チャットルーム

Chatroom
アイルランド出身のエンダ・ウォルシュの戯曲を中田秀夫がイギリスに滞在して映画化。チャットルームに集う孤独な若者たちのドラマ。
チャットルーム

あちらこちらで活躍の中田秀夫監督、イギリス映画となる「チャットルーム」はカンヌ「ある視点」部門に出品されました。歴代の「ある視点」作品を鑑みるに、ちょっとあまりにも無謀なのではと思わないでもありませんが、無事公開されたとのこと。

ネット上のチャットルームに集まる5人の孤独な若者のドラマです。
チャットルーム「チェルシー・ティーンズ!」を開設し、誰か来ないかなーと待つのはウィリアムくん。ほどなくモデルのエヴァ、元気のないジム、愛に飢えたエミリー、いけない恋心に悩むモーがやってきます。
「チェルシー・ティーンズ!」で何をやるのかまだ未定、とりあえず嫌いな奴や厭な話をしようよ、なんてネガティブな会話からわいわいチャットを楽しむ若者たち。

ネット上のチャットルームをスタイリッシュに映像化し、現実逃避の若い子たちを描きます。
この、チャットルームの映像化の部分が本作のキモです。特に目新しい感じはしないものの、中田監督の古式ゆかしき映像美術への傾倒がはっきり見て取れます。
「女優霊」の未現像フィルム、「リング」のビデオ、「リング2」の幻想シーンに見られるあの映像センスとどことなく共通するアーティスティックな映像。但し今回のはどことなくスタイリッシュで、ですがスタイリッシュさが妙に古くさく古風で、それが美しいです。

作品全体を見渡したら、まあそのぅ出来映えとして特に後半のぐだぐだ感は否めません。監督は「製作とのすりあわせが大変だった」と語っていますが、どの部分が監督の意図、どの部分が脚本家の意図、どの部分が製作の意図だったかというのはわかりません。
わからないので偉そうなことは言えないのですが、この手の、ネットを扱うドラマで一番やってはいけない展開をやってしまったのは残念でなりません。

ネタバレ的ですがごめんなさい、つまりですね、ネットに集う若者たちのドラマに現実を持ち込む時のやり口です。ネット上の事件を解決しようと、現実で動き出す若者たちが「○○駅に集合よっ」で数十分後に全員駅に集合するとか、どういうことですか。
どこの誰とも知らぬ彼らがネット上で仲良くなって、いよいよ現実で会うことになるとき、どうして彼らは全員同じ町内の住民なんですか、と。なぜこんなことになるのでしょう。ご近所掲示板の中のチャットルームだったの?
仮想空間と現実がクロスする大事な展開の部分なだけに、このヤケクソのような学芸会のような後半のドタバタは見ていて辛いものがあります。
ネットの仮想空間と現実とのクロスなんていう掃いて捨てるほどある設定、これをどう個性的に料理してくれるのか楽しみにしていただけに後半の処理には残念を通り越してちょっともう映画への興味を失ってしまいました。

主人公のウィリアム君を演じるのは「キック・アス」のアーロン・ジョンソン。イケメンながら複雑な心理の持ち主を演じました。
モデルのエヴァは「28週後…」のタミーを演じたイモージェン・プーツ。タミーって、あのお嬢ちゃん?ちょっと誰かわからない。今回の役もいまいちよくわからない設定ではありました。
エピソード的には親の愛を欲しがっているピュアなエミリーと、いけない恋心に悩む黒人少年モーのお話が面白かったです。この路線を発展させて欲しかったなー。

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