トロール・ハンター

Trolljegeren
ノルウェーの山奥で密猟者を取材しようと意気込む3人の大学生。彼らが出会うのは熊ではなく・・・北欧の妖精トロールであった。なんとトロールは実在したのだっ。
トロール・ハンター

何でこんなのを観ようと思ったのか、ノルウェーの景色が楽しめるかな、と。妖精でファンタジーかな、と。怪獣に迫力あるかな、と。でもあとで知ったんですがたいそう話題作だったようですね。

で、この「トロール・ハンター」、冒頭いきなり「これは匿名で送られてきたテープである・・・」との解説。あちゃー。POVかぁ。

「本物かどうか専門家が1年がかりで調査した結果、このテープは本物であると立証された」その文言がですね、このようなとても馬鹿らしい文言なんです。 POV設定の今更感があまりにも強いので、何か変だな、わざとらしすぎるのではないか、と思った次の瞬間、映画本編が始まり、そのビデオテープとやらが映し出されます。

ちゃんとPOVらしい手持ちカメラの映像です。カメラマンが持っていて、音声さんとインタビュアーの三人組です。画像はとってもクリア。家庭用ビデオで撮った設定の一般のPOV画質とは異なり、映画用の高価なカメラであることがすぐにわかります。POVのふりをしていますが、見やすい構図にちゃんと収めていることにもすぐに気づくでしょう。

こいつは極端な子供だまし系作品か、あるいはそうじゃなければ、なんなのか、・・・まだ冒頭ではこの映画のことが全くわかっておりません。 で、それらしいPOVのそれらしい展開を経て、さすがにだんだん気づいてきます。

序盤は比較的真面目に進行しますが、森のトロールに出会って「トロールだ!」と叫ぶあたりからお馬鹿が炸裂するんですよ。

そうなんです。観る前は全然知りませんでしたが、これはいわゆるPOV映画のパロディです。これ、コメディ映画です。

真面目にふざけながらPOV怪獣映画をやってます。 この、真面目にパロってるところがたいへんよろしいです。

で、結論を言います。これは めちゃくちゃおもろいです。 いやもう、真面目にPOVをやりながら、出てくる怪獣が北欧の妖精トロールってどういうことですかみたいな。

このトロール、知能がほとんどない哺乳動物っていうことで、それで、寿命が1000年以上あって、紫外線当てれば石になったり爆発するという、そんでもって傑作なのは「キリスト教徒の血のにおいがわかる」ってんで、撮影隊一行も「おいみんな無神論者だろうな」「もちろんだよ」なんて言いながら、こっそりカトリックが混ざってたりして、「神様、助けてっ」「黙れっ」とか、もう面白すぎ。

広報や予告編ではこのあたりをちゃんと伝えていたんですね。

「これは、世界で初めてノルウェーの森に住む妖精の撮影に成功した記録映像である」 「本当に、本当にいる」

「トロール臭の材料はトロールだけです。ご家庭でも簡単に作れますね」 キャッチコピーや広報もなかなか秀逸です。

普段は予告編や公式サイトは避けてますから、最初からこのような面白映画として売り出してるとは気づきもしませんでした。てっきり普通の怪獣映画化と思ってました。

細かい部分で、これまでのPOV映画や怪獣映画のパロディをやっておりまして、でもその中に漂う「子供の夢物語」という性質も特徴的です。

例えば送電線の下を走りながら「この送電線はトロールが保護地区から出ないように作られているのだ」とか

そうですそうです。子供が車の後部座席で退屈しながら、見える景色に想像でドラマを作って遊ぶ、まさにああいう内容です。単なるふざけた映画にとどまらず、このようにとても夢があります。

そしてノルウェーの田舎の景色も予想通りたっぷり楽しめます。ご当地めぐりっぽいニュアンスもあります。ノルウェーの山道ドライブ映画でもあります。

伏線を張っている振りをしてオチですとんと落とすとか、実際にノルウェーで起きた有名な事故や出来事を全部トロールと結びつけるとか、誰もが予想するとおりトロールを自然破壊と結びつけるってネタをわざとらしく持ってきて、まさにそのネタをネタとして利用して笑わせるシーンを持ってくるとか、数多くのネタが仕込まれていてとっても楽しめます。

特に細部が楽しめます。なんかマニアックですらあります。

そしてタイトルにもなっているトロール・ハンターであるハンスの職業映画でもあります。秘密裏にトロールを殺すのが仕事です。彼の軽さもいいです。取材に対していきなりペラペラ喋るのなんの。その理由が「だって夜勤の残業代も危険手当も出ないから」っていう、そう、これはノルウェーの政府レベルの巨大陰謀の末端で働く低賃金労働者の物語でもあるのです。まさにはたらくおじさんトロールハンター版。

彼がトロール退治に装備する特殊鎧も素晴らしいデザインです。そのシーンでは一気に可笑しさが噴出しますよ。血の入ったバケツをうちわで扇いでカランカランと鈴を鳴らす姿はもう絶好調です。

ネタを明かすのはこのへんにしときますが、こういう化け物系かつ真面目なパロディが好きな方はぜひどうぞ。エンドクレジット近辺の小ネタにも大いに笑わせて頂きました。 単なるB級仕立ての映画ではなく、センスの良さがキラキラと輝いています。かなりハイセンスでIQも高めです。こういうの大好き。

日本でも遅めとはいえ普通に大々的に公開していたらしいですね。全然知りませんでした。

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