ペイド・バック

The Debt
過去の諜報活動に絡む秘密を描いたクライムサスペンスでありますが、作品の趣は過去の因縁やそれにまつわる葛藤を中心に据えており、比較的渋い仕上がりで見応えのあるドラマ系スリラー。
ペイド・バック

「ペイド・バック」っていう邦題のせいか、どうも映画の内容とタイトルが結びつかず「はて、ペイド・バックって何だっけ?」と何か書きかけては何も思い出せずその都度放置していました。あまりにも何度も「何だっけ?」と言いすぎてもうすっかり覚えました。今日はこれをご紹介してみましょう。

紹介のイントロダクションをまとめるのが難しいタイプの映画です。冒頭がちょっとややこしい作りだからですね。いえ、簡単ですよ。ただ一言でいうのが難しいタイプの。

元スパイです。で、何十年か前に大活躍した英雄です。スパイたちの一人に女性がひとりいて、彼女が特に英雄です。その女性の娘が作家で、母親の偉業について本を書いたと。その本の出版パーティみたいなシーン、それとスパイたちが偉業を終えて飛行機で祖国に帰って歓声で迎えられるという過去のシーンが冒頭でパッパッパと描かれます。だから冒頭は「何ですの、これ、何ですの」とあたふたします。

ものすごく簡単に説明すると「元スパイの秘密」に関する物語です。

60年代、イスラエルのスパイだった女性を含む三人は、ナチ戦犯で逃げ隠れしていた医者をとっ捕まえて英雄となります。そもそもイスラエルがナチ戦犯をとっ捕まえる正義についてはっきり言って素直な気持ちでは見れませんので、これが喝采で迎えられ英雄になるほどの偉業か?と捻くれた目で見てしまいますがそれはそれとして、映画内では英雄ですので素直に従います。
で、90年代後半、映画の中では「現代」ですね、あれから随分経ちましたがスパイ3人は英雄のまま、女スパイの娘は母親の偉業を本にしています。母ちゃんの活躍を皆が忘れないように尊敬を込めて書いておるわけですね。やや年を取った母となった元スパイがこの時ちょっと何か引っかかる表情をしております。それは何でしょう。それが本編です。

そして序盤、誰かがダンプにはねられて死にます。うわ、びっくりした、いきなり何事か。この時死んだ男が、かつての英雄三人組のひとりです。30年も経って、何が起きたのか。何だ何だ、ますます30年前の出来事に興味出てきたぞ。あの時、何があったのでしょう。過去の因縁ですか、何ですか、何でしょう、それが本編です。

というわけで時間が遡り、66年ごろの話になります。母ちゃんはとても若い女スパイで素敵です。仲間の他の二人も出てきます。
何やら最初に想像していた大活躍とはちょっと趣の違う感じですよ。何かが変です。地味で貧乏くさいです。何かが怪しいです。うむむ。面白くなってきました。どう面白くなってきたかと言いますとね、それが本編です。ここからは秘密です。

てなわけでそういうストーリーです。これね「ペイド・バック」って邦題が「ペイチェック」とか思い出させるせいで軽い映画に思えますが結構いい感じですよ。実はとても見応えあります。だいたい女スパイがとてもいいし。女スパイもかなりいい感じだし。女スパイいいし。しつこい。

この面白い映画はストーリー的にも構成的にもちょっと凝ってて個性的です。何かがひと味違います。何だろうこの感じ。と思ってたら、この映画は2007年のイスラエル映画「ザ・デット 〜ナチスと女暗殺者〜」のハリウッドリメイクだそうでした。

気合いの入ったリメイクだと思います。ここでちょっと他のサイトで情報を見てみると
「恋に落ちたシェイクスピア」の監督、「キック・アス」の脚本、「ゼロ・ダーク・サーティ」や「アバター」の出演者、と、宣伝が書いてありまして、一流どころには違いないが何かちょっとイメージ違うなーというタイトルがわざわざ挙がってます。何か軽そうです。他のタイトル挙げればいいのにとちょっと余計なお世話なことを今思いました。

個人的ですが、リメイクというのがあまり好きでないので、見て面白くてあとで「リメイクでした」と知るとちょっとショックです。なにもショック受けなくていいと思いますが、こういうのは悪いクセですね。面白ければ何でもいいのにね。

30年前の男女3人スパイ物語と聞くとまさにオリジナル作品のように「〜ナチスと女暗殺者〜」みたいな副題付けて売り出されるやや安っぽいスパイ活劇を連想しますけど、そんなんじゃなくて、わりとドラマチックな良質なサスペンス映画でした。

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