さらば、愛の言葉よ

Adieu au langage
さらば、愛の言葉よ
公開年:
2014
製作国:
監督:
製作:
脚本:
撮影:
編集:
主演:
出演:
  • リシャール・シュヴァリエ
  • ゾエ・ブリュノ

ジャン=リュック・ゴダールの「さらば、愛の言葉よ」は言葉と音と映像の洪水で、もうこれがあれば3D映画は他にいらないんじゃないかという徹底的3Dでカッコ良さも爆発、2014年の映画界の奇跡にしてぶっ飛び映画史上に燦然と輝く映画の力と魔力。

さらば、愛の言葉よ

時々3D上映を見逃し地団駄踏むことがります。たとえば「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」とか「世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶」とかですね。今でも悔しいです。それで、どうしても「さらば、愛の言葉よ」だけは見逃すまいと思っていたんですが旅に出てしまい完全に見逃しました。しかし地元のみなみ会館という優良映画館が何をとち狂ったか3D設備を特別に借り受けてまでして上映してくれることになりまして、おかげで観ることが出来ました。ほんとにありがたいことでした。

さらば、愛の言葉よ scene001

「さらば、愛の言葉よ」はオリジナルタイトル「さらば言葉よ」ということで、言葉の崩壊というものがひとつの大きなテーマとして現れます。散文詩のようなぶっきらぼうな言葉が次々と投げかけられ、まあものすごい美しさです。
言葉の美しさは表層と中身に分けられますが表層の中でも音と文字というのがありまして、映画ではもちろん音としての表層が剥き出しになります。剥き出しの言葉は詩的と表現されることもありますが「さらば、愛の言葉よ」での言葉は詩的と言うよりキャラクターと感じます。それは生き物で、性質であるということですね。

音としての言語は時に分解され音楽というものにもなります。音楽とか音というのは波長つまり波でありましてこれがスピーカーから流れてくるんですが波に乗れば体が反応します。これは体験です。さらにこの映画ではエフェクターかましまくりの演奏のように、多重なエフェクトと3D効果を付加します。

私は過剰なエフェクトが大好きです。エフェクトの基本では「自然に、大袈裟にならずに」などというアドバイスがありますがとんでもない、過剰で大袈裟、目の回るようなエフェクトこそエフェクト、どんとこい過剰。という考えで音楽や映像も作っていますので、過剰なエフェクト、エフェクトそのものを目的化したような狂った世界こそ至高と考えています。
そして過剰な音声エフェクトの「さらば、愛の言葉よ」は言説を放り投げ言語から自由を獲得する力にみなぎっております。

さらば、愛の言葉よ scene004

何度目かの3Dブームもすでに去っておりますか? いろいろ屁理屈も見聞きしました。3D臭すぎる過剰な演出は駄目だとか、飛び出すことより奥行きを感じさせるのが今風だとか、めがね鬱陶しいとか。そんなものを蹴散らすような「さらば、愛の言葉よ」の3D効果です。
過剰な3D効果で3D映画ということを全面に打ち出します。わけわからず立体です。意味なく立体です。そして仕舞いには「立体」すら放棄します。仕組みを使って、左右別々の映像を重ねたりずらしたりします。過剰すぎてひっくり返ります。最新技術を奥ゆかしく使うまじめな人が見たら怒り出すんじゃないかと思える過剰3D映像にもうめろめろになります。過剰で大袈裟、目の回る3D効果こそ3Dの醍醐味、どんとこい過剰。過剰な効果のためなら映像が破綻しようが狂った世界になろうがお構いなしで、これこそ至高の世界。映像処理の美学を放棄し、攻撃的映像で綴る乱暴な映画こそ力の源です。

さらば、愛の言葉よ scene002

ギャスパー・ノエがときどきゴダールを彷彿とさせる演出を混ぜ込んだのを思い出します。何年か前に「エンター・ザ・ボイド」というぶっ飛び映画を作りましたが、今回ゴダール師匠
はノエのぶっ飛びを軽々と超えました。ギャスパー・ノエが今何してるのか知りませんが「さらば、愛の言葉よ」を受けて、さらなるぶっ飛び世界を作ってくれることにも期待します。

さらば、愛の言葉よ scene003

文学でも何でもそうだんですけど、多くの場合若いうちは実験的なものを作ったりします。世界にまだないものを作り出してやるぜ、っていう若さ故のパワーのためです。でもやがて世界にまだないものの大きな障壁と、それから世界にすでにある優れたものに対する畏敬の念も沸いてきたりして、やがて攻撃性というものから遠ざかります。
歳取ってから実験的な剥き出しの攻撃性を出す作家はとても珍しいんじゃないかと思っていまして、ゴダールなんて人はその筆頭で孤高の巨匠ですよね。

さらば、愛の言葉よ scene005

そんなわけで「さらば、愛の言葉よ」はぶっ飛び過剰映像とぶっ飛び過剰音声の処理、それから外してはならぬ痺れるシーンとぐっとくるドラマのオンパレードとなっておりまして、これはマジすごいです。打ち震え、魂どっか行きます。問答無用の超絶大傑作で私はくらくらしました。

さらば、愛の言葉よ scene007

3D映画の弱点は劇場で見損ねたら二度と体験できないこと・・・と思っていたら、それなりの設備を自宅に持ってる人なら可能なんですか?3Dの家庭用プロジェクターなんてものもあるんでしょうか。知りませんが、あるのかもしれませんね。すごいですね。もうDVD売ってるので調べてみたら3D版Blu-rayってのが売ってるんですね。3Dが自宅で可能な人ならこれは持っておきたいですね。いりませんか。私はほしいです。

投稿日: 初稿2015-06-27
このエントリーをはてなブックマークに追加
PVアクセスランキング にほんブログ村

コメントを残す