ザ・ウォーカー

The Book of Eli
ザ・ウォーカー

滅びた世界を旅する男。旅のお供は大事なご本。目指す地域は西の果て。街で出逢った母と娘と、野心に燃える独裁者。

ザ・ウォーカー

はてさて皆様お立ち会い。シリアスなのかおちゃらけか、スタイリッシュでテンポよく、時に味わい覗かせて、よぎる不安をものとせず、旅の最後の最後まで、皆様方の注目を、飽きさせないまま突き進む、いよっ。チョンチョン。旅の男の物語ぃいぃいぃい。

というわけでこの映画、実のところを言いますと、全く期待も何もせず、適当気分で見始めて、見てビックリの良作で、まだまだアメリカメジャー作、舐めてかかるとだめですね。と。

都々逸から離れられなくなってきたので気を取り直します。失礼しました。

冒頭、旅の男の静かなシーンから始まります。どんな映画かなあ、って思ってるといきなりの超カッコいいチャンバラシーン。おおっ、と身を乗り出します。

映像は最初から最後までとことん今風にスタイリッシュ。スタイリッシュすぎて不安もよぎりますが、この映画、内容の良さがスタイリッシュ負けしていません。

節々で危機感を持つんです。「ありがちなハリウッドっぽい馬鹿みたいな展開になるのかなあ」と気を揉むんですが、ネタとしてそういう要素を持ってきているにもかかわらず馬鹿っぽくなることを巧みに避け、大人の鑑賞に十分堪えうる作品としてまとめ上げました。大したものです。

しかし何よりもこの映画を面白くしているのは、物語の中心が「本」であること、それによって、主人公だけでなく、敵のボスさえも知性的なところです。これはインテリ好きな設定です。 ときどき笑えるシーンがあったりもします。細かすぎて見逃してしまいそうな、それでいてぜったいに見逃すことがない良い出し方です。

主人公は知的で強くて礼儀正しくしかもいい人です。その彼が西へ西へと旅をして、行く先々で出くわす事件や人や風景をみっちり描いた上で、最後には知的感動に震えるいい脚本。

筒井康隆「旅のラゴス」にとてもテイストが似ています。似すぎている部分すらあります。

「西へ西へ」が天竺への旅を思い起こさせますし、チャンバラシーンのシルエットやなんかは日本の時代劇みたいだし、西部劇ふうの撃ち合いもあったりします。いろんなテイストがこれでもかと詰まってて面白いです。トム・ウェイツが出ています。

原題は「イーライの本」ウォーカーでもいいけど、原題の知的なニュアンスがやっぱりいいなあ。

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