インシディアス

Insidious
インシディアス

「ソウ」のジェームズ・ワンとリー・ワネルが組んで「パラノーマル・アクティビティ」のオーレン・ペリが製作という、そういう宣伝文句のホラー映画「インシディアス」を観ての感想はですね。

インシディアス

記念すべき「SAW」の一作目で皆の度肝を抜き、高評価と温かいまなざしを一手に集めた若き才能ジェームズ・ワン(原案・監督)とリー・ワネル(脚本)は大の親友です。「SAW」は大ヒットとなりシリーズを重ね、知らぬ人がいないというほどのメジャータイトルに育ちました。
そのジェームズ・ワンとリー・ワネルのコンビによるホラー映画「インシディアス」です。
製作には「パラノーマル・アクティビティ」でこれまたヒットを飛ばしその年「SAW」を打ち破ったという新鋭オーレン・ペリの名が見えます。

「SAW」にしても「パラノーマル・アクティビティ」にしても、若い才能が炸裂した大変よい映画ですが、できることなら次作以降、シリーズじゃなくて別の映画を作って才能を広く花咲かせてほしかったなあと、ちょっとだけ思わないでもないです。
SAWさんはSAW以外にも映画をちゃんと作ってますが、オーレン・ペリはパラノーマルしかやってないし、しかも修行中の身でありながら自ら監督したのは一作目だけという、あ、この人は元々監督をやりたいんじゃなくて製作向きの人なのね、ということで、ま、いいか。儲かるんならがんがんやってください。

「SAW」と「パラノーマル」ばかり大きく宣伝されていたようですがもうひとり大事な人物がおります。
音楽を担当したジョセフ・ビシャラです。
この人は誰かというと(私に)大ヒットした超名作「解体病棟(ファイナル・デッド・オペレーション)」の音楽を担当していた人です。

「インシディアス」はこのジョセフ・ビシャラによる音楽の力が実に大きいです。
弦楽器の不協和音を中心とした古典的な不穏サウンドや、ホラー映画に欠かせない小さな物音に被さる怪しいノイズの音響効果、大変よい仕事をしています。
この映画を観た人なら全員、サウンドと音響効果の出来映えを実感していることでしょう。
「音で怖がらせるとは反則だ」とか「不協和音の音楽がやや陳腐で恥ずかしい系だ」との批判もありそうですが、まあいいじゃありませんか。

劇場離れを食い止めるために見た目派手な3Dや大スペクタクル画面ばかりが注目されますが、実は映像と同じくらい重要なのはサウンドであります。
大きいスピーカーから流れるびっくり大音量やこそばゆいようなかすかなざわめき音、こういうのは劇場でしかなかなか味わえません。
映像の方は例えば自宅でも最新再生機とプロジェクターである程度は賄えたりしますが、音楽のほうはこれはなかなか賄える方は少ないのではないでしょうか。
大音量で映画を楽しもうと思ったら、お隣さんまで何十メートルも離れているような孤立した環境か、あるいは大金かけて音楽スタジオ並みの防音工事を施せる金持ち、またあるいは轟音をまき散らしても近所の人が怖がって文句を言いにこれないようなやばい感じを常日頃から放射している変態人間である必要があります。

さてそういうわけで「インシディアス」の大きな特徴の一つはサウンドです。その他はどうでしょう。

この映画、中盤までと終盤がぱっきり分かれている系の現代的な作風です。
序盤は典型的な「呪われた家」系のホラーで、不安や怖さの演出も見事です。ちょっと久しぶりにホラー映画を観て「怖っ」と思いました。
たいへんよくできてます。古典的なホラー映画への愛も感じます。
中盤はちょっとしたどんでん返しというか、意外な展開があって、ここも怖さに締まりがあります。序盤が大きな屋敷のオーソドックスなホラーとすれば、中盤は日常に近い身近な空間のホラーです。

その後、ふたりの手下を連れた霊媒師が登場してからが急展開、これまでと全然違う映画へとジャガーチェンジして洒落っぽい作風になります。さらにクライマックスはこれまでの真面目な怖さを全て放棄して冒険活劇的ファンタジーにて収束。
二人の手下が絡む現代的洒落派の演出にしても、クライマックスの冒険ファンタジーにしても、前半のオーソドックスホラーのテイストに比べたら威力は弱い(と感じた)のですが、何にせよ斬新さやオリジナリティよりも先人たちの培ってきた映画たちに敬意を表しているかのような印象を受けます。

個人的な感想はというと、前半の怖い部分が好き。生活感のやけに細かい演出も大変良いです。ゴミ袋の件や引っ越し荷物が少しずつ片付いていく件や布団の上のゴミを払う件に細かい気の配り方が見て取れます。こういう細かさ、フランス映画みたいです。
音響はしっかり効果的。音楽はオルタネイティブ系ベテランの意見としてはちょっと物足りない部分もあるとはいえ、安直な音楽を起用しなかった点はよいです。
後半からクライマックスにかけてはちょっと勿体ないというか前半の細かさが全部なくなったというか無理したかなーって印象であまり好きじゃない。好みの問題ですが。

好みはそれぞれということで、全年齢的に楽しめるように工夫を凝らした丁寧な作りの娯楽作品であります。

久々の更新、今日はそんなところで。

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