ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

The Royal Tenenbaums
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

デビュー間もない頃から才能を発揮しまくっていたウェス・アンダーソン監督の長編三作目にあたる2001年「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」観ました。かつて天才ファミリーと脚光を浴びながらその後崩壊してしまった家族、20年後にまた家族としてやりなおそうではないかと策略を練る父親です。言うことなし。とことん面白い。

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

これもやっぱり面白いですわ。ウェス・アンダーソン監督って、ほんとに初期のころから完成度高くて恐ろしい才能ですね。私は全然知らずに随分遅れてこの監督の虜になった口なのですが時々過去の作品を改めて見返しては「おもろいなー。やっぱりおもろいなー」と堪能してばかりいます。

映画の冒頭は天才ファミリーの紹介からです。家族全員、子供たちも10代で成功する天才、各方面に才能を発揮し、世間でも話題になり持て囃されています。さくさくとテンポ良く家族それぞれを紹介し、そしてその後の没落までを一気に説明し尽くします。そして20年経ちます。
没落時代から本編が始まるような感じで、この没落後の姉弟たちのそれぞれの暮らしっぷりの面白いことったらありません。

長女は劇作家として成功した後に何も書けなくなり年上の夫と暮らしながらも自堕落な毎日、長男はビジネスで成功を収めるものの妻を飛行機事故で亡くして以来息子たちと避難訓練ばかり繰り返す神経症的な日常、次男はプロテニスプレイヤーだったのに突然辞めて世界放蕩の旅人に、それぞれ変な人になっております。それぞれの変さの味わい深さたるや見事でして、バスルームに引きこもり煙草を吸う長女、息子ふたりとお揃いの赤いジャージ姿の長男、旅先から手紙を書くヒッピー風次男、それぞれ没落後の面白さがずば抜けているので「これでいいのだ」と思ってしまいます。

さて父親です。ずる賢く悪人でそもそも家族崩壊の元凶でもあるこれまた個性派のおっさんです。家族で儲けた金を元に放蕩して好き勝手していたようですが、財産もなくなり住んでいた高級ホテルも追い出され何だか寂しくなり家族に構ってほしくなって「末期癌なのだ」と嘘をつき舞い戻ります。

父親をジーン・ハックマン、母親をアンジェリカ・ヒューストン、長女をグウィネス・パルトロー(絶品!)、長男をベン・スティラー、次男ををルーク・ウィルソンが演じます。
家族の脇も素敵な面々となっています。ウェス・アンダーソン監督の映画は登場人物がやたらと多いのも特徴かもしれません。
ホテル従業員(シーモア・カッセル)、長女の夫(ビル・マーレイ)、次男の幼なじみ(オーウェン・ウィルソン)、母親に求婚する会計士(ダニー・グローヴァー)、テネンバウム家の召使い(クマール・パラーナ)がそれぞれのお話を大いに膨らませます。

ウェス・アンダーソン作品らしい濃密でハイセンスなエピソードが忙しく物語を構築します。ストーリーテリングの妙技はアメリカ文学らしい起伏に満ちていて、映像はシンメトリーを駆使した嫌味のないキューブリック昇華型、この映画では「何だかんだ言って家族の愛」みたいなキャッチーなテーマですが厭らしさは全然なく、でもそういう見方だけをしたって問題ないくらいちゃんと家族の愛の物語で、最後はハチャメチャながらある種のハッピーエンディング、大ヒットして当たり前のような作品ですね。

まあとにかくこの監督の映画は最新作であろうと10年以上前の作品だろうと、まったく変わりなく楽しむことが出来るというものすごい完成度なのでして、マジ楽しめます。
具体的にシーンを説明しながら「こういうところが好き!」「こういう部分がたまらない!」という言い方をする以外にあまり書くこともないのですが、とにかく細部に凝りまくったり独自の美学に基づいたテンポのこの監督の作風を嫌味に感じる人以外は漏れなくめちゃ楽しめます。

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