ディヴァイド

The Divide
ディヴァイド
公開年:
2011
製作国:
監督:
製作:
脚本:
撮影:
音楽:
  • ジャン=ピエール・タイエブ
主演:
出演:

核攻撃を受けて壊滅状態のニューヨーク。アパートの地下シェルターに逃げ込んだ男女9人の不安と不信の密室劇。ホラー要素も含めてのシチュエーションSFスリラー。監督が「フロンティア」のザヴィエ・ジャンです。

ディヴァイド

フロンティア」は微妙ながらちょっと印象に残る映画でした。それから、製作総指揮してる「ザ・ホード」はかなりの面白さだったわけで、フレンチホラーでポップでキャッチーで残虐、ザヴィエ・ジャンという人がどういう人か知りませんがこういった単純なイメージだけを持っておりました。特に注目していたわけでもありませんが何となく記憶に残ってまして。

このザヴィエ・ジャンがアメリカ、カナダ、ドイツの資本でこの密室SFスリラー「ディヴァイド」という映画を監督したということで、あまり期待せぬようにして拝見した次第です。

核戦争というか核攻撃を受けたニューヨークの地下シェルターが舞台です。
「核攻撃を受けたニューヨークの」という、この単純で軽い設定にまず危機感を覚えます。ありがちなこうした終末世界の設定、事が大きすぎて大抵説得力を持ちません。単に、映画の設定である「地下に閉じ込められた人間たち」を描くための理由付け程度の意味しかありません。
閉じ込められた人間たちの焦燥ドラマを作るための理由付けとして、甚だ大袈裟であります。大丈夫でしょうか。

いきなり冒頭から世界終末みたいな核攻撃のCGが登場して、人々があれよあれよとアパートの階段を駆け下り、そのうち何人かが地下シェルターに入り込みます。冒頭の核攻撃CGにちょっと冷めてしまいますが、この後の展開も含めて、ここに「ディヴァイド」のちょっとした個性というかザヴィエ・ジャンの工夫というか、洒落っ気というか、そういうのがあります。どういうことか。こういうことです。

この「ディヴァイド」という映画は多分低予算の映画です。でも核戦争後の都市の地下シェルターが舞台設定ですから、表現として避けるわけにもいかずCGを使って大袈裟な景色の描写シーンを入れ込みます。大作映画と違って、どうしてもCGが少々安っぽくなります。説得力に欠けます。そこで、ひねくれ者のフランス人監督は「説得力を放棄する」というコロンブスの卵的発想で乗り切るのです。

序盤に急展開するところがあって、密室と思っていたら外から何かがやってくるというシークエンスです。あれれ?SF展開になっていくのかな?と思ったら、直後にこの展開そのものを閉じ、説明的シーンをばっさり放棄して「やっぱ密室です」と高らかに宣言します。この展開おもしろいです。ここまで思い切りよくやられれば誰しもが納得します。「そうだSF設定なんかどうでもいいのだ。説明などいらん。密室設定了解」

というわけで男女のドラマが展開しますが、まあまあそれなりに面白いです。最初は同じ年頃の若者たちが何人もいてわかりにくいですがだんだんと個性も出てきます。
地下シェルターの宿主ミッキーや子供を連れた母親などいい感じです。人物の性格設定にやや複雑な面もなくはないです。

だいたいこうした設定の映画らしく予想通りの展開になりますが、細かい部分で個性的なストーリー運びもあります。決して馬鹿みたいな映画ではありません。心理的なドラマよりも残虐やホラーテイストに向いていますから「ブラインドネス」みたいな巨匠の名作とは似て非なるものです。

主要登場人物ミッキーの性格設定は面白かったですよ。可哀想にミッキー。最後サムなんかと一緒にされたりして。荒くれ者ですが根が優しくて嘘もつくし不思議な性格をしています。「おまえらに食わせようかと・・・」とか「正当防衛だ」とか、ちょっと弱々しいところもあっていい感じ。

ミッキーは元軍人のルーザーなのにやけにリベラルで放射能の危険を知っていたりします。放射能の恐怖を若者に伝えるセリフの中に「Japanese」という単語を確かに聞き取れますが字幕ではそこらあたり無視して訳されていません。字幕駄目ですね。
字幕駄目と言えば、登場人物が「ペニス」と言っているのに「ナニ」と訳したりして、かなりいい加減な仕事をしています。ペニスはナニではありません。

あ、ミッキーを演じているのは昔人気あったマイケル・ビーンじゃないですか。へえ。

ロザンナ・アークエットが出演していまして、壊れていくママの役です。この女優さんは、アメリカメジャー映画界で女優が生き延びることの難しさを語っておられるそうです。又聞きで聞きました。
日本のロリコン文化ほどではないにしろ、アメリカメジャー映画界でも大人の女が活躍する作品は多くないそうで、若く美しい女優が老けてきたときに仕事を続ける難しさというのがあるのだそうです。

