトリョーシカのことでして、劇中でも自分探しやロマンスの本質について、この入れ子の人形を例えにして語っています。
語りはどうでもいいですが、マトリョーシカはみんな大好き。魅力的な民芸品です。

チョコラーシュカ
これはアリスセイラーに貰ったチョコラーシュカ

とても面白い映画ですが、残念ながら最後のほうは鬱々うじうじしてきて、コミカルさも影を潜めます。恋とセックスばかりみたいな内容に加えて、せっかく「スパニッシュ・アパートメント」での潔くはかない関係だった友人たちが一同に会してしまうというのも、尾を引いている感じがしてちょっとその、あれです。でもそれを言っちゃあ続編が成り立たないですから仕方ないです。あくまで私の好き嫌いの話ですので、大人の恋の映画が好きな人には何の問題もありませんし、青春映画として真っ当なので不平を言うのは辞めときます。

セドリック・クラピッシュ監督、撮影中というさらなる続編「Casse-tête chinois」では、40代になった彼らの姿をどのように描くのでありましょうか。楽しみなような、どうなんのこれと思うような、どうなんでしょう。

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