トウキョウソナタ

トウキョウソナタ
トウキョウソナタ

昭和風家族をファンタジックに描いた作品。カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞受賞。

トウキョウソナタ

線路脇の一軒家に住むサラリーマンと専業主婦に子供二人という家族が奏でる和音と不協和音です。
物語は、主人公が会社を解雇されるがそのことを家族に告げられないというところから始まります。
解雇された人間の再就職が見つからない点はいかにも現代的ですが、描かれる家族は典型的な昭和家族です。昭和的家族と言えば、形の上では幸せな一家を演じつつ内面的には崩壊寸前というのがその類型パターンです。本作も基本的にこのパターンを踏襲しており、今どきどうして?と思うかもしれません。
それもそのはず、本作の原案はマックス・マニックスが日本に滞在中に 書いた日本人像の物語だそうです。

さてこの昭和的家族は筒井康隆「家族八景」的に崩壊への道を進むのですが、崩壊への課程が「トウキョウソナタ」独自のものとなっているようです。その一番の特徴は何と言っても嘘くさいこと。この嘘くささが気に入るか気に入らないかで本作の評価が決まると言っても過言ではありません。
前半、しつこく丁寧に厭になるほどリアルに家族に対峙する失業者を描きますが、だんだんと妙な展開になってきます。突然米国軍に入ると言い出す長男、ピアノが天才的に上手いという次男、 ポエムの世界に突入する妻という案配です。
主人公だけがリアル風世界でもがきますが、その隙に他の家族はファンタジーの世界へ知らぬ間に旅立ってるんですよね。

リアルな世界を描写していきながら次第にファンタジー化するこの物語の中で最後まで置いてけぼりを喰らうのは主人公と(多分)観客です。この構図がむずむずする面白さを醸し出しています。

その主人公も次第にファンタジーワールドに取り込まれていき、頑固に守り通した昭和風ドラマのお父さん役という生皮を一枚一枚剥がされていくことになります。

人を食ったようなラストシーンを見て観客はどう思うでしょう。なんだこれ?と呆れるのか、何だかんだ言いながらじ〜んとしてしまうのか、笑ってしまうのか、怒り出すのか、それぞれだと思いますが、どちらかといえばこの嘘くさい世界へ、主人公と共に肩まで浸かるのが楽しむ秘訣だろうと思うところであります。

賛同してもしなくても

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