さて「ディヴァイド」、地下シェルター内の人間焦燥ドラマで、わりと面白いとは言え、やっぱりちょっと残念な部分も多いのでして、例えば弁護士のサムですが、彼の弱くて情けない性格設定はいいんですけど、あれならもうちょっと大人で見た目がしっかりしてそうな人を役者に選ぶのが効果的だったと思うんですけどねえ。これちょっと惜しいと思いました。

もっと残念な部分があります。あまり貶したくない映画ですが正直に感想を書いているとどんどん貶しているように見えるかもしれません。

なんと言っても主人公の女性が駄目です。いえ女優さんはいいんですけど、設定や演出がですね、なんだこれっていう、私が個人的に思うところのですね「プレステ的人物」「プレステ的演出」です。
誰にも伝わらないかもしれませんが、例えばこの主人公女性、設定に無理とブレがあるし、いつもゴルゴ13みたいに無表情で、なんか「深い考えがありそうなブリッ子」です。マネキン的無表情でちょっとうつむき加減で目だけ上を見て睨んでるみたいな構図も頻出、なんでしょうね、これ何かその、下手なCGで作られた戦士の美女みたいな、そういう印象なんですね。いえ私プレステ持ってないし実際は知りませんし何となくのイメージだけで言ってますが。
実際にはこの女優さんの優しい演技のいいシーンもあるんですが、なんか常に格好をつけていて表面的というかゲームっぽいというか、...まあいいか。

主演の女優さんはローレン・ジャーマンです。「ホステル2」なんかに出ています。だからこの女優さん自体は素敵です。

あとやっぱりもっとも残念なのは最後とそのまた最後。最後をバラしてはいけませんが、えーとつまり、うんこです。

うんこ溜めの汚さが足りません。これは惜しい。実に残念。ザヴィエ・ジャン、君ならもっと出来たはずだ。「フェノミナ」を見よ。美女とうんこ。これを徹底的にやらなくてどうする。うんこ綺麗すぎるやろ。ちょっとそこ座れっ。

えーとそれからもうひとつはやっぱり景色のCGの残念感はあります。どうもまたプレステ的風景と思ってしまします。プレステ持ってないのに。いえそれよりあれです。この映画、前提からして核攻撃で壊滅したニューヨークだし、途中も外の危険や絶望感を臭わせます。なのにまるで最後に意外なオチを見せるかのように壊滅したニューヨーク(の残念CG)を見せるんですね。これ不思議でした。なんでこのようにしたのでしょう。これなら、最初の核攻撃を普通の爆破テロ程度の扱いにして「単なるビル爆破か、もしかして核攻撃?ひょっとして世界壊滅?どうなん?どうなん?それは外に出てみないとわからない...」みたいな設定にしとけばいいのにね。

残念残念と言ってないで褒めるところ探しますがありました。
ちょっと戦って敵を殺しますが、ちゃんと死体が腐って臭いし、これを解体して便所へ棄てようってことで「お前やれよ」とか、そういうスリラー的小気味よさってのがあります。死体を刻むなんて普通の人には怖くて出来ません。そういう部分をちゃんと描きます。アクション映画では人が死んでも物と同じですが、スリラーでは臭かったり解体の必要が出てきたりします。ちなみに文芸映画では人が死ぬと悲しみがあったりします。ゾンビホラーでは蘇ったりします。
あとちびっ子のお嬢ちゃんが出てきます。皆まで言いませんが、ストーリーに一風変わったところ、というか、普通のアメリカメジャー娯楽映画にはないところが結構ありまして、そういうところは評価したいです。

というわけで長く語るような映画でもないのにだらだら書きました。こないだデータベースが壊れてせっかく書いたのが10個ほど飛んでしまってからやる気をなくしていましたがまたがんばります。なに。がんばらなくていいと。そうですね。どうもです。

Lauren German

というわけでちょっとローレン・ジャーマンのブロマイド。クリックの先はIMDb。

「ディヴァイド」への2件のフィードバック

  1. 「フロンティア」のサヴィエ・ジャンがこの程度じゃ、萎えますよねえ。
    そう、うんこのシーンね、もちっと気合い入れて描写してくれないと。
    エンディングも、さんざん期待させといて、そのまんまやないかい!

  2. そうですよね。ちょっぴり萎えます。
    「フロンティア」であそこまでやれたのにねえ。ザヴィエ・ジャンはもっとできる子の筈。でも本性はアイドル系なのかもしれません。

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