変人村

Sheitan
若者たちがクラブでナンパした女の子の自宅、街からめちゃ遠いド田舎の屋敷へ遊びに行きます。出迎えるのはちょっと怖そうな使用人ジョセフ。やばそうなジョセフをヴァンサン・カッセルがノリノリで演じます。 キキ・ピカソの倅でアングラアーティストでもあるキム・シャピロン監督のデビュー作。
変人村

変態村」だの「変人村」だのといったふざけた邦題が付けられた一連の作品、当時は「作品を馬鹿にしているのか」と憤っていましたが、あのような受け狙いの変な邦題を付けたことによって注目され、普通なら誰も気に留めないようなヨーロッパ新鋭監督によるインデペンデンス系作品が多くの人に観てもらえたのも事実。今にして思えば「何とか人目を引いて観てもらいたい」という配給側の苦肉の策、これはこれで一つの愛の形であったと思わないでもないです。

ただ、やっぱり邦題から受ける印象が馬鹿っぽすぎて、お馬鹿系映画を期待した層に「何じゃこれは意味わからん」と呆れられ、この手の映画を好む本来の客を逃したのではないかとも思えます。

エマニュエル・ベアールのファンが「変態島」なんていうタイトルに注目するとは思いにくいし、この「変人村」がヴァンサン・カッセルプロデュースかつ主演なんていうことに気づかないヨーロッパ映画ファンも多いのではないでしょうか。私もぜんぜん知りませんでした。

というわけでそうなんです。キム・シャピロンの才能に惚れ込んだヴァンサン・カッセルが製作し、変人ジョセフをノリノリで演じる「変人村」です。嫁はんモニカ・ベルッチまで特別出演させています。クレジットに出てきましたが、どこに登場しました?とにかく若手支援を惜しまない尊敬すべき態度でございます。

性欲に手足が生えているような馬鹿な若者たちが、クラブで見つけた女の子の色仕掛けに乗せられて超遠方のド田舎に向かいます。ちょっとどころの遠さじゃありません。なぜ都会のクラブからこのようなド田舎に長距離ドライブするのか、序盤からしてもうすでにたいへん変な映画です。そして古いお屋敷に到着、変な使用人ジョセフが出迎えます。

若者たちはヤリたい気持ちとヤバそうだから早く帰りたい気持ちで揺れ動きながら、だらだらとくだらないドラマを進行させつつ、ジョセフの悪のりに付き合い続けます。

使用人ジョセフは、ホラー映画の殺人鬼とはちょっと違って、トリックスターの特徴を持って登場します。有無を言わせぬパワーで若者たちを翻弄し手玉に取ります。怖いのか面白いのか判断不能な変な奴です。温泉に行ったり、山羊乳を搾ったり、変な話を聞かせたりあの手この手を繰り出して若者たちの足止めを図りまして、もうほとんどヴァンサン・カッセルのコスプレアイドル映画です。何て楽しそうに演じてるんだろうと、観ているこちらも一緒に楽しくなってしまいます。

近所の村人も個性的な面々。「また変なやつ出たー」と思いながら観ます。真面目に見ていると肩すかしを食らうかもしれませんから、おおらかな気持ちで、楽しんでご覧になるのがよろしいでしょう。いや別に無理に観なくてもいいんですが。私は大いに楽しみました。面白かったです。

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