プリズン211

CELDA 211
プリズン211

刑務所の職員として着任したフアン(アルベルト・アンマン)が出勤日前日に刑務所の見学に訪れている最中、突然囚人の暴動が勃発。混乱に巻き込まれ、アクシデントで第211監房にひとり取り残された彼は、とっさの機転で囚人のフリをして身の安全を図ることに。
スペイン映画祭で「第211監房」として上映された、ゴヤ賞主要8部門堂々の受賞作品。

プリズン211

どう考えても「プリズン211」より「第211監房」のほうがいいタイトルだと思います。「プリズン211」なんていうパチモンのB級映画みたいなタイトルのせいで気にも止めていなかった作品。ゴヤ賞の主部門独占受賞を知らなければそのまま触れることすらなかったでしょうねえ。受賞が全てではありませんが、指針のひとつにはなります。

新人の看守フアンは綺麗な顔をした男前、彼の才能は人に好かれることです。そのための努力をします。例えば、初出勤の前日にわざわざ職場に出向いて職場の見学を申し出たりします。身なりにも気を遣い、無精髭はファッションとして生やしていますが漫画柄の下着はつけません。職場で好印象を得るための行動ですが本人は根っから好印象を持たれる術を身につけていてそれが自然な行いです。決して嘘で塗り固めた好印象ってわけではないのですね。このフアンの性格をきっちりさりげなくわかりやすく描きます。奥さんとのやりとり、そして暴動が起こった直後の行動です。暴動の主犯格、ボスのマラマドレに対しても気配りで好印象を獲得、信頼を得ることに成功します。いい奴なんです。フアンは。アルベルト・アンマンの優男風の男前っぷりもぴったりですね。新人男優賞を取りました。

そんなわけでフアンは囚人のフリをして暴動のボス、マラマドレにもすっかり気に入られます。カバーアートにもなっているむさ苦しい男、ワイルドで怖そうな男です。ルイス・トサルが演じます。
ワイルドな怖い男と思いきや、この人がまたいい奴でして、見た目の怖さと裏腹なその優しさに見ているこちらがビビってしまいそうなほどであります。
しかしどこかで見たことがある人です。聞き覚えのある声です。だれだっけだれだっけ、ルイス・トサルて誰だっけ。おっと皆さん、「リミッツ・オブ・コントロール」のコードネーム・バイオリンでした!あのおどおどした男とは全然違う役ですねえ。どおりでワイルドさの中にきらりと光るインテリジェンスの目を感じ取れるはずです。

さて暴動で取り残されたフアンは囚人のフリをして賢く上手く立ち回ります。ボスのマラマドレとも仲良くなり、脱出のタイミングを計ったりしつつ、物語は予想を超えた展開をむかえていきますよ。何となく囚人側に肩入れしていく様は予定通りとしても、スカッとさわやか娯楽アクションになると思いきや、事態はどんどん後戻りの出来ない状況へと動いていきます。

今現実の世界で大変なことが起こっており、とんでもない後戻りできない事態を迎えていまして、とても映画で辛さを味わうなんていう悠長なことをしている場合ではないのでありますが、ここではまたみんなが映画を見て楽しめるような平穏な日常に戻れることを期待して、映画の話だけを淡々としていこうと思います。

そんなわけで囚人たちに囲まれて正体がバレないか不安なフアンなのに、追い打ちをかけるように別枠の危機が迫ります。辛いです。

この作品、ゴヤ賞主要部門をかっさらっただけのことはあります。丁度良い重量感と辛さ。若干渋い目のテンポの良さは軽すぎず重すぎずです。畳みかけるようなエンディングにかけての展開は後味を残すでしょう。

B級パチモンみたいな邦題の響きに騙されてはいけません。レベルの高いメジャー級作品です。
奥さん役のマルタ・エトゥラも可愛いの。

ゴヤ賞監督賞、脚色賞、主演男優賞、新人男優賞、助演女優賞、作品賞、編集賞、音響賞を受賞。

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