イップ・マン 葉問

葉問2
「イップ・マン」の続編。一命を取り留めたイップマンが香港に渡り道場を開こうとするところから。
イップ・マン 葉問

「イップ・マン 序章」は大変優れたまじめなカンフー映画でございました。中国武術の理想を体現するイップ・マンの魅力も満載、戦争を挟んだ大きな展開と様々な人々、舞のような見事な戦い、盛り上がる一騎打ち、人気沸騰も当たり前にて続編「イップ・マン2」が作られました。

知らなかったんですが日本ではこの「2」だけが公開され、人気が証明されてから「1」が公開されたそうです。えーっ。なんてことするんでしょう。どう見ても1と2は続き物だし、後述しますがどう考えても「1」が名作「2」はオマケです。
紹介するなら「1」からやろうよ。ねえ。
・・・まあでも厳しい昨今、いろいろと配給のご苦労もあったことと思います。劇場に出向かずこうしてDVDで観るだけの無責任な客など客にあらず、悔しかったら金出して劇場で観ろとのお咎めが聞こえてきそうですのでおとなしくしておきます。

というわけでこの「2」は、日本での公開順が逆になったこともあり「イップ・マン 葉問」という妙なタイトルがつけられました。葉問っていうのはイップ・マンのことですから「名前 名前」みたいなタイトルですね。まあこれもいろいろと配給の事情というものが・・・

さて「イップ・マン 葉問」即ち「葉問2」は「イップ・マン 序章」即ち「葉問」の完全続編で香港に移り住んでからのお話です。
今回は新聞社の編集長にお世話になり、道場として使える屋上の施設を貸してもらえることになります。手作りチラシを作って弟子を募集しますがなかなか現れません。貧乏暮らしをまずは描きます。
このイップ・マンさんはもともと貴族ですから生活力や金銭感覚がありません。お金があろうとなかろうと割と暢気にしておられまして、そういう無頓着なところが育ちの良さを表していたりします。お金ぐらいでは動じない仙人のようなお人なのです。

ストーリーをぐだぐだ紹介しても仕方ないのですが、だんだんと弟子が集まってきて、その弟子たちが元でいろいろトラブったり元締めのおっさん(サモ・ハン・キンポー御大)とのあれこれがあったりして、前作に比べたらストーリー展開は地味であるものの、魚市場やテーブル上の戦闘シーンは見事な出来映えで、前作が気に入ってみる人へのサービスは大盤振る舞いの大迫力です。単に爆裂カンフー映画を楽しみたい人にはパワーアップした武闘シーンが大いに楽しめます。

前作の続きであるからして、新しい登場人物もいますが以前の登場人物もしっかり登場します。とくに前作で個性的な悪役を演じたあの男が妻子とともに復活するところなどは楽しい限り。逆に、大親友のその後などは泣かせる演出で、こういうのもサービスの一環でありましょう。
その分、新しい人物の魅力が前作に届かない(と思ってしまう。サモ・ハン除く)のは仕方がないこととは言えちょいと残念ではあります。基本的に前作と同じような作品なわけですから、新たな人物が前作で登場した人物の焼き直しに見えてしまうんです。これは続編の宿命とも言えますね。贅沢な話です。観客としての享楽乞食ぶりを大いに反省しましょう。

今作で登場のサモ・ハン・キンポーは別格ですよ。イップ・マンとの武闘シーンもあり、そこは大いに見どころです。実は私、この「2」は当初観る気がなかったのですがサモ・ハン・キンポーが役者としても活躍すると知って「よし観るぜ」と思ったのでした。これに関しては大いに期待に応えてくれます。

今作の悪役は香港を統治しているイギリス人です。野獣のようなボクサーや警察上層部に巣くう悪徳連中です。でもって、野獣ボクサーとの対決がクライマックスになるのですが流石にこれにはちょっと批判的にならざるを得ません。
どうしても前作との比較になりますが、前作の悪役である日本軍人や大将のような多様な個性が今回の悪者には全くありません。ただの単純な悪者でしかも馬鹿です。イップ・マンともあろうお人がこのような低レベルな悪役と死闘を繰り広げるとは、ちょっと情けない限りですね。
クライマックスの戦いのきっかけとなるある出来事を境に、それ以前の丁寧なドラマ作りが影を潜め、ロッキーか何かにようなスポコン的コミックヒーロー的勧善懲悪的な戦い映画となります。
それが悪いとはもちろん申しませんが、なんとなくほんのちょっと残念だなと思ったのは事実。それまで物語を構築してきた登場人物たちも突如ただの観戦者・応援者に成り下がってしまいます。あぁもったいない。そしてだめ押しはラストを迎えた後のエンドクレジットで流れる曲が妙ちくりんな変なロックみたいな曲でB級テイストすら感じさせられるところです。何か変ですよあれ。おもしろいけど。

しかしまあ娯楽アクション映画として最後はスカッとわかりやすく単純にいこーぜーという考えもわからなくないのでこれはこれで良しとします。小難しい映画ではないのですからね。考えてみればブルース・リーの映画だってB級くさくて単純明快でまあ言ってみればあほみたいなお話ですから、ブルース・リーへのオマージュ的な側面を考えればこれはこれで良い落としどころだったのかもしれません。

というわけで、前作のような物語や歴史や人間の深みを期待せず、単純明快なサービス的続編と割り切れば血湧き肉躍るアクション映画としてうっきーっと楽しめることは確実。サモ・ハンもじっくり拝めますからね。おもしろさは心配ご無用です。(前作ほどではないけど←しつこい)

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