10ミニッツ・オールダー: The Trumpet

Ten Minutes Older: The Trumpet
10ミニッツ・オールダー: The Trumpet

15人の巨匠監督による10分の短編映画を集めた2本のオムニバスのうちの一編「The Trumpet」

10ミニッツ・オールダー: The Trumpet

こちら「The Trumpet」は「人生のメビウス」という邦副題がついております。もう一本の「The Cello」には「イデアの森」っていう邦副題が(笑)
「RED」「GREEN」っていうDVDパッケージもあります。戦隊漫画みたいですね。二本を一つに合わせたDVDも発売されています。どれがどうなんだよっ。

この二本を合わせて15人の名監督が短編映画を収めています。三題噺みたいなそのお題はすなわち「時間をテーマにする」「予算はどの作品も同額」「10分の短編映画」あとは自由!とのことで、カンヌ国際映画祭で上映され、イギリスのテレビでも放映されました。

「The Trumpet」に収録されているのは以下の7本。

アキ・カウリスマキ「結婚は10分で決める」
カティ・オウティネン, マルック・ペルトラ

ビクトル・エリセ「ライフライン」
ペルトラ, アナ・ソフィア・リャーニョ, ペラヨ・スアレス,

ヴェルナー・ヘルツォーク「失われた一万年」

ジム・ジャームッシュ「女優のブレイクタイム」
クロエ・セヴィニー

ヴィム・ヴェンダース「トローナからの12マイル」
チャールズ・エステン, アンバー・タンブリン,

スパイク・リー「ゴアVSブッシュ」

チェン・カイコー「夢幻百花」
フォン・ユアンチョン, グン・ラ, リー・チアン

あまりにも贅沢な、あまりにも濃い7本。もったいないもったいない・・。

7編の作品はどれも最高の出来で、あれが好きこれが一番などとはまったく言えません。しかし特別な奇跡がひとつ起こったのは確かでして、それはビクトル・エリセ「ライフライン」です。多くの人がエリセ目的に観に行ったことでしょう。何しろエリセ監督、作品数が少なすぎる上に、その作品の気高さたるや一本で巨匠の名を手にする威力。そうですそれは「ミツバチのささやき」です。メーカーは一刻も早く再発してくださいお願いします。

では順番にさらりと見ていきましょう。

アキ・カウリスマキ「結婚は10分で決める」は監督のセルフ・ポートレートのような10分のドラマ。アキ・カウリスマキ節が全開するそれは留置場、レストラン、煙草、会話のテンポ、即決の愛、そして大注目はもちろんバンド演奏(笑)

ビクトル・エリセ「ライフライン」の映像の力は桁外れ。10分の中に沢山のショットが存在し、古典絵画のような美しさと涙が出るほど素晴らしいドラマ性を含みます。絶句ものです。この方の作品がここにあること自体が奇跡なのに、内容がこれでは「もっと・・・」と悶絶する以外にありません。

ヴェルナー・ヘルツォーク「失われた一万年」はちょっと怖さのある未開人の物語。何千年の時を一瞬で手にした哀れな部族の兄弟。私、軟弱ものにてヘルツォークの作品は昔見た「ノスフェラトゥ」しか見ておりませんで、名画かつ名イザベルであるところの「ノスフェラトゥ」一本で自分の中では神様のような監督と認識してるんですがそんなこと言ってないで他の作品も観るべきですね。

ジム・ジャームッシュ「女優のブレイクタイム」は撮影中の女優の10分間の休憩時間です。いいですねこれも。カッコいい構図の中に、ちっとも休めてないやんクスっっていうシニカルさも健在。それよりなによりクロエ・セヴィニーさんの美しさに惚れ惚れです。「コーヒー&シガレッツ」の一編として入っていてもおかしくないような、そんな作品でした。

ヴィム・ヴェンダース「トローナからの12マイル」。これはやられました。どうせだらだらとロードムービーやらかすんでしょ、と高をくくっていたらまあなんと意外な展開意外なラストの味わい、これは素晴らしい。10分間ならではのドラマとしてはもう完璧の域ですね。いいです。なんともいいです。とてもいいです。いやでも運転シーンってのは怖いです。

スパイク・リー「ゴアVSブッシュ」ですが意外なことに真面目なドキュメンタリーです。そして、あの選挙のあとの怒りと絶望感を思い出しました。スパイク・リー本気で怒ってます。アンニュイ派の一部にはこの作品のようなダイレクトなパワーを嫌う人もいるみたいですが、そんなことではいけません。
そしてかの大統領選挙と同じ事が我が国では2度も起こっています。そう。小泉と管ですよ。怒りと絶望を噛みしめなさい。

チェン・カイコー「夢幻百花」は移ろいの祖国に対するノスタルジーを強く感じさせる良作です。我々も経験してきた、早回しのような時間と古きものの破壊、その狭間にある世界です。

というわけでたいへん貴重な二度と実現しなさそうな上質オムニバス。「The Trumpet」は音楽もいいです。これ誰の演奏?ヒュー・マセケラですか。

--> 10ミニッツ・オールダー The Cello

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