ラム・ダイアリー

The Rum Diary
NYからプエルトリコへやってきたジョニー・デップ演じる酔いどれ詩人・・・じゃなくて記者ポール・ケンプの仕事と顛末。 ハンター・S・トンプソンの自伝的小説の映画化を買って出たのは同氏の原作による「ラスベガスをやっつけろ」で彼を演じたジョニー・デップ。製作と主演。ジョニー・デップがハンター・S・トンプソンに対して見せる心意気とは。
ラム・ダイアリー

ジョニー・デップと言えば出演作の最高傑作で代表作はテリー・ギリアム98年の怪作「ラスベガスをやっつけろ」ですね。ジョニー・デップと言えばラスベガス、ラスベガスと言えばジョニー・デップです。ちょっと、そこでムズムズしてる異論がありそうな人、ここは異論は無用ですよ。個人の見解です

「ラスベガスをやっつけろ」でハンター・S・トンプソンを演じるために、当時ジョニー・デップは彼の付き人までやって癖や仕草などを会得したそうです。付き人までやって髪も剃ってあれほどの演技までして熱演した傑作「ラスベガスをやっつけろ」のジョニー・デップにとってハンター・S・トンプソンは特別な人です。「GONZO」という、彼のドキュメンタリー映画でもナレーションを担当していますし、心棒者でもあり友人でもあって、その思いは並々ならぬものの筈です。

「ラム・ダイアリー」は2005年に衝撃的に亡くなったトンプソンの半自伝的小説の映画化です。ここで黙っているわけにはまいりません。おいこらちょっと待て。これをやるのはおれ以外いないでしょうが。と言ってきたのかどうなのか、当然のようにプロデューサーを務め主演を張るジョニー・デップです。いやもしかしたら映画の企画自体を彼が立ち上げましたか?それは知りませんが、とにかくハンター・S・トンプソンと言えばジョニー・デップ、ジョニー・デップと言えば…もういいか。

というわけでプエルトリコの新聞社に採用される酔いどれ記者ポール・ケンプ(ジョニー・デップ)です。彼のいい加減な仕事っぷりを楽しめます。そして頼りなさそうな上に主人公より酔いどれ度の高い同僚たちを楽しめます。出鱈目でふわふわで好き勝手やってる職業人たちのはたらく姿をご覧になれます。

ラムという酒は昔は「ラム酒」って言っていて、その酒を飲んだことがないころは何だかファンタジックなイメージを持っていました。「葡萄酒」と「ラム酒」は、言葉としての語呂や語感が子供の頃から大好きで憧れだったんですね。
いい年の大人になって、生ぬるいジンやウォッカ(いえ冷蔵庫がなかったものですから)から足を洗って高級酒ビールばかりを飲むようになりましたが、同時にラムも飲むようになりました。
以前よく行っていたバーでとてもおいしいラムを出してくれるところがあってですね、そこに行ってはいろんな種類のラムを味わうようになり、ついでに自分でも買うようになり、一時期はほんとにラムばっかり飲んでました。最近はまたあまり飲まなくなったので、ちょっと久しぶりにメインをラムにしてみようかななんて思ったりもします。 個人の思い出です

というわけで「ラスベガス」ほどのぶっ飛びは最初から期待していませんが、やっぱりちょっと期待して「ラム・ダイアリー」を観ました。
見終わって思ったのは、わりと格好をつけてたな、って感じです。
駄目人間っぷりがちょっと足りないというか、最後のほうとか真面目だったりします。酒を飲む量も駄目人間っぷりも人としての面白さも同僚のふたりに負けています。編集長にも面白味で負けています。もっと酒飲みでもっとムチャクチャのほうが面白かったのはまちがいないでしょう。 個人の感想です

でも全体にはおもしろい映画でした。もっとだらだらしてほしかったのですが、そこそこだらだらしているし、仕事の仕方もいいしトラブルの原因やその結果も面白いし、登場人物全員ものごとをやり遂げずにいい感じです。
守秘義務のサインをした直後なのに同僚を連れて秘密現場に入って叱られたら「いや彼は興味がない人間だからいいんだよ」みたいな素晴らしい返しをしたり、細かくとてもよろしいです。
こういう映画を観ると気分がほぐれて腐れ世の中のことを少し忘れることができます。誰か他人の作った夢の世界に浸ることは表現者としての堕落でもありますがそんなことはお構いなしです。
そしてこういうだらけた映画を作ろうとして実際に作ってしまうジョニー・デップをやっぱり見直し尊敬したりします。

ジョニー・デップという人は一般にも凄く人気がある俳優ですがいつの間にそうなったんでしょうね。やっぱりティム・バートンのおかげなんですか。きっとジョニー・デップはティム・バートンに感謝してるんでしょうね。あ、カリビアンですか。観たことないんですけど、そうなのかな。よくわかりません。

ジョニー・デップといえば「ラスベガスをやっつけろ」以外はどうにもパッとしない印象でした。沢山の映画に出てるし、その中でも中途半端な映画ばかり観たせいかもしれませんが、何かこう、華がないというかオーラが出てないというか、ふにゃっとしているというか、そういう感じで、親近感はあれど大スターという印象がないんですよ。で、それはなぜかと考えたら、なんとまあ失礼なことに「身の丈をわきまえている俳優」ではないかという結論に達しました。もともと大スターの器じゃないことを本人が一番判っていて、だからプライベートでの派手さもないし、振る舞いや仕事の仕方に謙虚さを感じたりするんではないか、と。まあ言うに事欠いて無茶苦茶書いてますねわし。これ以上いい加減なことを書くとファンに刺されそうですがまだ書きますと、このジョニー・デップという人、私と誕生日同じなんですよ。言ってみればジョニー・デップと言えばわし、わしと言えばジョニー・デップと 狂人の戯言です

Amber Heard
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気を取り直して綺麗なお嬢さんのお話でも。
この映画、わけのわからないロマンスになったりする展開もシニカルでめちゃいい感じですし、大人っぽいけど子供みたいなこのヒロインのお嬢ちゃんの可愛さはあまり映画に合っていないような面白味があって、捻ってもう一回捻ったような微妙なキャスティングです。
このお嬢さん、アンバー・ハードさんですが、どこかで見たなーどこかで会ったなーどこだっけーどこだっけーと思っていたら「ザ・ウォード」の気違..もとい、主人公のお嬢さんでした。他にもいくつかお会いしています。

酒を飲みだらだらし、駄目人間を堪能して、でも何かちょっとがんばっちゃったりする「ラム・ダイアリー」、もう少し「ラスベガスをやっつけろ」に近づくとか、もうちょっとだらだらして「酔いどれ詩人になるまえに」に近づくとか、何となく方向性にもう少しだらしなさがあったらもっと好きになってたなー、という感想ですが贅沢は言いません。
というかジョニー・デップのことも悪くは言いたくありません。ハンター・S・トンプソンのことをジョニー・デップ以上に我々が理解しているわけがないのです。いい仕事したな、って思います。いやほんと。まじで。

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