ディセントZ

THE BURROWERS
俄に注目の「mute ミュート」のJ.T.ペティによるモンスターパニック映画。邦題に「ディセント」のパチモンタイトルを付けられた哀しき作品ですが、もちろん「ディセント」とは無関係。19世紀の開拓時代のアメリカを舞台に、白人、黒人、先住民、+その他部族を描きます。
ディセントZ

「mute ミュート」がお気に入りのため、すっかり(ここだけで)注目株のJ.T.ペティ監督による2008年のこの作品、「ディセント2」のDVD発売に合わせてパチモンタイトルとしてリリースされた妙なモンスター映画です。

本作は「ミミック3」より随分まともと言っていいかもしれません。その分、個性がないとも言えますが、「mute」や「ミミック3」で見せたアートっぽい雰囲気とはまた別の路線に挑戦しており、それがまたちょっとだけ変なものだからそれを以てして個性的と言ってもいいでしょう。そしてあまり名誉なことではなさそうな「ペティ節」も健在です。

19世紀の開拓時代の物語です。小物や衣装などでそれらしい雰囲気を作ります。人物の感じもいいですね。オープニングなんか、いかにも開拓時代設定の映画として、構図や演出に力強さとオーソドックスの技術を身につけた成長ぶりが見て取れます。

しかしお話はオーソドックスとはいきません。ペティくんの脚本は、何かしら捻っていないと気が済まないようでして、一風変わったお話となっています。
登場人物も一筋縄ではいきません。誰が中心?誰が善で誰が悪?いいですね。わけがわかりません。かと思えば、とても典型的な人物描写も交えます。

今回も「ミミック3」と同じように、モンスターはオマケのような扱いです。モンスターそのものより、それを取り巻く人間たちのほうに重きを置きます。開拓時代だけあって、白人・黒人・先住民がその中心テーマです。モンスターですら、地を掘る民族という扱いです。
「ミミック3」と違って、クライマックスの大乱闘で、モンスター映画として観る者に満足感はきっちり与えます。与えますが、闘いの後に、大層ひねくれたオチを持ってきました。
詳しくは申しませんが、これはなかなかハイセンス。いいオチです。
酷いというかあんまりというか、突き放し系というかギャグ系というか、度が過ぎたブラック・ジョークといいましょうか、油断ならないこのオチに呻らずにはおれません。
このラストにいたるシークエンスは監督の意図通り、ひねくれまくってます。しかもあの妙なエンディングの音楽。
やっぱり我らがJ.Tはやらかしてくれました。

さて褒める部分は以上で、あとはJ.Tならではの稚拙な部分ですが、案の定、普通のドラマ部分、つまり物語がどうなっているのかを観客に正しく伝えるべき基礎的な部分なんですが、これの演出があまり上手くないです。どうしても取って付けたような、説明的な演出になってしまいます。ぎこちないというか。
まあしかしここまで安定して稚拙だとやはりこれもこの人の個性であると言うしかないのかもしれません。このぎこちなさは、楳図かずおの漫画に見る「上手いのか下手なのかわからない楳図節の超個性的な絵」と同じく「J.T.ペティ節」と言いたくなります。

あと、つまらない揚げ足取りのようなことを言ってしまえば、モンスターの設定が一番いいかげんで、地を掘る民族として描きたいのか、単なる妖怪変化として描きたいのか、中途半端なことになっております。まあ、そんなことはどうでもいいか。

J.T.の映画はこれで3本紹介しました。
さてそうなるとあとは日本版が出ていない「S&MAN [SANDMAN] 」です。観たい観たい病にかかりそうです。

しかしなんでまたこのような監督にいつまでも注目するのでしょう我々は。
なんかね、匂いを感じ取るのですよ。テイストに何かこう、好物な成分が。

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